ちのはて

 西棟に位置する地学準備室に満ちる光は、いつもどこか仄暗く、埃を纏っていた。高く、長く昇るようになったはずの陽は東棟にのみこまれ、漸く陽光が差し込む頃合いとなったときには、郷愁を抱かせる茜色に染まっている。
 クイズ部の本拠地であるその教室は、バラ色の高校生活を送るにしてはカビ臭い場所だ。ノスタルジックで物憂げな印象が全面に押し出されている。
 ――それでも、悪くはないか。
 薄埃に包まれたいがらっぽい空気に軽く咳払いをして、類は手にしていた参考書に目線を落とした。
 この教室にうっかり迷い込んだあの日以来、初めて来る金曜日だった。
 毎週金曜日の七限目は、強制部活動時間として設けられている。
 週に一度の部活動も、この日ばかりは活動をして報告書を提出しなければならない義務に駆られている。幽霊部員も例外なく部活に参戦するこの時間の校舎は、いつも以上に落ち着きがなく、騒がしい。
 先週まで、類は自然科学部に籍を置いていた。
 可能な限りの時間を勉学に充てたかった類にとって、「自然科学部」という存在は、大きな隠れ蓑となると思っていたのだ。
 ところがどっこい。
 過去に戻れるのであれば、碌な見学もせずに部活動を選んだ自分を殴り飛ばしたいと類は思う。
 自然科学部。
 名前の響きだけでイメージをするのであれば、地味で内向的な者達が静かに顕微鏡と向き合う光景が連想されるだろう。だが、この北高校の自然科学部は、そのイメージを尽く覆す集団だった。
「自然科学! それは身近な自然を科学することなり。故に我らは自然に触れねばならぬのである」
 それが自然科学部の掲げるスローガンだった。
 その部を端的に述べるのであれば、科学に取りつかれたクレージー集団だろう。自然科学と実験が免罪符になると信じ込み、度重なる実験とフィールドワークを繰り返す知的好奇心に駆られた獣の集まりだった。
 ――それに比べれば、まだずっとマシだ。
 あの部では、類は所在なく俯くことしかできなかった。実験要員として駆り出され、精神安寧のための教科書に目を通すこと(ルーティン)もできずに、身も心も寄る辺なく揺らいでいた。
 対して、この地学準備室はといえば――。
 類は意識を手にした本に戻した。
「来てくれるだけで良いからさ」と言い放った恵の言葉を盾に、類は強制部活動の時間で堂々と教科書に目を通していた。
 印字された文字をなぞるだけの灰色の日常。バラ色の高校生活とは隔絶された類の日々は、どこかカビ臭くて薄暗い地学準備室とかみ合っている。
「だぁ!! また押し間違えた」
 しかしながら、そのほこり臭い空間に満ちた声は活気に溢れていた。その一声で、教室中に満ちた薄闇を振り払ってしまいそうな、圧倒的な陽の気配に、類は視線を上げた。
 視線の先では恵が机に突っ伏しながら、唇をとがらせている。良く動く手は、不満を顕わにするようにバンバンと机を叩いている。
 見覚えのある光景だった。
「何度もいっているだろう。先走りすぎなんだよ、恵は。今のは定番の『ですが問題』な。ちゃんとパターンを身体に覚え込ませろ」
「パターンでって言っても、『ですが』が入らない問題だって考えられる訳なんでしょ。そうしたら無限じゃないですか。どうやって見極めればいいんですか」
 やはり仔犬のようにコロコロと動く男だった。類の見る先で、恵の表情はコロコロと変わっている。
 始めは「どう、できているでしょ」とどこか足りない芸をさも自慢げに見せつけてくる仔犬のようで、それが、先輩からの指摘でみるみるしおれていく。
 最終的には、うにゃうにゃと言い訳を口先で転がしながら、面倒くさい絡み方をしてくるのもやはり犬のようだと類は思う。
「ねぇ、類もそう思うでしょ」
 不意に矛先がこちらを向いた。
 ぼんやりと見つめていた先に焦点を合わせれば、恵の瞳が爛々と輝き類をみていた。その輝きは、新しいおもちゃを見つけたばかりの仔犬のようで――。
 その後ろで静かに手を合わせる先輩集団を認め、類は溜息を吐いた。
「すまん、聞いてなかった。興味が無い」
 早々に会話をぶった切り、類は再び視線を手元に落とした。
 無為に時間を浪費するのは何よりも愚かな事だ。
 だからせめてと、類は参考書を繰る。そこに連ねられた言葉など、いつの間にか意味をなさない文字列にしか思えなくなっていたが、それでも「みているだけでも意味がある」と自らに言い聞かせた。
 不意に、白黒の文字列が激しく揺れた。
 参考書を押しのけられる。「なんだ」と疑問符を吐き出すまもなく、真正面に現れた栗色の輝かしい瞳に、類は思わず仰け反った。
「『ですが問題』の話。興味ないって言いながら聞いてたでしょ」
「知らん」
「嘘だ。類がここに来てから読んでいる『フリ』の教科書、全然、ページが進んでないよ。それに、視線も――」
 言いながら恵が手を振った。類の眼前、視界の端に窓を納められる場所に掌を翳す。
「類の視線、ずっとこの辺にあったよ。本当はコレ、読んでないでしょ」
「――読んでたさ」
「ホント? じゃあ、問題出すね」
 言って恵がパラパラとページをめくった。類が開いていたページよりも前のページばかりを見ている当たり、本当に知識確認の問題を出すつもりなんだろう。
 ――下手に断ってだるがらみされるよりも、向こうのペースに合わせる方が賢明か。
 恵に関わることで生じる面倒くささを脳内で列挙し、より労力が少ないであろう方を類は選択した。唇に指を当て、参考書に目を通す恵を正視し、静かにその口が紡ぐ言葉を待った。
「よし、コレかな」
 ぽつりと呟き、恵が顔を上げる。
「いくよ、類。――問題」
 問題、と口にした瞬間、空気がひりつくのを類は感じた。教室中に神経が張り巡らされたような圧迫感に、ほんの僅か類は慄いた。
 恵の口から紡がれる次の一言を逃すまいと、限界まで緊張が張り詰められる。教室を支配したそれに引き摺られるように、類もまた、恵の口元に視軸を向ける。
 教室中の視線を一身に受けながら、恵はゆっくりと唇を動かした。
「サンクトペテルブルクの緯度と経度は」
「「出る分けねぇだろ、んな問題!!」」
 限界まで張り詰めた神経がぷつりと途切れ、莫大なエネルギーを生み出した。
 各々が自由に過ごしていると思われていたクイズ同好会の面々が、一致団結し教室を怒声で震わせる。
 その中の一人となって、類もまた声を張り上げた。
「俺がみていたの歴史の参考書だぞ。なんで、そんな問題が出てくる」
「いやぁ、ロシアってあったからさ。ロシアの昔の首都ってサンクトペテルブルクだろ。そしたら、場所ってどの辺だっけって思ってさァ」
 まあ連想ゲームだよと、恵はカラカラと笑う。
「クイズって何か俺は知らねぇが、愚問だと言うことはよく分かった」
 珍しく声を張り上げた事で、どっと疲れたような気がした。類は机に額を押しつけるように突っ伏した。らしくもなく興奮した事で、頬が火照っていたのだろう。仄かに冷たい卓上が心地よく思えた。
「サンクトペテルブルクを問題にするなら、『その名前は聖ペトロの街に由来する、交易の拠点として栄えたロシアの旧首都はどこ?』あたりが無難じゃないかな」
 盛大に突っ込みをかました先輩の内の一人が、ぽつりと零す。それに同調するように、他のクイズ同好会の面々もまた、強く頷いた。
「えーー。それじゃ、何か普通じゃないですか。こう、トリッキーなものの方が面白いでしょ」
「面白いかどうかで言われると面白いが、クイズとしては成立していないんだよ。――変な所に手を伸ばすよりも、まずは基礎的な問題で場慣れする方がお前にはあっているよ」
「えー、つまんない」
 ぐぇと情けない声を漏らしながら再び恵が机に突っ伏した。類のすぐ側まで来ていたのだから、彼が突っ伏した先の机は無論、類の机であって――。
 至近距離に感じる他人の気配に、類は苦々しく息を零した。
「近い」
「仕方ないじゃん。机、ここにしかないんだもん」
「定位置に戻れ」
「僕の定位置は類の横」
「初耳だな。俺の横は空気が占拠しているはずだが」
「今決めたんだよ。よろしくね、我が心の友よ」
「生憎、人生最大の友は孤独と決めている。――どう足掻いても二番目だ」
「つれないなぁ」
 もっと愉しもうよと恵が笑った。その吐息が類の髪を擽る。
 どれだけの拒絶も意に介さず、類が次々に立てた心の壁をブルドーザーよろしくなぎ倒していく様は、どこか新鮮で、こそばゆく思えた。
 ――知らぬ感情だった。
 油断すればふわついてしまう心持ちも、ほんのりと熱を持つ頬も、それが持つ意味を類は知らなかった。名前の知らない感情は、地に足をつくこともせず、ふわりと漂って、類の心を惑わせる。
 ――これ以上考えてはいけない。
 名前を知れば引き返せなくなる。
 名前がつけば、失う痛みを知ってしまう。
 本能に近いところが警告を発した。その言葉に従うように、類は身をよじり、じりじりと距離を詰める恵から顔を背けた。
 人なつっこい好奇心の塊のジャックラックスは、それでも距離を詰めてくる。
「ねぇねぇ類」と鼻息荒くにじり寄り、体重を掛けてくる恵から距離を取ろうと、腰を引く。
 刹那――。
「新人同士、基礎練したらどうだ」
 問い読みは俺がやるからさ、と先輩の一人が口にした。
「基礎練?」
 文化部の活動に付随するとは思えないフレーズに、類は首を傾げた。
 同時に「基礎ってつまんないじゃないですかぁ」としおれた顔で恵がごねる。
「僕はもっと実践的な勝負をガンガンやりたいんですよぉ」
「それで自滅しているのって、どこのどいつだっけ」
 先輩が悪役顔で笑みを浮かべれば、「自分です」と情けない声で自供した。
「お前は、俺ら経験者とばっかりやっているから焦るんだろ。その点、類は初心者だ。おおよそのスタートラインは一緒。点を取らねばと焦って失点する事はないだろう」
  じゃあ始めるぞ、と先輩が手にしていたノートをめくった。古ぼけた灰色のノートの表紙には、手書きで「想定問題集」と記されている。端が摩耗し、草臥れた印象が漂っていた。
「気になる? あれ」
 小声で訊ねてきた恵に、類は素直に頷いた。
「あれ、うちの部に代々伝わっているノートなんだって。コレまでのクイズ大会とかで出た問題のうち、先輩が記憶して書き残したのが『過去問題集』、そこから派生させて類似問題とかを列挙したのが『想定問題集』なんだってさ」
「記憶してって――。普通に問題集とか、過去問とかは無いのか?」
「クイズ大会ってマイナーだから。ネットに同好者のアーカイブがあったり、たまにテレビであるクイズ番組からピックアップしてくる事も少なくないよ」
「面倒だな」
 問題を読み上げ、ただ答えを述べるだけのものだと思っていた。――が、その裏に隠された想像もつかない手間に、類はただ感心する事しかできなかった。
「無駄って思った?」
 上目で覗き込むようにして口の端をつり上げる恵を、類は見下げた。
 確かに、恵の言うとおりだ。
 聞いただけの問題を文字に起こすのも、そこから派生させて問題を作り出していくのも、テレビやネットからサルベージしてくるのも――。
 無駄、と切り捨てることは容易い。普通の教科であれば、過去問は書店に並び、解説だって無数に存在する。
 合格のための合理的で最短の道程が提示されているようなものだ。それに比較すると、クイズ部の行う手技は余りにも非合理的だった。
 態々、そこまでの手間を掛けて望むだけの理由が、はたして「クイズ」にあるのか――。
 類は分からずにいた。
「今に分かるよ。――類の本性はここにあるからさ」
 恵がさも知ったような口で呟き、ニヤリと笑った。
「よし、いくぞ。――問題」
 先ほど恵が宣誓したときと同じだった。凜と艶やかに響く問い読みに、空気がピリッと張り詰める。続く言葉の、その出だしの子音さえもがつぶさに拾い上げられそうな静寂に、自然と、類も身構えた。
 隣にいる恵もまた緊張しているのだろう。固唾を呑む嚥下音が微かに耳に触れた。
「ブダペスト――」
 バンっと机が激しく叩かれた、同時に、恵が「ハンガリー」と高らかに宣言する。
「誤答です」
 問い読みを務めた先輩が、静かに正誤判定を告げた。信託者の如きその姿は、恵と共にやんやと罵り合っていた姿とは大きくかけ離れていた。
 張り詰めた緊張が針となって、類の皮膚をピリリと刺激した。
 ――真剣勝負だ。
 理解が遅れて訪れた。
 類が状況を認識したとき、その鼻先には既にむき出しの刃が突きつけられていた。
「残り十秒。回答者がいなければ、この問題はスキップとなります」
「ですが問題でそれは狡くない」
 荘厳な問い読みを進める先輩に恵が噛み付いた。同時に、「あっ」と口元を覆う。
 やばいと書かれていそうな表情で恵は類をみた。
 ――やはり、よく動く顔だ。
 動揺と焦りが表層に浮き出た恵の顔を視界の端に捉え、類は思った。
 果たして、恵はなににあせっているのだろうか、と。
 ――ですが問題。
 それはこの教室で度々飛び交っている言葉だった。記憶を漁り、それが出てきた文脈を辿る。
 
 ――また押し間違えた。
 ――先走りすぎ。
 ――アレンの法則と、ベルクマンの法則。
 ――二択を絞りきれない。

 この空間で聞いた言葉が、走馬灯のように類の頭を瞬間的に駆け抜けた。
 アレンとベルクマン。
 ふと、思い起こした記憶が類の頭蓋の内側をカリカリとなぞった。
 何かある。
 直感に等しい何かに引き摺られ、類の意識はその更に奥底へと向かう。
「残り五秒」
 静かな問い読みが遠くから響く。
 しかし、思索の海へと潜る類にとって、その声は酷く遠く、くぐもって聞こえた。
 アレンの法則とベルクマンの法則。
 それは、共に寒冷地域に住む恒温動物の特性を示した法則だった。身体が大きくなる特性を得たことを論じたのがベルクマンの法則で、耳や鼻が小さくなるのを示したのがアレンの法則。
 で、あれば――。
 ――ですが問題とは、途中まで同じ文章で紡げる問題、あるいは対比的なものを連ね、文中で「ですが」と切り返しのできる問題なのではないか。
 ならば、と類は更に深く記憶の海に潜り込んだ。
 今回の問題――恵が誤答するまでに読まれた文章は「ブダペスト」だった。
 果たして、そこから繋がるパラレルはどこへ向かうだろうか。
 どぷりと、蓄えてきた知識の海が荒波を立てた。
 たったワンフレーズで答えを絞り込めるわけがない。
 光のない夜の海で、荒れ狂う嵐の只中、なすすべ無く漂うような絶望が類を襲った。どれだけ蓄えた知識も、方向性が定まらなければ、何の意味も無い。
 蓄えてきた知識は無為に帰る。
 その刹那――。
 指先に宝が触れた。
 閃光が弾けるような、刹那的な閃きと共に類はその言葉を口にする。
「ルーマニア!」
 重苦しい静寂が満ちた。
 緊張に口が渇く。
 類はゴクリと唾を飲み込み、正誤を告げる先輩の口元を見つめた。
「正解」
 よく分かったなと、感心した様子で先輩が言った。他の部員もほうっと嘆息を零す。
「なんで類が分かるんだよぉ」
 地学準備室に詰める部員の皆が、類のファインプレーに感心する中、ただ一人、恵だけが不満を零した。
「おまえがヒントをくれたから」
「ヒントぉ?」
「『ですが問題』って。それでピンときたんだよ。ベルクマンとアレンみたいに類似する系統のものか、あるいは、対比できる何かを『ですが』で並列しているんじゃ無いかってな」
「それでルーマニアだせる?」
「ブダペストと、ブガレストは語感が似ているからな」
 まあただの勘だよと、類は笑った。
 肌を切るような緊張から解放されたせいか、謎の達成感が胸中を占めていた。
「恵のポカはいつものことだから置いておいて、だな――」
 問い読みを務めた先輩がノートを置き、類に向き直った。問題を読み上げていたような重々しさはなく、とても軽い、取っ付きやすいお兄ちゃんといった声音で先輩は続ける。
「よく知ってたな、お前さんは。ルーマニアの首都なんて、普通なら知らずに生きていけるぜ」
「まあ、昔、本に出てきて、なんとなく――。テストには出ないから、意味、無いですけど」
 歯切れ悪く答え、類は視線を下げた。
 そう、テストに出ない知識。
 それは、どれだけ蓄えていようとも使われることなく腐敗していくだけの「無駄」に過ぎない。
 他人に誇れるものでもなく、例え誇って掲げたところで当てつけだの、ひけらかしだのと後ろ指を指されるのが世の常だった。
 故に、意味が無い。
 類は俯き、唇をかんだ。
 いつからだろうか。
 愉しく知り、蓄えたはずの知識の泉がトラッシュボックスに成り果てたのは。
 せっかくの正解、久々の賞賛も、類の心を深く静めていく。
「やっぱりさ、類にはクイズが必要だよ」
 不意に恵が言った。
 曇天を一気に吹き飛ばすような、呆気カランとした口調で、恵はつづけた。
「類の知識は絶対に役に立つ。今、証明された」
 君はクイズ研究会にいるべきだと、いつかのように恵が言う。
「でも、意味が無い」
「意味が無きゃ意味が無い何て、馬鹿げているよ。――大体、人生なんて大抵のことが意味が無いんだ。類の考えじゃ、みんなすぐに死ぬべきだっていっているようなもんだよ」
「それは極論だろう」
「類の考えは、僕らにとってはそうなんだよ」
 ねぇ類、と恵がズイッと顔を寄せた。
「僕は君が欲しいんだ。君の知識は、この場に於いて宝になる。意味が無いって捨てるんだったら、それを僕にちょうだいよ」
「知識をくれって、ミニ脳を作ってラットに移植するところから始めるつもりか」
「iPS細胞の実験のヤツだね」
 いって恵はカラカラと笑った。知っているのなんて僕ぐらいだよと、負けたにもかかわらず愉しそうに、目尻に涙を浮かべ、ひとしきり笑う。
「ねぇ、類。君は君が思っている以上に価値のある存在だよ。ここでならそれを証明できる」
 目尻に浮かんだ涙を拭い、恵はいった。
「類が意味を見出せないのなら、僕がそこに意味を付与する。改めて言うよ」
 クイズ部にようこそ。
 恵の肌が類に触れる。
 抱きしめられたのだと気がついたときには、類はクイズ同好会の仲間達の温かな拍手を一心に受けていた。