君の一部を貰いに来ました

寒い世界を当てもなく彷徨う。
こんな世界無くなってしまえ……いや、私が居なくなれば済む話だ。
そうと決まったら、のそのそと重たい足を動かして目的地に向かう。

ザーザーと川が流れる音が聞こえてきた。街灯はなく、そこは見えない。気づいたら私は橋の上に立って飛び降りていたらしい。
バシャンッ鈍い音が鳴る。痛い、寒い、苦しい、落ちた瞬間に死ぬものだと思っていた。私は最後にも苦しい思いをする運命なのかな。
手足の感覚が無くなり、頭が朦朧としてきた。
「ゴホッゴホッ」
私の中の空気が泡となって消えていく。あ、私もう死ぬんだ。呆気ないな。なんだったんだろうこの15年は
急に全身に電流が流れるような感覚がした。痛みは特に気にならなかった。体が軽くなり苦しさや痛みから開放されたからだ。

目を開けると、少女がいた。
今にも消えてしまいそうな透明な肌。暗くてあまり顔は見えないけれどきっと可愛い。そういうオーラが出ている。歳は8歳程度だろうか。
辺りを見渡してみた。暗くて深海のような場所。周りにはくらげがちらほらいて優雅にぷかぷかしている。寒くないのに感覚が寒いと言っている。
ここはどこなんだろう。きっと、地獄なんだと思う。
無言で少女と目を合わせて止まっていたが、先に口を開いたのはあっちだった。
「こんばんは」
幼い見た目とは違って幼い声ではなく、落ち着いた声をしていた。大人びた声ともまた違った。
私が言葉を発する前に続けて話を続けてきた。
来栖(くるす)澄玲(すみれ)さん、貴方の一部を貰いに来ました。」
私は理解できなかった。淡々と話す少女のことから今の状態など全てのことに。