学校の王子に告られたんだけど‥?!

「羽流くん、具合悪いかなって思って色々買ってきたんだけど」

ベットのサイドテーブルに買ってきた物を並べられるが、その量に目を見開く。
ゼリー各種、プリン、あったかいお茶、チョコ、クッキー、おにぎり各種などなど並べられ、こいつは限度を知らないのかと頭を再び抱えることになる。

それに対して、あいつは首を傾げてこちらの顔を覗いてきた瞬間に顔を上げる。

「流石に買いすぎ、そんなに体調悪く無いし‥いくら?お金払うわ」

「え?いいよ!僕が早く羽流くんに元気になってもらいたくて買ってきただけだし!」

健気で純粋とはこの事を言うのか。
その瞳に曇りなど一切感じず、本当に俺のことを心配してくれてると伝わってくる。
しばらく沈黙でいると、何処か目線を左右に忙しく揺らしたあいつの顔が見ていられなくて、おにぎりを手に取って勢いよくかぶりつく。

「全部食べる。けど、今度からこんなにいらないからな!」

そう言葉にして食べながら横目であいつの顔を見ればいつもの王子スマイルじゃない、笑みを浮かべて照れくさそうに笑っていた。

(こんな笑い方もできるんだな‥)

「あ、僕の分忘れちゃった‥」

「あのなぁ、俺より自分のことも考えろよ」

そう言葉にして適当なおにぎりを手にして、差し出せば綺麗に整えられた手がそれを受け取り、小さな口を開けてかぶりつくもそれは、本当に小さかった。
小さな口で食べて頰がパンパンになっている姿を見て、迂闊に可愛いと思ってしまったのはきっと勘違いだ。

そんなお昼の時間を過ごしていれば、あっという間に次の授業が始まる時間になり、流石に午後の授業は出ないとと思ったが先、星奈が横にゆらゆらと揺れていて今にも眠りそうだ。
そこに王子の面影なんてなくて、ただただ可愛い生き物にしか見えなくて、そう見えている俺はどうかしているのだろうか。

(いやいや、可愛いってなんだよ!)

頭をふるふると左右に振り、星奈の肩を揺らして声をかける。

「おい、起きろって!次の授業始まるぞ!」

「んん〜、無理‥寝る‥」

「ちょっ?!は?!」

星奈は、そう言うと無理矢理ベットに入ってきて俺の膝を枕に穏やかな寝息を立ててしまった。

「‥まじかよ‥」

肩を揺らすもうんともスンとも言わず寝息を立てる星奈に、天を仰ぐ。
これじゃ、午後の授業も参加できないしベットに横になることもできない。
どうしたものかと考えるも仕方なくそのままでいることにした。
ふと、星奈が買ってきたものに目がいく。
まだまだ、食べ物は残っていて、本当にどれだけ買ってきてんだよとツッコミたくなる。

(そういえば、昼の購買ってめっちゃ混むよな‥)

そうだ。昼の購買は生徒たちが我こそはと、混むと有名だ。
現に俺も以前経験してから、昼は早めに買いに行くか、残り物をありがたく買いに行くかの二択になっていた。
学校の王子である星奈が購買。

(似合わねぇな)

王子が自ら購買まで行きあの争奪戦に参加している姿が想像つかない。
勝手なイメージだが、学校の王子様というのだから現れた瞬間道が自然と切り開くのかと思う。
でも、もしそうじゃなくて俺が保健室で仮病というサボりで悠々としている間に、俺のために考えて頑張って買ってきてくれたとしたら。
もしも、そんなことをしてくれていたら俺は星奈のそういう部分に惹かれてしまうかもしれない。

「‥いやいや‥!ないない‥!何考えてんだ!」

寝ている星奈を起こさないように小声で、否定するも自分が今考えた、まるで甘いお菓子のような考えが恥ずかしくなってくる。
だって、もしそんなことを考えてしまったとしたら。
だって、もし惹かれてるなんて考えてしまったら。
きっと俺は元に戻れなくなってしまうところに行ってしまう気がして、今はその甘さが甘ったるくて拒絶した。

その後結局、星奈は下校時間まで起きなかった。
途中、保健室の先生が様子を見にきた時は誤魔化すのが大変だった。

『あらまぁ』

『いや、違うんです!こいつ、食べたら寝ちゃってそれだけなんで!』

『お幸せに〜』

『いやっ!ちょっ!』

結局何かを誤解されたまま暖かな目で去っていた保健室の先生に頭を抱えてしまった。
もう、この数日で俺何回、星奈案件で頭抱えてるのか数えるのも嫌になってくる。
兎にも角にも、星奈を起こさなければ。流石に俺も帰りたいし、バイトだってある。

「おい、起きろ」

「‥。」

「起きろって!」

「ふふ‥名前呼んでくれたら起きてあげる」

目を瞑りながらまだ、眠気があるのかはっきりとしない声音で言う気の抜けたその姿にまたしても、可愛いと思ってしまう。

「呼ばないぞ」

「じゃあ、もう少しだけ‥寝る」

そう言って腰に両手を回されて力強くギュッと抱きつかれる。

「おい」

「‥。」

「‥っ!せ、星奈!起きろって!」

そう呼びかければゆるゆると瞼をあげて、体を起こして意地悪そうに笑みを浮かべていた。
まだ、眠いのかポヤポヤしているが何が嬉しいのか笑いながらベットから降りて、立ち上がったと思えば頰にキスされる。

「名前、呼んでくれてありがとう」

耳元でそう囁かれ、星奈はさっきまでの気の抜けた姿とは違いいつも通りの王子モードで、食べ物を片付けていく。
俺はというと、相変わらずこいつの星奈のしてから行動に慣れず赤くなって黙り込むしかなかった。