俺は思わず手で口を塞いだ。
お風呂場は思っていたより、声が反響する。
「天音、声我慢しないで」
「やだっ……はずい……」
「やだじゃない。死ぬほど興奮するから」
律くんは、俺の身体を包みこむようにして、
きつく抱きしめてくる。
何度も後ろから突かれて、俺はもう翻弄されっぱなしだ。
「んっ、ふっ……んっ」
鏡に映る自分が見たことないくらい情けない顔で……
こんなの自分じゃないって泣きたくなるけど、
それと同時に、律くんだって熱に浮かされた顔をしていて……
(好き……大好き……)
言葉にはできない代わりに、
俺は、ずっと繋がれたままの左手を
ぎゅっと握りかえした。
「あ、まね……やばい……」
「あ、待って、――もう、だめ……」
「「……っ!」」
俺は全身の力が抜けて、ずるずると倒れこんだ。
律くんがかろうじて抱え込んでくれたおかげで、
どこもぶつけずに済んだ。
「……風呂はだめだな……」
「うん。もう、立ってするのも無理……
足、ガクガクなんだけど……律くんのせいで!!」
俺は律くんをギッとにらんだ。
「ごめんって。
でも、目の前であんな格好してる天音みたら
我慢できなくない?今日のは不可抗力」
「確信犯のくせに!律くんのバカ!」
「あはは。俺のやりたいことリストの1つ、叶いました」
「……やっぱり」
「ごめんって。天音、許して」
許しても何も、別に初めから怒ってもいない。
初めてのことだらけで、ビックリすることもあるけど。
でも、律くんのやりたいことなら、
できるだけ叶えてあげたい……
そう思ってしまう俺は、
もう十分律くんに溺れているのだろう。
「疲れた。もう後のこと、全部律くんがやって」
「はいはい、天音さん」
「今、無性にアイスが食べたい」
「任されました!」
ふざけながらじゃれていると、
ふと端正な顔立ちが近づいてきた。
俺は誘われるがままに目を閉じて、そっとキスをした――。
fin……



