学校に行き、バイトをし、ゲームをし、昔の友人からの一方的な手紙を読みの毎日の繰り返しを送っていた。
気づけば、手紙は10通は、超えていた。
手紙を読むたびに、思い出される記憶の数々に共感して、返事を書きたいと何度も思うが、それは叶わない。
『今日は、久しぶりにお弁当を作ってみたんだ。
大切な人へまた、渡したくて』
今日の手紙は、簡素なものと思うのだが、こうも数行の手紙が来ると何か、謎解きを仕掛けられているのでは無いかと思えてきた。
昔を振り返る手紙は、案外長文で書いてあるのだが、最近会ったことや、思ったことに関しては短文のものが多かった。
(気分とかなのか‥?)
一人自室のベットに寝転びながら首を傾げるも、答えは出てこず手紙を大切に引き出しに仕舞う。
相変わらず、差出人の住所もなく、切っても貼ってないことから、自らの手で投函しているのは確かだが、それらしき人物に会えた試しが無い。
そもそもなのだが、顔が全く思い出せないでいた。
なんせ、幼い頃の記憶な上に、名前を覚えるのが苦手な俺の事だ。思い出せるはずがない。
アルバムというアルバムは、両親が管理していて場所もわからず、そもそも写真があるかもわからない。
そして、星奈のことだ。
相変わらず、告白された振られたなどの噂は聞き、顔を合わせる機会がない。
顔を合わせてどうするかなんてまだ、答えは出ていないがせめて、前までのように過ごせたらと思い、クラスを訪ねるも不在。
お昼も放課後も、訪ねてもその姿を見ることはなかった。
星奈のクラスメイトに聞けば、学校には来ているらしく、授業も出ているらしい。
なのに、顔を合わせることが叶わないのは、考えたくないが、避けられているということなのだろう。
(最初に避けたの俺だし、自業自得か‥)
自責の念に駆られる毎日もすごしていた。
それでも、毎日は続いていって、試しに朝早くに学校に行ってみることにした。
起きるのが億劫だったが、星奈のことを思い出せば自然と体が動き、まだ生徒が少ない時間帯に学校に着いた。
教室にはまだ、誰の姿もなく入ればそこには驚きの光景があった。
窓側の一番後ろの席。そこが、俺の席だった。
そこに、顔を合わせもできなかった星奈が机に顔を伏して眠っていた。
起こさないように足跡を立てずそっと近づき、その髪に触れる。
サラサラとした艶やかな黒髪。前まで一番近くで見ていたその髪でさえ懐かしく思う。
「ん‥」
唐突に動き出した、星奈は顔を上げてこちらをみると目を見開いて固まってしまった。
「お、おはよ‥」
久しぶりに話すのに緊張してぎこちない声を出してしまった。
すると、星奈は、慌てて席を立ち駆け足で去ろうとしたところで腕を掴んだ。
きっと、今話さなかったから後悔する。
そう感じて腕を掴んで、緊張しながらも言葉を紡ぐ。
「あの、えっと、ごめん‥俺お前のこと避けて‥!」
違う違う。こんなことを伝えたいんじゃない。そう思うも言葉が頭に浮かばなかった。
すると、星奈はゆっくりとこちらを振り向いてくれた。それに、一瞬喜びを感じたが、それは直ぐに悲しみへと変わった。
星奈は、その綺麗な瞳から涙をポロポロと溢していた。
思わず掴んでいた腕から力が抜けて、手を離す。
「‥君は思い出してもくれないんだね‥」
「え?思い出すって何を‥」
聞こうとするも、星奈はそれだけ言うと走り去ってしまった。
追いかけようにも、初めて見た星奈の泣き顔に心が痛み、その場に縫い付けられたように動けなかった。
その後、王子が学校を休んだと噂が流れてきて、俺はただただ、胸の痛みが取れないのも、星奈を泣かしてしまったことに対しても苦しくて仕方がなかった。
その日は、バイトは無かったが、店に客として行くといつものように、店長は何も言わずにドリンクと軽食だけを出してくれた。
今日は、ホットミルクといつものサンドイッチ。
なぜか、口に運ぶ気にもなれずただ俯いてカウンター席に座っていた。
『‥君は思い出してもくれないんだね‥』
星奈が泣きながら言ったあの言葉。
俺は、何か忘れていることがあるのかと記憶を探る。
小さい頃はたくさんの友達がいた。もしかして、その中に星奈が居たのだろうか。
他にも考えるも、中学と今の高校ではゲームに勤しんでいてまともに、人と話した記憶もなければ過ごした記憶もない。
何も思い出せない。
星奈が泣くほどのことだ。きっと、大切な記憶に違いないのに、物覚えの悪い俺に腹が立って仕方がなかった。
「こーら、眉間に皺よってる」
俯いていた顔のおでこに指でツンと押されて、思わず顔を上げると店長がいつも通りの笑みを浮かべて立っていた。
「思い出せないんです。大切な思い出だと思うんですけど‥」
それだけ言うと、店長は頬杖をついて考え込んだ。
「それは、楽しかった思い出?悲しかった思い出?」
そう聞かれて、「ハッ」とする。
今まで楽しかった思い出ばかりを探っていたが、そうか。悲しかった思い出もあるはずだ。
「悲しい、思い出‥」
そこで、俺は思い出した。
誰かとの別れに大泣きした思い出があったことを。
気づけば、手紙は10通は、超えていた。
手紙を読むたびに、思い出される記憶の数々に共感して、返事を書きたいと何度も思うが、それは叶わない。
『今日は、久しぶりにお弁当を作ってみたんだ。
大切な人へまた、渡したくて』
今日の手紙は、簡素なものと思うのだが、こうも数行の手紙が来ると何か、謎解きを仕掛けられているのでは無いかと思えてきた。
昔を振り返る手紙は、案外長文で書いてあるのだが、最近会ったことや、思ったことに関しては短文のものが多かった。
(気分とかなのか‥?)
一人自室のベットに寝転びながら首を傾げるも、答えは出てこず手紙を大切に引き出しに仕舞う。
相変わらず、差出人の住所もなく、切っても貼ってないことから、自らの手で投函しているのは確かだが、それらしき人物に会えた試しが無い。
そもそもなのだが、顔が全く思い出せないでいた。
なんせ、幼い頃の記憶な上に、名前を覚えるのが苦手な俺の事だ。思い出せるはずがない。
アルバムというアルバムは、両親が管理していて場所もわからず、そもそも写真があるかもわからない。
そして、星奈のことだ。
相変わらず、告白された振られたなどの噂は聞き、顔を合わせる機会がない。
顔を合わせてどうするかなんてまだ、答えは出ていないがせめて、前までのように過ごせたらと思い、クラスを訪ねるも不在。
お昼も放課後も、訪ねてもその姿を見ることはなかった。
星奈のクラスメイトに聞けば、学校には来ているらしく、授業も出ているらしい。
なのに、顔を合わせることが叶わないのは、考えたくないが、避けられているということなのだろう。
(最初に避けたの俺だし、自業自得か‥)
自責の念に駆られる毎日もすごしていた。
それでも、毎日は続いていって、試しに朝早くに学校に行ってみることにした。
起きるのが億劫だったが、星奈のことを思い出せば自然と体が動き、まだ生徒が少ない時間帯に学校に着いた。
教室にはまだ、誰の姿もなく入ればそこには驚きの光景があった。
窓側の一番後ろの席。そこが、俺の席だった。
そこに、顔を合わせもできなかった星奈が机に顔を伏して眠っていた。
起こさないように足跡を立てずそっと近づき、その髪に触れる。
サラサラとした艶やかな黒髪。前まで一番近くで見ていたその髪でさえ懐かしく思う。
「ん‥」
唐突に動き出した、星奈は顔を上げてこちらをみると目を見開いて固まってしまった。
「お、おはよ‥」
久しぶりに話すのに緊張してぎこちない声を出してしまった。
すると、星奈は、慌てて席を立ち駆け足で去ろうとしたところで腕を掴んだ。
きっと、今話さなかったから後悔する。
そう感じて腕を掴んで、緊張しながらも言葉を紡ぐ。
「あの、えっと、ごめん‥俺お前のこと避けて‥!」
違う違う。こんなことを伝えたいんじゃない。そう思うも言葉が頭に浮かばなかった。
すると、星奈はゆっくりとこちらを振り向いてくれた。それに、一瞬喜びを感じたが、それは直ぐに悲しみへと変わった。
星奈は、その綺麗な瞳から涙をポロポロと溢していた。
思わず掴んでいた腕から力が抜けて、手を離す。
「‥君は思い出してもくれないんだね‥」
「え?思い出すって何を‥」
聞こうとするも、星奈はそれだけ言うと走り去ってしまった。
追いかけようにも、初めて見た星奈の泣き顔に心が痛み、その場に縫い付けられたように動けなかった。
その後、王子が学校を休んだと噂が流れてきて、俺はただただ、胸の痛みが取れないのも、星奈を泣かしてしまったことに対しても苦しくて仕方がなかった。
その日は、バイトは無かったが、店に客として行くといつものように、店長は何も言わずにドリンクと軽食だけを出してくれた。
今日は、ホットミルクといつものサンドイッチ。
なぜか、口に運ぶ気にもなれずただ俯いてカウンター席に座っていた。
『‥君は思い出してもくれないんだね‥』
星奈が泣きながら言ったあの言葉。
俺は、何か忘れていることがあるのかと記憶を探る。
小さい頃はたくさんの友達がいた。もしかして、その中に星奈が居たのだろうか。
他にも考えるも、中学と今の高校ではゲームに勤しんでいてまともに、人と話した記憶もなければ過ごした記憶もない。
何も思い出せない。
星奈が泣くほどのことだ。きっと、大切な記憶に違いないのに、物覚えの悪い俺に腹が立って仕方がなかった。
「こーら、眉間に皺よってる」
俯いていた顔のおでこに指でツンと押されて、思わず顔を上げると店長がいつも通りの笑みを浮かべて立っていた。
「思い出せないんです。大切な思い出だと思うんですけど‥」
それだけ言うと、店長は頬杖をついて考え込んだ。
「それは、楽しかった思い出?悲しかった思い出?」
そう聞かれて、「ハッ」とする。
今まで楽しかった思い出ばかりを探っていたが、そうか。悲しかった思い出もあるはずだ。
「悲しい、思い出‥」
そこで、俺は思い出した。
誰かとの別れに大泣きした思い出があったことを。
