バイトが終わって、家に帰れば何やら賑やかな声がリビングから聞こえてきた。
靴を脱いでリビングに向かえば、そこには両親の姿と両親に挟まれて抱きしめられている翼の姿があった。
「翼ちゃん〜!大きくなって〜」
「本当にな!翼は、可愛いなぁ!」
流石、溺愛癖のある両親。翼に甘々だ。
真ん中で抱きしめられている翼の目を見れば、虚無の目をしていた。
これが、親バカというやつなのだろう。
俺も、巻き込まれる前に去りたいところだがアルバムの件は、両親しか知らない。
(仕方ない、覚悟を決めろ)
「た、だいまぁ‥」
なるべく小さな声で言った筈なのに、両親のギラついた目がこちらを捉えた瞬間、翼からシフトして気づけば両親に抱きしめられる。
「うっ!」
「あらぁ!羽流くん!また、イケメンさんになっちゃって!髪切ったのね!」
「うん、そう‥」
「いやぁ、この美形さはママ譲りかな?」
「いやぁね、パパ譲りでしょ?」
始まった。ことあるごとに、ベタベタと顔やら体に触りどっちに似てるかで競いながらも、甘々な空気な両親から今すぐにでも離れたい。
「あ、あのさ、昔のアルバムとかって何処にある?」
それを言葉にしたが後、両親の目はさらにギラつき抱きしめられる。
やばい、話が通じないと翼に助けを求めようとしたが既に翼の姿は無く、こうだれるしかなかった。
それから、いったいどのくらいの時間が過ぎたか両親にもみくちゃにされて、ようやく母親が昔のアルバムを持ってきてくれた。
「ジャーン!我が子の昔の可愛いが詰まったアルバムです〜!」
「いいね!早く三人で見ようか!」
もう、この付いていけないテンションは放っておこう。
というか、アルバム家にあったのか。
母親がアルバムを取ってきたのは、両親の部屋からだった。
てっきり、仕事に持ち出しているものだと思い込んでいた自分が馬鹿すぎる。
母親がウキウキの様子で開くそれに、俺が思い出さないといけないことがある筈だ。
開いたは良いものの、乳児の時期の写真だけで一冊はある。しかも、それを見て熱く語り始めた両親を横目に、母親が持ってきた他のアルバムに手をつけて、そっと真ん中から抜けて隅っこで開く。
(写真多いな!?)
めくっても、めくっても、同じような写真ばかりで二冊目に突入する。
今度こそと、意気込んでアルバムを開けばそこには俺とその隣に並ぶ子供に目が入った。
「星奈‥?」
その隣で俺と一緒に遊ぶその子は、確かに星奈の面影を感じられた。
そうだ。この時期は丁度両親は家にいて、よく遊ぶホッシーこと、星奈との写真をたくさん撮ってくれた。
「あら、懐かしい〜!星奈くん!」
「っ!?母さん、星奈のこと知ってるのか?」
「もちろんよ!よく、家にもきてくれて落ち着いた子で、翼ちゃんとも遊んでくれたもの!よく覚えてるわ!」
そう言って、母さんも懐かしそうにそれを眺めながらある写真に手が止まった。
それは、二人で手を繋いでいる写真。笑ってはいるが、幼い俺の目元は赤く腫れていて、涙の跡もあって明らかに大泣きしただろうってことがわかる。
「これ、確か、星奈がもう会えないって言って‥」
(なんでだっけ?子供の俺たちにはどうしようもできないことだったのは覚えてる)
「そうそう!星奈くんのお家が少し厳しいおうちで、その理由でね」
厳しい家。
そこで、ハッと思い出す。
そうだ。確か、受験が何かで勉強に集中しないといけなくて、それで会えなくなっちゃうって。
そこから、どんどんと記憶が蘇ってくる。
星奈は、元からあの近くに住んでいた子ではなくて、わざわざ電車に乗ってまで一人であの公園に来て、息苦しい家から逃げていたんだ。
だから、俺が送ると言っても断ったりしていて、家も知らなくて。
でも、そんな楽しい時間は長く続かなくてある日突然、星奈が「もう、会えなくなる」と、話したんだ。
そこで、俺は大泣きして駄々をこねた。
『じゃあ、また会えたら僕を奪いにきてよ』
当時、意地の悪いことなんて言わなかった星奈の口からその言葉が出たことに驚いた。
そして、あいつは続けていったんだ。
『そしたら、僕がハネくんのことお嫁さんにしてあげる』
当時の俺は同姓同士の恋なんて知らなかった。
でも、星奈とずっと一緒にいて遊んでいられるのならそんなことどうでもよかった。
大泣きしていた当時の俺は泣き止み、『約束』という星奈の小指と俺の小指を絡めて指切りをした。
『僕はいつでも待ってるよ、この公園で君が僕のことを
奪いにきてくれるのを』
全部思い出した。
そうだ、星奈はずっと待ってくれてたんだ。
待って、待って、待ち続けてくれた。
その瞬間、瞳から涙がポロポロと溢れる。
「あらあら、どうしたの羽流くん?」
「大丈夫。母さんこのアルバム借りても良い?」
「えぇ!もちろんよ!」
一冊の思い出が詰まったアルバムを手に、自室に篭りようやく思い出せたこと、そして星奈への答えがわかった。
靴を脱いでリビングに向かえば、そこには両親の姿と両親に挟まれて抱きしめられている翼の姿があった。
「翼ちゃん〜!大きくなって〜」
「本当にな!翼は、可愛いなぁ!」
流石、溺愛癖のある両親。翼に甘々だ。
真ん中で抱きしめられている翼の目を見れば、虚無の目をしていた。
これが、親バカというやつなのだろう。
俺も、巻き込まれる前に去りたいところだがアルバムの件は、両親しか知らない。
(仕方ない、覚悟を決めろ)
「た、だいまぁ‥」
なるべく小さな声で言った筈なのに、両親のギラついた目がこちらを捉えた瞬間、翼からシフトして気づけば両親に抱きしめられる。
「うっ!」
「あらぁ!羽流くん!また、イケメンさんになっちゃって!髪切ったのね!」
「うん、そう‥」
「いやぁ、この美形さはママ譲りかな?」
「いやぁね、パパ譲りでしょ?」
始まった。ことあるごとに、ベタベタと顔やら体に触りどっちに似てるかで競いながらも、甘々な空気な両親から今すぐにでも離れたい。
「あ、あのさ、昔のアルバムとかって何処にある?」
それを言葉にしたが後、両親の目はさらにギラつき抱きしめられる。
やばい、話が通じないと翼に助けを求めようとしたが既に翼の姿は無く、こうだれるしかなかった。
それから、いったいどのくらいの時間が過ぎたか両親にもみくちゃにされて、ようやく母親が昔のアルバムを持ってきてくれた。
「ジャーン!我が子の昔の可愛いが詰まったアルバムです〜!」
「いいね!早く三人で見ようか!」
もう、この付いていけないテンションは放っておこう。
というか、アルバム家にあったのか。
母親がアルバムを取ってきたのは、両親の部屋からだった。
てっきり、仕事に持ち出しているものだと思い込んでいた自分が馬鹿すぎる。
母親がウキウキの様子で開くそれに、俺が思い出さないといけないことがある筈だ。
開いたは良いものの、乳児の時期の写真だけで一冊はある。しかも、それを見て熱く語り始めた両親を横目に、母親が持ってきた他のアルバムに手をつけて、そっと真ん中から抜けて隅っこで開く。
(写真多いな!?)
めくっても、めくっても、同じような写真ばかりで二冊目に突入する。
今度こそと、意気込んでアルバムを開けばそこには俺とその隣に並ぶ子供に目が入った。
「星奈‥?」
その隣で俺と一緒に遊ぶその子は、確かに星奈の面影を感じられた。
そうだ。この時期は丁度両親は家にいて、よく遊ぶホッシーこと、星奈との写真をたくさん撮ってくれた。
「あら、懐かしい〜!星奈くん!」
「っ!?母さん、星奈のこと知ってるのか?」
「もちろんよ!よく、家にもきてくれて落ち着いた子で、翼ちゃんとも遊んでくれたもの!よく覚えてるわ!」
そう言って、母さんも懐かしそうにそれを眺めながらある写真に手が止まった。
それは、二人で手を繋いでいる写真。笑ってはいるが、幼い俺の目元は赤く腫れていて、涙の跡もあって明らかに大泣きしただろうってことがわかる。
「これ、確か、星奈がもう会えないって言って‥」
(なんでだっけ?子供の俺たちにはどうしようもできないことだったのは覚えてる)
「そうそう!星奈くんのお家が少し厳しいおうちで、その理由でね」
厳しい家。
そこで、ハッと思い出す。
そうだ。確か、受験が何かで勉強に集中しないといけなくて、それで会えなくなっちゃうって。
そこから、どんどんと記憶が蘇ってくる。
星奈は、元からあの近くに住んでいた子ではなくて、わざわざ電車に乗ってまで一人であの公園に来て、息苦しい家から逃げていたんだ。
だから、俺が送ると言っても断ったりしていて、家も知らなくて。
でも、そんな楽しい時間は長く続かなくてある日突然、星奈が「もう、会えなくなる」と、話したんだ。
そこで、俺は大泣きして駄々をこねた。
『じゃあ、また会えたら僕を奪いにきてよ』
当時、意地の悪いことなんて言わなかった星奈の口からその言葉が出たことに驚いた。
そして、あいつは続けていったんだ。
『そしたら、僕がハネくんのことお嫁さんにしてあげる』
当時の俺は同姓同士の恋なんて知らなかった。
でも、星奈とずっと一緒にいて遊んでいられるのならそんなことどうでもよかった。
大泣きしていた当時の俺は泣き止み、『約束』という星奈の小指と俺の小指を絡めて指切りをした。
『僕はいつでも待ってるよ、この公園で君が僕のことを
奪いにきてくれるのを』
全部思い出した。
そうだ、星奈はずっと待ってくれてたんだ。
待って、待って、待ち続けてくれた。
その瞬間、瞳から涙がポロポロと溢れる。
「あらあら、どうしたの羽流くん?」
「大丈夫。母さんこのアルバム借りても良い?」
「えぇ!もちろんよ!」
一冊の思い出が詰まったアルバムを手に、自室に篭りようやく思い出せたこと、そして星奈への答えがわかった。
