僕のわがままな一年。

「え、律くんと晩御飯……⁉」

嬉々とした声で発してから、心の声が漏れてしまったと気づき、バッと口元を隠す。
案の定、律くんも少しだけ驚いた顔をしている。

「ちょうど腹減ってたか? 遠慮せず、食べて行って。どーせ一人じゃ食いきれないし」

律くんは違う意味で解釈をしたようで、爽やかな笑顔で扉を大きく開いた。その勢いでぱしっと僕の腕を掴んできたので、一瞬にして思考が止まった。

「えっ、えぇと! 本当にいいの、律くん……というか、体調は大丈夫なの?」

「うん、吐くもん吐いたからすっきりしてる。もう腹減って死にそうなの」

「な、ならよかった! 二日酔いってそういうものなんだ」

ぎこちなく言葉を返して、普段通りを心掛けて笑って見せる。でも、全然自分が普通の顔をできていると思えない。
頬の奥がじんわりと熱いから。

(何この急展開。心の準備、全然できてなぃ……)

緊張のしすぎで全然気にしていなかったが、律くんの部屋には野菜を煮ている鍋のいい香りが充満していた。
もうすっかり外は暗くなっているので、昼は結構熱くとも夜は冷え込んでいる。
ひんやりとした部屋に、鍋の温かい湯気はほっとするような安心感がある。
ついに足を踏み入れた彼の部屋は、白の家具で統一され、すごく自分の部屋に比べ広く、すっきりとしていて見えた。
だがベッドの周りにはペットボトルがいくつか乱雑に置かれていて、お馴染みのゲーム機器や漫画が散らばっている。
まさに男の部屋といった感じ。昔のややオタクな彼の片鱗に触れた気がして、ちょっと嬉しくなった。

「適当に座ってて待ってて。陽翔は何呑む? ビール?」

「ちょ。僕は水かお茶で結構です」