「麗さま、ご無事で…!」
私の涙腺は一瞬で崩壊しました。
金の髪を潮風に揺らし、船員のような白いセーラー襟の上下に身を包んだ麗さまが、船首の先に立っていたからです。
オッドアイを挑戦的にギラつかせてこちらを見るその姿は、とても怪我人には見えませんでした。
紘次郎も私も麗さまの壮絶な迫力に、瞬きを忘れて動けません。
「教えてやるよ。この男はジョージじゃない。
母親が帰化した英国人で、水上警察の渡というものだ。」
紘次郎は愕然として麗さまと渡を見比べました。
「水上警察だと…⁉ 」
渡は眉を上げ、大げさに肩をすくめてみせました。
「一度も英国に行ったことはないんだけどね。」
「お前の見た目が異人に見えるから、今回みたいな囮捜査に駆りだされるんだぞ。」
「それは俺のせいじゃない。」
憮然とする渡の肩を麗さまが軽くたたく様子は、どう見ても初見の間柄ではなさそうです。
「謀ったな!」
憤る紘次郎に対し、麗さまは冷静に答えました。
「この場合は追い詰めた、と言うほうが正しい。」
「小癪な。」
紘次郎は目を吊り上げると世にも恐ろしい唸り声を上げました。
紘次郎の皮膚が一瞬にして硬化し、肩の筋肉がせりあがってスーツの布地を突き破りました。
黒いビロウドのような羽根を生やした紘次郎は、目を赤く輝かせます。
「下等な人間と、上位貴族の違いを分からせてあげます。」
「ば、化け物⁉」
変身に慄いた渡がホルダーからハンドガンを引き抜こうとした瞬間、黒いヴァンパイアと化した紘次郎はその手を長い鉤爪の生えた手刀で薙いだのです。
紘次郎の力は凄まじく、渡の手首が折れる嫌な音がしました。
「ギャッ‼」
「あなたには特別に、忘れ去られた貴族本来の力を教えてあげましょう。」
紘次郎の白目が赤黒く変化し、優し気な顏が凶悪に歪みました。
そして悶絶している渡の首に噛みついたのです。
「アア――‼」
断末魔の叫び声が耳に響いて、思わず私は目を逸らしてしまいました。
「ダメ‼」
しかし、すかさず麗さまが紘次郎に体当たりをしたのです。
首から血を流して苦しむ渡を素早く引き離して、背中の後ろに匿います。
牙を剥きだして威嚇する黒いヴァンパイアに動じる風でもなく、麗さまは白いシャツを脱ぎ捨てて背中を丸めました。
「五色麗…その力、まさか貴様も⁉」
驚愕の色を浮かべる紘次郎の目の前で、麗さま背中からまっ白い翼が強く弾け飛びました。
オッドアイの瞳が爛々と輝き、陶器のような肌はその変身に耐えられないかのように、メキメキとひび割れました。
「貴族同士の争いはご法度だが、格が違えば争いにもならない。」
「勲功華族が笑わせるな。
私は公爵・綾小路家の当主だぞ?」
私は麗さまに大声で叫びました。
「貴族の当主の力は当主同士でも互角。
麗さまに勝ち目はありません…!」
麗さまは張り詰めていた表情を和らげ、私に微笑みました。
「それでも、みつきを守りたい。」
紘次郎の体から禍々しい波動が弾け、麗さまを襲います。
「二度と、その無駄口を叩けないように海の底に沈んでもらう。」
空中で白い光と黒い影が交差し、激しい光と爆発音が海上を揺らしました。
「麗さま!」
爆風と水しぶきに目が眩んでしまった私は、揺れる船の上で必死に祈りました。
すぐに黒い影が急降下して甲板に落下し、それが紘次郎だと気づいた私は安堵しました。
「当主以上の力を持つヴァンパイア、だと…?」
翼をもがれた紘次郎は、悔しさをにじませながら甲板に這いつくばりました。
「おかしい。
勲功華族如きにこれほどの能力は出せないはず…。」
「貴族出身の母の旧姓は藤原だ。」
船の縁に舞い降りた麗さまが紘次郎の羽根を投げ捨てると、黒い爪痕が痛々しく残る身体を震わせました。
「藤原家…始祖か。」
がっくりと項垂れた紘次郎に、もはや反撃をする様子は見受けられません。
「この呪われた身体を何度も捨てたいと思って生きてきたが、今日の日のための伏線だったと思えば、私の中のうららも報われるだろう。」
それから麗さまは、私に優しい眼差しを向けました。
「あと、微量だが綾小路家の血を接種したおかげかもしれないね。」
「麗さま…。」
足手まといにしがならない私に、微力でも麗さまの手助けができていたなら本望です。
紘次郎はそんな私たちを見て、苦々しく顏を歪めました。
「チッ!」
舌打ちして海に飛びこもうとした紘次郎を、すかさず麗さまが飛びかかって甲板に組み伏せました。
そしていつのまにか待機していた一隻の船から、次々に船員たちがこちらの船に乗り込んできました。
船員たちは荒々しく紘次郎を押さえつけ、光之助が高らかに宣言しました。
「松平紘次郎、連続投資詐欺と綾小路みつき監禁の疑いで逮捕する。」
「完璧な計画だったのに、どこで狂ったんだ? どこで…。」
紘次郎は縄をかけられながらも暴れて、発狂したように叫び散らしました。
「みつき!」
麗さまが走り寄ってきて、私を強く抱きしめました。
いつもの薔薇の匂いに包まれて、私はさまざまな感情が溢れだしました。
私は麗さまのお腹の怪我に触れないように、少し背をそらせました。
「麗さま、ご無事で良かったです! お怪我は大丈夫なのですか?」
「止血点を圧迫していたから出血が多く見えたかもしれないけど、もう止まったから大丈夫。
意識がなくなってしまったのは誤算だったけどね。
みつきが勇気を出して海に飛びこんでくれなかったら、あのまま海に沈んでいたかもしれないね。」
麗さまは私を抱く手に力を入れました。
「ありがとう、みつき。」
「紘次郎が追いかけてくるということも、ぜんぶ分かっていらしたの?」
「彼のみつきへの執着を見ていたら、ある程度の予測はできるよ。
というか、僕なら地の果てまで追いかけると思ったんだ。
僕たちは似ているのかもしれないね。みつきへの愛着だけは。」
二人の船員に挟まれた紘次郎が、突如、吠えました。
「お前らに…お前らなんかに分かるものか!
どんなに才能があっても、努力をして結果を残しても、家の地位だけで淘汰されるこの世のしくみを。
みんながクソなんだよ。
どんな手を使おうとも、私が主人公の世界を作ることの何が悪い⁉
私の人生も、みつきも私のモノだ‼」
「こころ、が無いんだよ。」
私の隣に立ち、手をギュッと握りながら麗さまが答えました。
「世界が終わりを迎える時には、自分だけ生き残っていても意味がない。
愛して愛されるこころがなければ、どんな努力もただのエゴだ。
私はそれをみつきから教わった。」
麗さまの手から温かい体温が伝わってきて、私は胸がいっぱいになりました。
愛されているということは触れられないし目には見えないけれども、どれだけ素敵で力強くこころの支えになるものなのか。
紘次郎は急に大人しくなりました。
水上警察に連れられてもう一台のヨットに移動させられる姿を見送る私は、胸が張り裂けそうになりました。
かつて、兄のように慕っていた紘次郎からもあたたかい温もりを感じたことがあったから。
自転車で二人乗りをした日のこと、演劇の練習をした日のことが次々に切なく思い出されて、紘次郎の小さくなる背中を見送ると私は船上でむせび泣きました。
さようなら紘次郎。
さようなら、もう二度と戻らない昨日――。
♢
海の上で見る夕日は遮るものがなく、全てが黄金色に染まっています。
空と海の境界線がクッキリと際立ち幼いころに遊んだ影絵の記憶を呼び起こすような、不思議な錯覚を覚える光景です。
岸へと向かうヨットはさざ波をかき分けて、港を目指して走ります。
私と麗さまは手を繋ぎながら、少しでも体力を温存するために甲板に寝そべっていました。
麗さまが空を見ながら囁きました。
「ねえみつき、今の私の瞳は何色に見える?」
「黄金色…両眼とも橙色に見えます。」
「やはり、そうか。みつきも全身が橙色に染まっているもの。
生まれつきの色が違っていても、沈む太陽のまえでは皆、同じ色になるのだね。」
「同じだと、嬉しいのですか?」
「うん。安心する。
もっと早くこのことに気づいていたら、母さんやうららを傷つけることもなかったのかもしれない。」
私にその言葉の真意ははかりかねましたが、麗さまはご自身で何かを納得されたようでした。
「麗さま、私は麗さまにお伝えしたいことがございます。」
「なんだい?」
「二度と、私に心中しようだなんて口にしないでください。」
「心中? そんなこと、言ったかな?」
うそぶいた麗さまが、心中してと請われた時よりも愛おしい。
私が憧れていた【おねえさま】だった人は、華麗に私を抱き起こして甘く耳元で囁きました。
「じゃあ、二人が老いて動けなくなったら同じ墓に入ろうか。」
「それは、あまりにもこの場の配慮に欠けています!」
麗さまは楽しそうに笑いながら、私の服に顔をうずめました。
「では、みつきを愛していると言いたいときは、どう言えばいいの?」
「ただ一度だけ…口づけを。」
私たちは黄金に染まる頬を寄せ合い口づけを交わしました。
ひとつに溶けあう身体が夕暮れと同化して、いつまでも幸せが続いていくような予兆を感じました。
今夜、世界は私たちふたりだけのものです。
【終】
私の涙腺は一瞬で崩壊しました。
金の髪を潮風に揺らし、船員のような白いセーラー襟の上下に身を包んだ麗さまが、船首の先に立っていたからです。
オッドアイを挑戦的にギラつかせてこちらを見るその姿は、とても怪我人には見えませんでした。
紘次郎も私も麗さまの壮絶な迫力に、瞬きを忘れて動けません。
「教えてやるよ。この男はジョージじゃない。
母親が帰化した英国人で、水上警察の渡というものだ。」
紘次郎は愕然として麗さまと渡を見比べました。
「水上警察だと…⁉ 」
渡は眉を上げ、大げさに肩をすくめてみせました。
「一度も英国に行ったことはないんだけどね。」
「お前の見た目が異人に見えるから、今回みたいな囮捜査に駆りだされるんだぞ。」
「それは俺のせいじゃない。」
憮然とする渡の肩を麗さまが軽くたたく様子は、どう見ても初見の間柄ではなさそうです。
「謀ったな!」
憤る紘次郎に対し、麗さまは冷静に答えました。
「この場合は追い詰めた、と言うほうが正しい。」
「小癪な。」
紘次郎は目を吊り上げると世にも恐ろしい唸り声を上げました。
紘次郎の皮膚が一瞬にして硬化し、肩の筋肉がせりあがってスーツの布地を突き破りました。
黒いビロウドのような羽根を生やした紘次郎は、目を赤く輝かせます。
「下等な人間と、上位貴族の違いを分からせてあげます。」
「ば、化け物⁉」
変身に慄いた渡がホルダーからハンドガンを引き抜こうとした瞬間、黒いヴァンパイアと化した紘次郎はその手を長い鉤爪の生えた手刀で薙いだのです。
紘次郎の力は凄まじく、渡の手首が折れる嫌な音がしました。
「ギャッ‼」
「あなたには特別に、忘れ去られた貴族本来の力を教えてあげましょう。」
紘次郎の白目が赤黒く変化し、優し気な顏が凶悪に歪みました。
そして悶絶している渡の首に噛みついたのです。
「アア――‼」
断末魔の叫び声が耳に響いて、思わず私は目を逸らしてしまいました。
「ダメ‼」
しかし、すかさず麗さまが紘次郎に体当たりをしたのです。
首から血を流して苦しむ渡を素早く引き離して、背中の後ろに匿います。
牙を剥きだして威嚇する黒いヴァンパイアに動じる風でもなく、麗さまは白いシャツを脱ぎ捨てて背中を丸めました。
「五色麗…その力、まさか貴様も⁉」
驚愕の色を浮かべる紘次郎の目の前で、麗さま背中からまっ白い翼が強く弾け飛びました。
オッドアイの瞳が爛々と輝き、陶器のような肌はその変身に耐えられないかのように、メキメキとひび割れました。
「貴族同士の争いはご法度だが、格が違えば争いにもならない。」
「勲功華族が笑わせるな。
私は公爵・綾小路家の当主だぞ?」
私は麗さまに大声で叫びました。
「貴族の当主の力は当主同士でも互角。
麗さまに勝ち目はありません…!」
麗さまは張り詰めていた表情を和らげ、私に微笑みました。
「それでも、みつきを守りたい。」
紘次郎の体から禍々しい波動が弾け、麗さまを襲います。
「二度と、その無駄口を叩けないように海の底に沈んでもらう。」
空中で白い光と黒い影が交差し、激しい光と爆発音が海上を揺らしました。
「麗さま!」
爆風と水しぶきに目が眩んでしまった私は、揺れる船の上で必死に祈りました。
すぐに黒い影が急降下して甲板に落下し、それが紘次郎だと気づいた私は安堵しました。
「当主以上の力を持つヴァンパイア、だと…?」
翼をもがれた紘次郎は、悔しさをにじませながら甲板に這いつくばりました。
「おかしい。
勲功華族如きにこれほどの能力は出せないはず…。」
「貴族出身の母の旧姓は藤原だ。」
船の縁に舞い降りた麗さまが紘次郎の羽根を投げ捨てると、黒い爪痕が痛々しく残る身体を震わせました。
「藤原家…始祖か。」
がっくりと項垂れた紘次郎に、もはや反撃をする様子は見受けられません。
「この呪われた身体を何度も捨てたいと思って生きてきたが、今日の日のための伏線だったと思えば、私の中のうららも報われるだろう。」
それから麗さまは、私に優しい眼差しを向けました。
「あと、微量だが綾小路家の血を接種したおかげかもしれないね。」
「麗さま…。」
足手まといにしがならない私に、微力でも麗さまの手助けができていたなら本望です。
紘次郎はそんな私たちを見て、苦々しく顏を歪めました。
「チッ!」
舌打ちして海に飛びこもうとした紘次郎を、すかさず麗さまが飛びかかって甲板に組み伏せました。
そしていつのまにか待機していた一隻の船から、次々に船員たちがこちらの船に乗り込んできました。
船員たちは荒々しく紘次郎を押さえつけ、光之助が高らかに宣言しました。
「松平紘次郎、連続投資詐欺と綾小路みつき監禁の疑いで逮捕する。」
「完璧な計画だったのに、どこで狂ったんだ? どこで…。」
紘次郎は縄をかけられながらも暴れて、発狂したように叫び散らしました。
「みつき!」
麗さまが走り寄ってきて、私を強く抱きしめました。
いつもの薔薇の匂いに包まれて、私はさまざまな感情が溢れだしました。
私は麗さまのお腹の怪我に触れないように、少し背をそらせました。
「麗さま、ご無事で良かったです! お怪我は大丈夫なのですか?」
「止血点を圧迫していたから出血が多く見えたかもしれないけど、もう止まったから大丈夫。
意識がなくなってしまったのは誤算だったけどね。
みつきが勇気を出して海に飛びこんでくれなかったら、あのまま海に沈んでいたかもしれないね。」
麗さまは私を抱く手に力を入れました。
「ありがとう、みつき。」
「紘次郎が追いかけてくるということも、ぜんぶ分かっていらしたの?」
「彼のみつきへの執着を見ていたら、ある程度の予測はできるよ。
というか、僕なら地の果てまで追いかけると思ったんだ。
僕たちは似ているのかもしれないね。みつきへの愛着だけは。」
二人の船員に挟まれた紘次郎が、突如、吠えました。
「お前らに…お前らなんかに分かるものか!
どんなに才能があっても、努力をして結果を残しても、家の地位だけで淘汰されるこの世のしくみを。
みんながクソなんだよ。
どんな手を使おうとも、私が主人公の世界を作ることの何が悪い⁉
私の人生も、みつきも私のモノだ‼」
「こころ、が無いんだよ。」
私の隣に立ち、手をギュッと握りながら麗さまが答えました。
「世界が終わりを迎える時には、自分だけ生き残っていても意味がない。
愛して愛されるこころがなければ、どんな努力もただのエゴだ。
私はそれをみつきから教わった。」
麗さまの手から温かい体温が伝わってきて、私は胸がいっぱいになりました。
愛されているということは触れられないし目には見えないけれども、どれだけ素敵で力強くこころの支えになるものなのか。
紘次郎は急に大人しくなりました。
水上警察に連れられてもう一台のヨットに移動させられる姿を見送る私は、胸が張り裂けそうになりました。
かつて、兄のように慕っていた紘次郎からもあたたかい温もりを感じたことがあったから。
自転車で二人乗りをした日のこと、演劇の練習をした日のことが次々に切なく思い出されて、紘次郎の小さくなる背中を見送ると私は船上でむせび泣きました。
さようなら紘次郎。
さようなら、もう二度と戻らない昨日――。
♢
海の上で見る夕日は遮るものがなく、全てが黄金色に染まっています。
空と海の境界線がクッキリと際立ち幼いころに遊んだ影絵の記憶を呼び起こすような、不思議な錯覚を覚える光景です。
岸へと向かうヨットはさざ波をかき分けて、港を目指して走ります。
私と麗さまは手を繋ぎながら、少しでも体力を温存するために甲板に寝そべっていました。
麗さまが空を見ながら囁きました。
「ねえみつき、今の私の瞳は何色に見える?」
「黄金色…両眼とも橙色に見えます。」
「やはり、そうか。みつきも全身が橙色に染まっているもの。
生まれつきの色が違っていても、沈む太陽のまえでは皆、同じ色になるのだね。」
「同じだと、嬉しいのですか?」
「うん。安心する。
もっと早くこのことに気づいていたら、母さんやうららを傷つけることもなかったのかもしれない。」
私にその言葉の真意ははかりかねましたが、麗さまはご自身で何かを納得されたようでした。
「麗さま、私は麗さまにお伝えしたいことがございます。」
「なんだい?」
「二度と、私に心中しようだなんて口にしないでください。」
「心中? そんなこと、言ったかな?」
うそぶいた麗さまが、心中してと請われた時よりも愛おしい。
私が憧れていた【おねえさま】だった人は、華麗に私を抱き起こして甘く耳元で囁きました。
「じゃあ、二人が老いて動けなくなったら同じ墓に入ろうか。」
「それは、あまりにもこの場の配慮に欠けています!」
麗さまは楽しそうに笑いながら、私の服に顔をうずめました。
「では、みつきを愛していると言いたいときは、どう言えばいいの?」
「ただ一度だけ…口づけを。」
私たちは黄金に染まる頬を寄せ合い口づけを交わしました。
ひとつに溶けあう身体が夕暮れと同化して、いつまでも幸せが続いていくような予兆を感じました。
今夜、世界は私たちふたりだけのものです。
【終】



