遠足が終わって数日、まだ浮かれ気味の教室に響くのは現実を突きつける先生の声。
「進路調査の提出は──」
進路か…
灯夜はどうするんだろ
2人で過ごす昼休み
「灯夜の進路は変わらず?」
「奨学金で行ける理系大学だな」
当然のことのように吐き捨てる声に諦めが孕んでいる事がわかるくらいには、灯夜のことばかり見てきた。
「…ピアノは?」
ピクッと眉が動くのを見て、触れて欲しくない部分に踏み込んでしまったと後悔した。
「…ごめん」咄嗟に謝る俺に
「何が?…ピアノは続ける。大学4年間でピアノを続けていける道を探す予定」
柔らかく笑う顔は穏やかで、嘘はないんだろう。
じゃあ
「…何でそんな顔してるの?納得いってない?」
俺の質問に「あぁ…」と声を漏らして
「弦音、文系でしょ?大学だけじゃなくて…3年はクラスも変わるだろうなと思っただけ」
「俺…理系行こうかな。やりたいことないし。ずっと灯夜と一緒がいい」
そういって、進路希望調査の用紙に
「とーやと一緒」
とシャーペンでうっすら書いた。
同じ大学は無理かもしれないけど、高3の1年間を一緒に過ごしたい、そう思うのは当然でしょ。
灯夜も喜んでくれると思ってたのに。
「それは…なんか、ちょっと違うと思う」
伏せ目がちにゆっくりと話し出す灯夜の声が何だかとても遠く感じて、教室の温度が下がるような気がした。
「何で?別に俺、文系でも理系でもいいし」
食い下がったら嗜められるように
「めっちゃ嬉しかったよ。でもそれでいいのかな。俺と一緒じゃ、じーさんや父親に言われた通り弓道やって来た頃と変わらないんじゃないかな」
優しい口調に殴られたような感覚に、喉がヒリついて言葉が出ない。
必死に紡いだ言葉は
「灯夜にはわかんないよ」
一度出てしまったら勢い余って余計なことまで言ってしまう。
わかって欲しいだけなのに。
「好きなものもあって、親には期待されてるんだろ…わかるわけないよ」
そう言って進路希望調査用紙をぐちゃぐちゃに丸めて灯夜に投げつけると、勢いよく立ち上がった。
手首を摘まれ動きを制された。これ以上引き留められると涙が出そうだから早く解放してほしい。
「やりたいこと…みつかってるんじゃない?」
何となくの夢を塞いで現実を見ようとしてるのに、何でこんなに簡単に見破るんだろう。それが気恥ずかしくて顔に血液が集中する。
「……」
無言でいる俺を椅子に戻されて頭にポンっと手を置かれた。
「どんな弦音でも応援するよ」
まだいえない、夢にもなっていない夢についてもう少し考えてみよとぐちゃぐちゃになった用紙を広げた。
「とりあえず一旦やめよ、楽しいこと考えよう」
そう言って伸びをする灯夜に聞こえないように「ありがと」と囁く。
「クリスマスについて考える?」
「進路調査の提出は──」
進路か…
灯夜はどうするんだろ
2人で過ごす昼休み
「灯夜の進路は変わらず?」
「奨学金で行ける理系大学だな」
当然のことのように吐き捨てる声に諦めが孕んでいる事がわかるくらいには、灯夜のことばかり見てきた。
「…ピアノは?」
ピクッと眉が動くのを見て、触れて欲しくない部分に踏み込んでしまったと後悔した。
「…ごめん」咄嗟に謝る俺に
「何が?…ピアノは続ける。大学4年間でピアノを続けていける道を探す予定」
柔らかく笑う顔は穏やかで、嘘はないんだろう。
じゃあ
「…何でそんな顔してるの?納得いってない?」
俺の質問に「あぁ…」と声を漏らして
「弦音、文系でしょ?大学だけじゃなくて…3年はクラスも変わるだろうなと思っただけ」
「俺…理系行こうかな。やりたいことないし。ずっと灯夜と一緒がいい」
そういって、進路希望調査の用紙に
「とーやと一緒」
とシャーペンでうっすら書いた。
同じ大学は無理かもしれないけど、高3の1年間を一緒に過ごしたい、そう思うのは当然でしょ。
灯夜も喜んでくれると思ってたのに。
「それは…なんか、ちょっと違うと思う」
伏せ目がちにゆっくりと話し出す灯夜の声が何だかとても遠く感じて、教室の温度が下がるような気がした。
「何で?別に俺、文系でも理系でもいいし」
食い下がったら嗜められるように
「めっちゃ嬉しかったよ。でもそれでいいのかな。俺と一緒じゃ、じーさんや父親に言われた通り弓道やって来た頃と変わらないんじゃないかな」
優しい口調に殴られたような感覚に、喉がヒリついて言葉が出ない。
必死に紡いだ言葉は
「灯夜にはわかんないよ」
一度出てしまったら勢い余って余計なことまで言ってしまう。
わかって欲しいだけなのに。
「好きなものもあって、親には期待されてるんだろ…わかるわけないよ」
そう言って進路希望調査用紙をぐちゃぐちゃに丸めて灯夜に投げつけると、勢いよく立ち上がった。
手首を摘まれ動きを制された。これ以上引き留められると涙が出そうだから早く解放してほしい。
「やりたいこと…みつかってるんじゃない?」
何となくの夢を塞いで現実を見ようとしてるのに、何でこんなに簡単に見破るんだろう。それが気恥ずかしくて顔に血液が集中する。
「……」
無言でいる俺を椅子に戻されて頭にポンっと手を置かれた。
「どんな弦音でも応援するよ」
まだいえない、夢にもなっていない夢についてもう少し考えてみよとぐちゃぐちゃになった用紙を広げた。
「とりあえず一旦やめよ、楽しいこと考えよう」
そう言って伸びをする灯夜に聞こえないように「ありがと」と囁く。
「クリスマスについて考える?」
