「放送部の水野です。お昼の校内放送の時間です。」
誰も聞いていないと思っていた無難な校内放送。
今はいつものようにクリームパンを齧りながら、それを聞いているかもしれない藤井の顔がチラつく。
藤井が聞いていると知ってから。今までは感じなかった微かな緊張をするようになった。
「今日は何を食べていますか?クリームパン?お弁当?お菓子だけなんて人もいるかもしれません。僕はおにぎりを食べました」
パン、だけでいいのに
ついクリームパンと言ってしまった自分に少し慌てる。
他の委員からの連絡、部活の紹介。
「昼休みは残り10分です。授業開始前には席につきましょう。それではまた」
自分で聞いても特に面白味のない内容なのにこんな放送の何が良くて聞いているんだろう。今度聞いてみようかな。
それよりも、クリームパンのくだり余計だったかな。
───
普段より数分早く帰って来た教室に藤井の姿はなかった。
トイレかな?くらいにしか思っていなかったが、授業が始まっても藤井は戻ってこなくて段々と心配になってくる。
15分くらい遅れて、
「保健室で休んでました」と言いながら藤井が教室に入ってきて、そのまま席に着いた。
先生にバレないように振り返って小声で
「大丈夫?」
と聞けば、少しびっくりした顔をしてフッと鼻で笑いながらノートの端に何か書き始めた。
クリームパンって俺のこと?
クリームパンじゃないよ
「え?うそ」
思わず出た声は思いの外大きくて「やっちゃった!」と口を手で押さえた。
「水野?どうした?」
先生に聞かれて、クラスの注目を浴びて恥ずかしくて逃げ出したい。
サッと前に向き直って
「なんでもありません」
と呟く。
「いとー!寝ぼけるなよー」
と、突っ込んでくれた友だちの声でクラス中にドッと笑いが起きて救われる。
沢山の笑い声の中に埋もれる事なく、真後ろから藤井のイタズラっぽい笑い声が聞こえて来た。
なんだよ、驚かせた犯人のくせに。
あれ?保健室って昼の放送、流れないよな?
藤井はどこで聞いてたんだろ?
早く授業終わらないかな。
振り返って聞きたいことがあり過ぎて、授業にちっとも集中できないや。
「今日はここまで。配った資料をよくみておくように」
と言って先生は出て行った。
それと同時に
「ねぇ」
と、勢いよく振り返った俺に藤井は驚いて身を引いていた。椅子を跨いで、藤井の机に肘をついて頬杖をつく。
「藤井のせいで笑われたじゃん」
「まさかあんなに反応するとは思わないだろ。驚きすぎじゃない?」
ふざけてワザと膨れていた俺の頬を突いて笑ってくる藤井に戸惑って「やめろよー」と手を払った。
こっちが冗談で膨れたのだから、藤井が指で潰すくらい普通だったのかも。何でこんなに意識しちゃうんだろ。
頬に触れた指が少し温かい様な気がして、そういえば具合が悪かったかもしれない事を思い出す。
「保健室…体調悪かった?」
「行ってないよ。あそこ校内放送聞こえない」
「じゃあどこ─」
「静かなところ。教室うるさい。…途中から安眠し過ぎて授業に遅れた。お前の声のせいだ」
と、付け足す藤井に、そこまでして聞いてくれてたの?という疑問が芽生える。そんなわけないか…
それにしても、何でこんなに藤井の言動にドキドキさせられるのかわからない。
ちょっと声を褒めてもらえたからって、
ちょろすぎるだろ、俺。
…そんなことよりまず
「んで、何パンなの?」
「プリンパン」
聞いたこともないようなパンに驚く
「何それ」
「気になるなら明日買って来てやるよ」
「いいの??ありがとう。楽しみ!」
はしゃぎ過ぎたかな、藤井がきょとんとしてる。
すっと目を逸らしてポツリと
「はしゃいでる声もいいね」
とか言う。これは…からかわれているのかな。
それでも、そんな約束が嬉しくて顔がにやける。
藤井も少しニヤけてるように見えるのは気のせい?
誰も聞いていないと思っていた無難な校内放送。
今はいつものようにクリームパンを齧りながら、それを聞いているかもしれない藤井の顔がチラつく。
藤井が聞いていると知ってから。今までは感じなかった微かな緊張をするようになった。
「今日は何を食べていますか?クリームパン?お弁当?お菓子だけなんて人もいるかもしれません。僕はおにぎりを食べました」
パン、だけでいいのに
ついクリームパンと言ってしまった自分に少し慌てる。
他の委員からの連絡、部活の紹介。
「昼休みは残り10分です。授業開始前には席につきましょう。それではまた」
自分で聞いても特に面白味のない内容なのにこんな放送の何が良くて聞いているんだろう。今度聞いてみようかな。
それよりも、クリームパンのくだり余計だったかな。
───
普段より数分早く帰って来た教室に藤井の姿はなかった。
トイレかな?くらいにしか思っていなかったが、授業が始まっても藤井は戻ってこなくて段々と心配になってくる。
15分くらい遅れて、
「保健室で休んでました」と言いながら藤井が教室に入ってきて、そのまま席に着いた。
先生にバレないように振り返って小声で
「大丈夫?」
と聞けば、少しびっくりした顔をしてフッと鼻で笑いながらノートの端に何か書き始めた。
クリームパンって俺のこと?
クリームパンじゃないよ
「え?うそ」
思わず出た声は思いの外大きくて「やっちゃった!」と口を手で押さえた。
「水野?どうした?」
先生に聞かれて、クラスの注目を浴びて恥ずかしくて逃げ出したい。
サッと前に向き直って
「なんでもありません」
と呟く。
「いとー!寝ぼけるなよー」
と、突っ込んでくれた友だちの声でクラス中にドッと笑いが起きて救われる。
沢山の笑い声の中に埋もれる事なく、真後ろから藤井のイタズラっぽい笑い声が聞こえて来た。
なんだよ、驚かせた犯人のくせに。
あれ?保健室って昼の放送、流れないよな?
藤井はどこで聞いてたんだろ?
早く授業終わらないかな。
振り返って聞きたいことがあり過ぎて、授業にちっとも集中できないや。
「今日はここまで。配った資料をよくみておくように」
と言って先生は出て行った。
それと同時に
「ねぇ」
と、勢いよく振り返った俺に藤井は驚いて身を引いていた。椅子を跨いで、藤井の机に肘をついて頬杖をつく。
「藤井のせいで笑われたじゃん」
「まさかあんなに反応するとは思わないだろ。驚きすぎじゃない?」
ふざけてワザと膨れていた俺の頬を突いて笑ってくる藤井に戸惑って「やめろよー」と手を払った。
こっちが冗談で膨れたのだから、藤井が指で潰すくらい普通だったのかも。何でこんなに意識しちゃうんだろ。
頬に触れた指が少し温かい様な気がして、そういえば具合が悪かったかもしれない事を思い出す。
「保健室…体調悪かった?」
「行ってないよ。あそこ校内放送聞こえない」
「じゃあどこ─」
「静かなところ。教室うるさい。…途中から安眠し過ぎて授業に遅れた。お前の声のせいだ」
と、付け足す藤井に、そこまでして聞いてくれてたの?という疑問が芽生える。そんなわけないか…
それにしても、何でこんなに藤井の言動にドキドキさせられるのかわからない。
ちょっと声を褒めてもらえたからって、
ちょろすぎるだろ、俺。
…そんなことよりまず
「んで、何パンなの?」
「プリンパン」
聞いたこともないようなパンに驚く
「何それ」
「気になるなら明日買って来てやるよ」
「いいの??ありがとう。楽しみ!」
はしゃぎ過ぎたかな、藤井がきょとんとしてる。
すっと目を逸らしてポツリと
「はしゃいでる声もいいね」
とか言う。これは…からかわれているのかな。
それでも、そんな約束が嬉しくて顔がにやける。
藤井も少しニヤけてるように見えるのは気のせい?
