橘先生の過保護な再履修



律くんの部屋に着くと、
「シャワー、先どうぞ」
と、当たり前みたいに言われた。
もう何度も泊まっているのに、
それでも少しだけ胸が跳ねる。

洗面所のチェスト。
一番下の引き出しは、俺の場所だ。

歯ブラシセットと、
替えの下着。
……いつの間にか、当たり前みたいに揃えられている。
「パジャマ持ってこようか」って言ったら、
律くんは笑いながら、
「天音が俺の大きい服着てると萌えるから」
なんて言うから。
……だから、持ってきてない。

引き出しから下着を取って、
そのままシャワー室に入る。
何度も使っているはずなのに、
やっぱり少し落ち着かない。
実家とは違う、ほのかに甘くて、清潔な匂い。
置いてあるのは、
ボディソープじゃなくて、
“シャワージェル”なんて洒落たもの。

正直、使い方はよくわからない。
でも、たぶん――同じ、だと思う。

(……今日も、するよね)

心の中で小さくつぶやいて、
俺は、そこに指を伸ばした。
その瞬間――
がらり、と音がして背後の扉が開いた。

「なっ、律くん!まだ入ってるってば!」

「知ってる。でも、ほら。
天音、絶対一人で準備してると思ったから。
ねぇ、何回も言ってんじゃん。
俺の楽しみ取らないでって。
天音の身体ほぐしていくのも、俺の仕事なんだけど」

「だ、だって……恥ずかしい……」

「もう何度もしてるのに?」

「明るい場所でまじまじと見られんのはやなの」

「そうなの?でも俺は天音のこと、隅々までみたいなぁ」

そういって、律くんは背中に覆いかぶさってきた。
肌と肌がぴったりと触れ、
足元からぞわぞわと何かがせりあがってくる。
その上、腰に当たる熱は、もう大きくて硬くなってて……

「あぁっ……」

思わず声が漏れる。
鏡越しに律くんは俺を捉えている。

(あぁ……もう逃げられない)



律くんは行為に至る前に、俺の身体を入念にほぐした。
それはもう、立っていられないくらいに……

「り、つく……もう、おねが、い……」

気づけばそんなことを口走っていた。

「天音、可愛い……」

シャワーのお湯と湯気にまみれて、意識がふわふわとする。
背後に押し付けられた熱に、俺は息をのんだ。

「……ん……あぁ、あ、あ……」