某所、ある中学校のある言い伝え。
中学校の卒業式の日、17時38分。
清掃をしていた用務員が、校舎と体育館の間で、この中学校と思われる制服を着た女の子が、血まみれで倒れているのを見つけた。その子の右手には紙切れが握られており、〝悲しかった〟と書かれていたという。
その女の子は、1年生からずっと付き合っていた男の子がいたらしいが、別の女の子にアタックされた男の子は、その子に乗り換えてしまったとか。
不運な最期を迎えてしまった女の子を弔うため、学校は女の子が倒れていた場所に石碑を建てた。
それからその話は噂に乗って、別れさせたいカップルの名前を書き、17時38分に石碑に埋めると、そのカップルが数日後に別れるという話に変わり、逸話となった今、中学校内で有名になった。
その噂を信じた、カップルの男の子のことが好きだった恋が叶わなかった女の子は、石碑の前に紙切れを埋めた。にも関わらず一向に別れず、なぜ上手くいかなかったのか不思議に思った女の子は一週間後、埋めたはずの紙切れを探しに行った。
紙切れは土に還ってしまったのか、掘っても掘っても見つからず、代わりに出てきたのは人の骨。弔うためのただの石碑なのに、骨がこちらを見つめている。その骨の上の歯と下の歯の間には、女の子が埋めた紙切れが挟まっていた。
もう一度きちんと埋めて、別れさせたい。歯の間から紙切れを取ろうと手を伸ばすと、骨は魂を宿したように動き出し、グギッという音とともに女の子の手を食いちぎってしまう。
動揺する女の子をよそに、骨は土から這いずり出てきて、校舎内に女の子の叫び声が響くも、一瞬でその声は静寂に消えた。
どこからその話が漏れ出たのか、それ以来、校舎と体育館の間の石碑には誰も近づかなくなったが、言い伝えを面白がった一部の現役中学生が、いじめの対象をさらに苦しめようと、紙切れに名前を書いて石碑に埋めたらしい。
その紙切れを埋めた中学生は今でも行方不明で、この子の最期を見たものは、誰もいない。



