学校の王子に告られたんだけど‥?!

毎度のことながらの昼休みを終えて、遠巻きだったクラスメイトから反応があるようになってきていた。

「おいおい!下川!王子とのお付き合いどうなんだよ〜!」

「下川くん!王子からお弁当ってどう言うこと?!」

最初こそ、遠巻きにこちらをチラチラ見ては何やら話しているのは聞こえていたが、こうも日数を重ねると我慢の限界という奴だろうか、クラスメイトは俺に話しかけてきていた。

初めてクラスメイトと話せるかもしれないという僅かな喜びと、何で話す内容がこんな星奈攻めな内容なのかと言う落胆が入り混じっていた。
そりゃ、そうだよな。昼にあの笑顔でお弁当とまできたら尋問されるよな。

「‥いや、付き合ってないし、お弁当も星奈が勝手に‥」

「え?でも、毎日手繋いで、手作り弁当までラブラブじゃん〜」

「王子からの毎日のお弁当‥なんて羨ましい‥!」

男子は面白半分で話しかけてきていて、女子からは数人から怨念のようなものが見える。

(これ以上は何かマズイ気がする)

そう感じたその時、教師が教室内に入ってきて授業を始めると声をかける。
全員が自席に戻り何とか息ができた瞬間だった。

星奈と出会ってあいつといることで、理不尽な想いを受ける。
そう覚悟を一応は覚悟していた。
それこそ、少女漫画のように毎日のように女子からの何らかの嫌がらせや警告などなどあると思っていたのだが、今の状況を見るにそんなことをする影もない。

(いや、無いに越したことは無いんだけど‥)

でも、時々思ってしまう。
俺たちは、俺と星奈のこの関係は周りからどう見えているのだろうと。
確かに告白をしてきたのは、星奈で突っ走っているのも星奈だ。
だけど、それを受け入れている俺もいるわけだ。
なぜか、星奈の王子スマイルも時々見せる王子スマイルじゃない時も全てに俺は許せてしまうほど心が星奈に傾いてしまっている。

これは、いけないことなんじゃないか。

ふと、思った『間違い』という言葉に思考が掻き乱される。
何が。なんて、具体的に言葉にするのは難しいが、星奈は、王子と言われるまであってそりゃ女子からモテる。
本来ならこんな、ゲーム廃人が隣に並ぶんじゃなくて、可愛い女子が隣に並ぶべきなんじゃないか。

「‥俺なんか‥」

「ん?どうした、下川」

言葉にしようとした瞬間胸の内が苦しくて、気持ち悪くなってくる。
教師に許可をとって、気分が悪いと言うことで保健室に向かうことにした。
保健室に着けば、保健室の先生が何かを感じ取ってくれたのか直ぐにベットで休むことを勧められる。
ありがたくそれに甘えて、ベットに潜り込んで未だに苦しい胸の内を抑える。

『‥俺なんか‥隣に居ていいはずがない‥』

あの時、そう言葉にしようとした。
その瞬間何かが、引き裂かれるような感覚に陥った。
なんなんだ。なんなんだよ。
こんな気持ち知らない。
大きくなるにつれて人と関わる機会が減って、随分と抱え込んでいた、気遣いや、思いやりや人として必要な重荷から解放されたと思っていた。
俺にとって気遣いや思いやりは。うまくできなくて拒絶するものだった。

だけど、今この中にある気持ちは気遣いや思いやりなんて感情は一切ない。

(この気持ちはなんなんだよ)

考えても、考えてもわからず、そっと瞼を下ろして現実を拒絶した。

いつの間にか意識は深く、奥深くに沈んでいくようで何やら無邪気な声が聞こえる。

『おーい!こっちだって!』

『ま、まってよ〜!』

あぁ、これは小さい頃の記憶だ。
友達が多かった俺だが、そういえば唯一の友達と言っても良い、たった一人の友達がいた。
そいつと仲良くなったのは偶然で、よく遊ぶ関係性だった。
とても、仲の良い友達だった。
そうだったはずなのに、何故だろう。モヤが掛かったように、顔も名前も思い出せない。
あんなに楽しかったのに、あんなに大切な存在だったのに。

(なんでだっけ‥)

そこで、まるでテレビの電源が切れるように視界は真っ暗になった。

次に目を覚ませば、目の前に星奈の寝顔があった。

「うわぁ!」

飛び起きて、ベットの端のギリギリで耐えていると今の大きな音で起きた、星奈が目を擦りながらこちらをポヤポヤとしていた目で見ていた。
次第に、はっきりしてきたのか目を擦るのをやめた星奈は、こちらに身を乗り出してきた。

「羽流くん!?大丈夫?保健室にまた行ったって聞いて心配で‥」

「その割には寝てたけど‥」

どうやら、授業も終わり下校の時間になったため教室に来たら、俺が保健室で休んでることを知り心配で来たのは本当のようだった。
だが、段々と眠くなってきて同じベットに入って寝入ってしまったらしい。

「あはは、朝早くて‥。次は起きてるね!」

朝が早かった。というのは、もしかしなくてもお弁当を作っていたからかもしれない。
驚きはしたが、確かに手の込んだおかずにあの装飾はきっと、早起きして作ってくれたんだろう。

「なぁ、なんでそこまですんの?お弁当だって」

興味本位と恐怖心から聞いてみる。
流石の星奈も悩むかと思えば答えは、直ぐに帰ってきた。

「そんなの決まってる。ずっと、君が好きだから」

今まで見たことない、綺麗な笑みとその言葉に俺は、益々俺が取るべき行動が、わからなくなった。