言い訳を並べる僕の頭に、藤代先生の手が一瞬だけ触れた。
ポン、と軽く叩くような仕草だった。驚いた僕が動きを止めると、彼はいつもみたいに優しく微笑んだ。
「そういう抜けてる部分が可愛いなって思うから、変に直さなくてもいいよ」
「え、そ、そうなんですか?」
「そう。君はかっこつけなくていい」
藤代先生はそう告げて、僕から少しだけ距離をとる。
「じゃ、また何かあったらいつもで相談してね」
「あ、ありがとうございます……!」
ひらひらと手を振る藤代先生に、咄嗟にお辞儀をした。優しいなぁ、と感動する分少しだけむず痒い。
今までの人生人に優しくされるようなタイプでもなかったからなのか。こういう親切な扱いに、慣れていない。
田舎にいるときは、東京の人は冷たい人ばかりなのではと警戒していたけれど、現実はむしろ温かい人が多い気がした。
勝手な憶測だけれど、ほとんどの人が地方から出てきて東京の人に優しくされた経験があるから、こうして田舎者丸出しの僕みたいなのに優しいのでは。
僕は大学を出て、その足で商店街の中にある老舗スーパーに寄った。
遠山の誘いを断った理由として、今日は出費が確定していたからだ。
今日の目的は、自分たちの食料ではなく律くんのお見舞いにあげる品を買いに来た。
きっと綺麗なお姉さんが用意しているのだろうが、〝昔から顔見知りの隣人として〟放っておくわけにはいかない。
見た感じ二日酔いそうだったので、大量の水と消化にいいレトルトのおかゆとみそ汁、加えてカットフルーツを買っていった。
(あー、今更緊張してきた。僕もしかして、めちゃくちゃ調子に乗ってない?)

