学校の王子に告られたんだけど‥?!

あれから、店長の恋バナ熱は収まるところを知らず、店が閉店して後は、帰るだけだというのに数時間は拘束されていた。

いつ、誰、どんな人それはもう、根掘り葉掘り聞かされて圧に負けた俺はただ、情報をカタコトで話すことしかできなかった。

『で!好きなの?』

『イヤ、オトコドウシデスシ‥』

『恋に男とか女とか関係ないから!』

カウンターの机を「バンッ」と大きな音を立てて叩いた店長の迫力と言ったらもう、恐ろしくて堪らなかった。
過去に何かあったのだろうか。

(怖くて聞けるわけないけど)

あれは絶対過去の恋愛に何かあったやつだろうが、何も聞くまい。
そんなこんながあって、ようやく解放された俺は、翼に遅くなることをメッセージで送り、駅のホームで大きなため息を吐いた。
あいつが、星奈が関わってきたから俺の日常はあっという間に変わってしまった。

人生隅っこよろしくの俺が、毎日学校に行けば学校内の噂の的になって、あいつの行動一つ一つに思考をかき乱されいる毎日になっている。

(人間関係なんて面倒くさいだけだって思ってたんだけど‥)

いつからか、人と関わるには何か相手に与えないといけないものだと、何かを尽くさないといけないものだと思っていた。
俺が持っているもので誰かに与えられるものなんて、一つもなくて、だから人と関わるのをやめた。
その代わりに、ゲームという空想の世界に引きこもった。

だって、ゲームの中だったらどんな俺にでもなれる。
この世界でなら生きていける。そう思った。

なのに、あいつは、流 星奈は、突然現れて俺の手を強引に掴んで引っ張って行った。
俺には何もないのに。星奈は、気にすることなく俺にありたっけの物を与えてくれる。

「変なやつ‥」

本当に、笑ってしまうほど変なやつ。
変なやつすぎてから回ってる時もあるけど、悪いやつでは無いんだなって感じる。
だからこそ、こんな俺を好きでいることは間違っていると思ってしまう。

(どうしたもんかな‥)

そんな、思いを抱えて夜の電車に乗り込んだ。

そんな、想いを抱えた翌日。
駅から出れば、今日も眩しい王子スマイルを見せて手を振る星奈が待ち構えていた。

「おはよう!羽流くん!」

「お、はよ‥」

何となく、改めて考えた自分の考えにこの関係を続けても良いのかと、疑問を抱く。

(だって、こいつなら相手なんて選びたい放題だろ‥)

そう、内心思った瞬間胸の内がモヤっとしたのは気のせいだ。
俺にそんな権利なんてない。
いや、そもそもこの関係がおかしすぎるんじゃないか。

(何が正しいんだ‥)

思考の渦に飲み込まれそうになった瞬間、不意に手を取られその先を見れば、星奈は当たり前のように俺の手をとってこちらを見て、笑みを浮かべていた。

「早く行こうよ!遅刻しちゃう!」

そう言って引っ張る手は、強引で、やはりこいつには敵わないなと思う。
だって、俺が悩んでいるこの間にもこいつは強引に手を引いて星奈の世界に俺を連れ出してくれる。

今の俺には、こうして手を引いてくれる星奈についていくことが、正解だと感じた。

それが、朝までのことだったのだが。

(俺、やっぱ何か間違ってる??)

今日は流石にサボらず授業に出席をしていた。
そして、昼になったのと同時にやつはやってきた。

「羽流くん!お弁当作ってきたから食べよ!」

その言葉の後案の定、クラスメイト達はこちらに視線を向けた。
女子からは今までにないくらいのギラギラとした視線を感じた。

「羽流くん?早く食べよ!」

「わかった、わかったから、一回外に行こう」

星奈の背中を少し強引に押し、何とか教室を後にして体育館裏のひっそりとしているところまで誘導できた。
そこに、一つあるベンチに二人で座ると明らかに上機嫌な星奈は、弁当箱を二つ取り出して、一つを俺の方に差し出してくれる。

「はい!羽流くんの分!多分、うまくできてると思うんだけど!」

「あ、あぁ‥ありがと」

(本当に作ってきたのか)

改めてそれを感じながら、お弁当箱を開けて中身がチラッと見えて思わずお弁当箱の蓋を閉じた。

(いや、勘違いかもしれない‥いや!絶対勘違いだ!)

深呼吸をして、改めてお弁当箱を開けると俺は虚無の境地に入った。
そのお弁当箱の中身のご飯の部分が問題だった。

『LOVE』

と、黒い海苔でデカデカと記されており、周りにはピンク色のでんぷんが掛かっていた。
ゆっくり、隣を見ると何事もないようにお弁当を食べ始めようとする星奈がいた。

「おい、これって‥何?」

「ん?あぁ、胃袋も大事だけどやっぱり心も掴んだかないとね!」

何かおかしいのかと言う目で見れた俺は、頭を抱えることになる。

(やっぱり、俺は間違っているのか‥?!)

正解が未だにわからないまま、優雅なお昼時は過ぎていった。
そして、その日から手作り弁当日和が始まったのだった。