僕の声に恋した君に─ can you hear me?─

短い秋が終わって、空気がスンと冷え始めた。
街はいつの間にか、キラキラしたイルミネーションに覆われている。

遠回りしてイルミネーションを見てから帰るのだって、俺たちには新鮮。
誰もいないのを確認して腕を絡めるだけで気持ちまでキラキラする。

「クリスマス…弦音の家に行ってもいい?泊まりで」

クリスマスをどう過ごそうか話していたら、突然真剣な顔になった灯夜に訊ねられた。

家で2人きりで過ごす

特別な日の特別な過ごし方に胸が高鳴る

「にーちゃんの彼氏にケーキ頼もうかな」

えっ?と固まってる横で、もうスマホをポケットから出し終える。

「もしもしにーちゃん。彼氏さんの店、まだクリスマスケーキの注文できる?…うん。1番小さいホールのやつ。」
 
忙しかったのかすぐに切られた電話でケーキは注文できた。
受け取り方は後で聞こう。

こんなに胸が踊るクリスマスは初めてかもしれない。


家に帰って、しばらくしたら予想通りにーちゃんが家に来た。相変わらずの過保護に呆れる。

「誰とケーキ食うの?」
「…恋人」

「どんな子?不良とかだったら──」

過保護にーちゃんの妄言を遮って
「不良じゃないよ。特技はピアノ。無口でヘタレだけど強くてまっすぐで優しい。」

ホッとしたようなにーちゃんの顔を見たら言い忘れていたことがある事に気がついた。

「とーやくん。180センチ黒髪の……男」
「男なの?」
「うん、たまたま」
「周りは──」
「親友2人は応援してくれてる」
「……よかったな」

久しぶりににーちゃんに頭を撫でてもらったら、子どもの頃に撫でられた後と同じ安心感に満たされた。