学校の王子に告られたんだけど‥?!

その日から、俺たちは学校中で「元鞘に戻った」と噂されるようになった。
女子たちは最初の頃のように俺を責めるでもなく、ただイケメンカップルと讃えていた。

「はい、あーん?」

「いや、自分で食べれるって‥!」

そうして、戻ってきた星奈との日常。
相変わらず体育館裏のひっそりとした所で食べる二人だけのお昼。
もちろん、お弁当は星奈の手作り弁当だ。
前にあった距離感もなくなり、ピッタリと隣にくっつき星奈は、あれやこれやと俺の世話を焼くことが多くなった。

「まずは、形から入るのも大事だよ!だから、はい、あーん?」

「あ、あーん‥」

また、どこから仕入れた情報なのか、星奈はあらゆることを俺に尽くしたがった。
対して俺はというと、まだ恥ずかしさが拭えず恋人らしい事と言えば、手をつなげるようになったくらいだろうか。

(いや、もっと俺からも何か行動を‥!)

弁当の残っているおかずを見て、震えるてで箸を持って卵焼きを箸で持った。

「星奈!ん!」

それが精一杯で、突き出すと一瞬目を見開いて驚いたような顔をした星奈だが、すぐに理解してそれをパクりと食べた。

「うん!美味しいね!」

内心、勝ったと思った俺だったが、直ぐに星奈のいつも通りの眩しすぎる笑顔に敗北を感じた。

そんなお昼も終わり、星奈が教室まで送ってくれた。

「お!羽流〜!と王子!」

クラスメイトの名前は未だに覚えられず、俺の頭の中では、クラスメイト男子A、Bと名づけるくらいしかできていない。
そのクラスメイトに呼ばれて足をそっちに向けようとすれば、星奈に名前を呼ばれて振り向けば頰に「ちゅ」と音が出るキスをされる。

「な、ななな!!」

「じゃあ、また放課後ね」

そう、手を振って去っていく星奈を顔を熱くさせて見送ると、クラスメイトが「ヒュー」と煽ってくる。

「お熱い事で〜」

「い、いや、違っ!くはないけど!」

「へぇ〜」

どんどん煽られていく中俺は自席について机に顔を伏せる。
熱くなった顔は冷めなくて、ついでに言うとクラスの煽りも冷めない。
約束を果たして、付き合うことになってからというもの俺とクラスメイトが絡むと決まって星奈は、牽制というものをするようになった。

『だって、僕の方が羽流くんのこと全部わかってるし、好きだし、愛してるのに、あいつら羽流くんと距離近すぎだし‥』

星奈にそこまで言われて俺は何も言えなくなってしまった。
そして、もう一つ星奈がとった行動があった。
ある放課後のこと、どこか寄り道をしていこうと提案された時だった。

『ごめん、俺バイトだ』

『え?バイト?何処で?!』

そこからの星奈の食いつきは凄くて、その日中にバイト先に連れて行って欲しいと言われて、断るも何度も食い下がられて、渋々連れ行った。

『うん、君、採用』

『え?て、店長?』

店に入って俺が準備を終えると何故か、店長はアルバイトに星奈を即採用していて、今では一緒に働いている。
店長は、確かに人がいい人だが、厳しい面もある。
そんな店長をどうやって説得したのかは、未だに謎だ。

学校が終わり、教室まで羽流が迎えにきて一緒に帰る。
クラスメイトにも「また、明日」と手を振り別れた。
今日はバイトもなくて、お互い急いで帰らなくてもいい日。

どうやら、星奈は高校までに勉学で実力を両親に見せつけて、一人暮らしをしているらしいことを最近知った。
だからか、お互い何にもない日や次の日が休みの日は、星奈の家で二人で過ごしている。

今日も、家には帰らないと連絡を入れて星奈の家にお邪魔する。
玄関に入り扉の鍵を閉めて、二人きりになった瞬間、星奈の顔が近づき、唇に口付けられる。
学校ではできない、二人きりの時だけの口付けは俺は未だに慣れずにいた。

「ふふ、顔真っ赤」

「仕方ないだろ、そんな直ぐに慣れない‥」

「羽流くんは、可愛いね」

「は?!」

益々顔に熱が集まって、それが面白いのか星奈は笑っている。
玄関にいつまでも居るわけにもいかず、中へ入る。
綺麗に整頓された部屋。決して広くはないが、星奈らしい部屋だった。
星奈が勢いよくベットに寝転び、隣にスペースを開けてくれて俺も勢いよくベットに寝転ぶ。

「羽流くん、またゲーム遅くまでやってた?」

「何でわかるんだ?」

「目の隈、薄らだけどあるよ〜、だめだよちゃんと寝ないと」

毎度こうして向いあって寝転がると、星奈は全てを見抜いてしまう。
嫌なことがあった時や、こうしてゲームに明け暮れた日のこと。
星奈は、ぎゅっと抱きしめて背中をトントンとリズムよく優しく叩く。
段々とそれが心地よくて、瞼が重くなっていく。

「ほら、眠って?」

「ん、せいな‥」

「何?」

「すきだ」

「うん、僕も羽流くんが大好きだよ」

なんでもない日の文化祭から始まった、恋愛劇。
戸惑って、逃げて、すれ違って、泣いて。
ドタバタな、まるで一つの物語。
一人ぼっちだと思っていた俺たちは、昔に繋がって今もずっと繋がっている。