僕と幼馴染のままならない関係


 四月。桜の花びらが舞い散る春、県の進学校へ無事入学を果たした僕は、真新しい制服に袖を通し、意気揚々と登校した。

 入学式では新入生代表挨拶を務める。


 「新入生代表挨拶、1年1組、高嶺亮」

 「はい」


 名前を呼ばれた僕は、緊張しながらも予め用意しておいた文章をしっかりと読み上げた。

 今日この日の為にサラサラの真っ黒な前髪を目の下辺りで切り揃え、新しく新調した分厚い眼鏡を着用し、自分の素顔を大衆に晒す事のないように細心の注意を払う。

 中学では散々揶揄われたこの目を、高校では絶対に晒すわけにはいかない。

 大丈夫、誰も気にしていない。

 見られていない。

 完全な装備が全てを隠してくれたおかげで無事に読み終え、ホッと胸を撫でおろして自分の椅子へと戻った。

 こうして大役を務めあげた僕の入学式は無事に終わった。

 翌日、晴れて高校デビュー出来る事に喜びと期待で胸の高鳴りを抑えつつ、自分のクラスへと入っていく。


 「高嶺!おはよう」

 「おはよう、宝森」

 「雫でいいって言ったのに」

 「じゃあ僕のことも亮でいいよ」

 「やった!」

 
 入学式の時から気軽に話しかけてくれたのが、この宝森雫という男子だ。

 くせ毛がふわふわしていて少し可愛い見た目だけど話すと男前、身長は僕と同じくらいなのにキリッとした表情がカッコいい。

 一見するとスポーツをやっているようにも見えるくらい日焼けしていて、体も筋肉質な感じだ。