ひとりぼっちだった、あの頃のわたしへ。
最初の一歩を踏み出すのは、とても勇気がいるかもしれない。
でも、きっと歩き出したその先には素敵な景色が待ってる。
自分のペースでいい。たとえ言葉足らずでも、心はちゃんと通じ合っているはずだから。
「よう、篠田! 最近の調子はどうだ?」
終業式の放課後。
校舎内は、明日から始まる夏休みにすっかり浮き足立っている。
「ぼちぼちですかね」
人混みを避けるべく、校舎裏の花壇をうろついていたら森田先生に捕まった。
「の割には、前より楽しそうじゃないか」
「そう見えますか……?」
「ああ、近頃、月之木ともよく一緒にいるようだし」
あれから月之木さんには、しょっちゅう、危ない実験に付き合わされる。おかげで、こっちは命がいくつあっても足りない。
「お前達なら、良いコンビになれると思ってたぞ」
「や、やっぱり、森田先生だったんですね」
俺の勘、冴えてるだろ? と、ジャージの裾をたくし上げ、マッスルポーズを作る森田先生。歯並びの整った白い歯が、キランと光った。ま、まぶしい……。
「先生って暑くないんですか? いつも長袖着てますけど」
「暑くない!」
即答だった。多分、ロケットより速い。
「なぜなら俺は――」
ジャージのファスナーを下げる。
初めて見たハイネックの下には、”4桁の数字”が刻まれていた。
『アンドロイド先生は、学校生活に馴染むことができるのか!? 今後の動きに注目です!』
瞬間、脳内再生されたのは、一月前のニュース。
それに先生は、今年の4月に入ってきたばかりの新任。点と点が繋がった。
「なぜなら俺は、”アンドロイド”だからな」
「えっ……ええええええええぇぇぇっ!?」
騙された。
というか、全然、気づかなかった。
「他のみんなには秘密だぞ。まぁ、月之木には速攻で見破られたが」
あ、月之木さんは知ってたんだ……(初耳のダブルパンチを食らって、もはや、何もツッコめない)
でも、どうして、わたしにだけ?
「俺も見たいからな」
ファスナーを閉じ、先生はつぶやく。
「アンドロイドと人が壁を越えて、となりで笑っていられる世界。お前達が作ってくれるんだろう?」
「聞いてたんですか!?」
「たまたまだ。だが、坂本先生には黙っておいてくれ。後で、どんな顔されるかわからん」
きょろきょろと辺りを気にしている森田先生を見るからに、坂本先生を畏れているのは、生徒だけじゃないらしい。笑うと、普通のおじいちゃんなんだけどな。
「後、お前達っていうのは……」
「もちろん! 篠田と月之木に決まってるだろ?」
なんで、自動的に一緒にされてるんだろう。
「お前達なら、きっとやってくれるって信じてるよ。なんたって、俺が見こんだ最強のコンビだからな!」
親指で、先生がグッドサインを作る。
——信じてる、か。
少し前までのわたしなら、恐れ多さに受け止めきれなかった言葉。でも、今はもう違う。 高鳴る心臓に手を当てれば、そこは優しい熱で満たされていて。
無限の可能性を秘めた空が、未来を照らしてくれる太陽が、まるで虹色に輝いて見えた。
最初の一歩を踏み出すのは、とても勇気がいるかもしれない。
でも、きっと歩き出したその先には素敵な景色が待ってる。
自分のペースでいい。たとえ言葉足らずでも、心はちゃんと通じ合っているはずだから。
「よう、篠田! 最近の調子はどうだ?」
終業式の放課後。
校舎内は、明日から始まる夏休みにすっかり浮き足立っている。
「ぼちぼちですかね」
人混みを避けるべく、校舎裏の花壇をうろついていたら森田先生に捕まった。
「の割には、前より楽しそうじゃないか」
「そう見えますか……?」
「ああ、近頃、月之木ともよく一緒にいるようだし」
あれから月之木さんには、しょっちゅう、危ない実験に付き合わされる。おかげで、こっちは命がいくつあっても足りない。
「お前達なら、良いコンビになれると思ってたぞ」
「や、やっぱり、森田先生だったんですね」
俺の勘、冴えてるだろ? と、ジャージの裾をたくし上げ、マッスルポーズを作る森田先生。歯並びの整った白い歯が、キランと光った。ま、まぶしい……。
「先生って暑くないんですか? いつも長袖着てますけど」
「暑くない!」
即答だった。多分、ロケットより速い。
「なぜなら俺は――」
ジャージのファスナーを下げる。
初めて見たハイネックの下には、”4桁の数字”が刻まれていた。
『アンドロイド先生は、学校生活に馴染むことができるのか!? 今後の動きに注目です!』
瞬間、脳内再生されたのは、一月前のニュース。
それに先生は、今年の4月に入ってきたばかりの新任。点と点が繋がった。
「なぜなら俺は、”アンドロイド”だからな」
「えっ……ええええええええぇぇぇっ!?」
騙された。
というか、全然、気づかなかった。
「他のみんなには秘密だぞ。まぁ、月之木には速攻で見破られたが」
あ、月之木さんは知ってたんだ……(初耳のダブルパンチを食らって、もはや、何もツッコめない)
でも、どうして、わたしにだけ?
「俺も見たいからな」
ファスナーを閉じ、先生はつぶやく。
「アンドロイドと人が壁を越えて、となりで笑っていられる世界。お前達が作ってくれるんだろう?」
「聞いてたんですか!?」
「たまたまだ。だが、坂本先生には黙っておいてくれ。後で、どんな顔されるかわからん」
きょろきょろと辺りを気にしている森田先生を見るからに、坂本先生を畏れているのは、生徒だけじゃないらしい。笑うと、普通のおじいちゃんなんだけどな。
「後、お前達っていうのは……」
「もちろん! 篠田と月之木に決まってるだろ?」
なんで、自動的に一緒にされてるんだろう。
「お前達なら、きっとやってくれるって信じてるよ。なんたって、俺が見こんだ最強のコンビだからな!」
親指で、先生がグッドサインを作る。
——信じてる、か。
少し前までのわたしなら、恐れ多さに受け止めきれなかった言葉。でも、今はもう違う。 高鳴る心臓に手を当てれば、そこは優しい熱で満たされていて。
無限の可能性を秘めた空が、未来を照らしてくれる太陽が、まるで虹色に輝いて見えた。



