僕のわがままな一年。

「……っ」

壁を通してだけど、微かに律くんの声が聞こえる。
こんなに近くに居るのに、その顔が見れない。
そう思うと、ぎゅっと胸が締め付けられた。寂しい、という感情が一番近いのかもしれない。

(さっきあんなに一緒にいたからか、急に欲張りになったのかな)

もっと、律くんの傍にいたいという気持ちが一気に溢れそうになる。

「おやすみ、律くん」

僕も壁に向かって答えると。コツンと、壁から音が聞こえて、ふと部屋の向こうの気配が遠くなったような気がした。

僕はベッドに戻って再びスマホを手に持ったが、バイト求人アプリは開かずに、アラームをかけて閉じた。


(今日だけは特別。頭の中律くんでいっぱいでいい日にする)

明日からはちゃんと、バイトのことを考える。
律くんのことを少しだけ、冷静に見るようにする。

でも、今日だけは許してください――と、僕は何故か神様に呼びかけて目を瞑った。