まだ肌寒さが残る季節。
最近の桜は少ししか咲いておらず、めでたいこの日には寂しさを覚える。
そう、今日はこの大学の入学式。
と言っても、俺には関係のない話。
二年生になった俺は本来、大学に来なくていいはずだったのだ。
だけど、教授の手伝いをするために今日、大学に来たわけだった。
教授の手伝いを終えた頃にはもうすぐ入学式が終わる頃の時間だった。
今から帰ろうとすれば確実にたくさんの人混みの中を通っていかなければならない。
それはごめんだ。
身長はそこそこあるが、少し細身の俺は人混みの中に入るとあっという間に流されてしまう。
だから、俺の穴場へ向かうことにした。
キャンパス内の奥の方にある、あまり目立たない場所。
そこまで広くないスペースに一本の大きな桜とその下に一つのベンチがある。
そしてここの桜は隙間なく咲いている。
ここは俺のお気に入りの場所だ。
人もいないし、物静かで、この季節は桜が散っているのを見ると心が落ち着く。
向かっている途中に少しずつ騒がしくなってきたのを見ると、どうやら入学式は終わったようだ。
「どのくらいで人いなくなるかな。」
桜の前のベンチに座りながら遠くの人混みを眺める。
あまりの人の多さにしばらくはここを動けそうにないなと思い、鞄にしまっていた本を取り出す。
俺のお気に入りの作家さんの本。
ハマったのは高校生のときで、最初の方はミステリー小説が多かったのに、最近は恋愛小説が多く、きっと、作家自身が恋をしたのではないかと考えている。
恋愛小説を読んでこなかったから、読んでいる時は楽しさを感じれなかったけれど、好きな作家さんの本ということもあり何度も読んでいるとだんだんと楽しさというか、心がきゅうとなって、もどかしくて、言い表せない好きを感じた。
その作家さんは人の感情一つ一つを書くのがとても上手で、その作品の世界一つ一つにのめり込んでしまったからだろう。
今読んでいる本ももう5周目だろうか。
後輩の男の子が先輩の女の子に恋をしており、軽いスキンシップや、デートで先輩をだんだんと意識させるお話。
読んでいてとてもきゅんとする。
次のページを読もうとページを捲ったときだった。
ガサリと足音がした。
「…?」
誰かと思い顔をあげると、そこにいたのは…。
「お久しぶりです。叶兎先輩。」
「もしかして、光輝?」
「はい」
高校の時部活が一緒だった藤沢光輝だった。
「大学、ここにしたんだ?」
「はい。」
「学部は?どこ?」
「経済学部です。」
「光輝、経済に興味あったんだ?」
「高校の時の公民で少し興味持って。」
「俺公民のとき寝てたから全然興味なかったなぁ〜笑」
「確かに、先輩よく寝てましたもんね。」
「やばい、後輩にまでバレてる。」
そう言うと光輝は顔をくしゃりとして笑った。
一年振りの後輩との会話に楽しさを覚えた。
「そういえば、どうして光輝はここに?」
「先輩に言いたいことがあって、探したんです。」
「え?なになに?」
「…。」
「光輝?」
途端、光輝は真剣な顔で俺を見てきた。
何かとてつもないことを伝えようとしているらしいことがわかった俺も少し緊張する。
けど、光輝の口から紡がれた言葉は、思いもしない言葉だった。
「先輩、好きです。」
「へ?」
桜が俺たちを包み込むように舞い散る。
可愛がっていた後輩は、真剣な顔で俺に愛の言葉を紡いだ。
最近の桜は少ししか咲いておらず、めでたいこの日には寂しさを覚える。
そう、今日はこの大学の入学式。
と言っても、俺には関係のない話。
二年生になった俺は本来、大学に来なくていいはずだったのだ。
だけど、教授の手伝いをするために今日、大学に来たわけだった。
教授の手伝いを終えた頃にはもうすぐ入学式が終わる頃の時間だった。
今から帰ろうとすれば確実にたくさんの人混みの中を通っていかなければならない。
それはごめんだ。
身長はそこそこあるが、少し細身の俺は人混みの中に入るとあっという間に流されてしまう。
だから、俺の穴場へ向かうことにした。
キャンパス内の奥の方にある、あまり目立たない場所。
そこまで広くないスペースに一本の大きな桜とその下に一つのベンチがある。
そしてここの桜は隙間なく咲いている。
ここは俺のお気に入りの場所だ。
人もいないし、物静かで、この季節は桜が散っているのを見ると心が落ち着く。
向かっている途中に少しずつ騒がしくなってきたのを見ると、どうやら入学式は終わったようだ。
「どのくらいで人いなくなるかな。」
桜の前のベンチに座りながら遠くの人混みを眺める。
あまりの人の多さにしばらくはここを動けそうにないなと思い、鞄にしまっていた本を取り出す。
俺のお気に入りの作家さんの本。
ハマったのは高校生のときで、最初の方はミステリー小説が多かったのに、最近は恋愛小説が多く、きっと、作家自身が恋をしたのではないかと考えている。
恋愛小説を読んでこなかったから、読んでいる時は楽しさを感じれなかったけれど、好きな作家さんの本ということもあり何度も読んでいるとだんだんと楽しさというか、心がきゅうとなって、もどかしくて、言い表せない好きを感じた。
その作家さんは人の感情一つ一つを書くのがとても上手で、その作品の世界一つ一つにのめり込んでしまったからだろう。
今読んでいる本ももう5周目だろうか。
後輩の男の子が先輩の女の子に恋をしており、軽いスキンシップや、デートで先輩をだんだんと意識させるお話。
読んでいてとてもきゅんとする。
次のページを読もうとページを捲ったときだった。
ガサリと足音がした。
「…?」
誰かと思い顔をあげると、そこにいたのは…。
「お久しぶりです。叶兎先輩。」
「もしかして、光輝?」
「はい」
高校の時部活が一緒だった藤沢光輝だった。
「大学、ここにしたんだ?」
「はい。」
「学部は?どこ?」
「経済学部です。」
「光輝、経済に興味あったんだ?」
「高校の時の公民で少し興味持って。」
「俺公民のとき寝てたから全然興味なかったなぁ〜笑」
「確かに、先輩よく寝てましたもんね。」
「やばい、後輩にまでバレてる。」
そう言うと光輝は顔をくしゃりとして笑った。
一年振りの後輩との会話に楽しさを覚えた。
「そういえば、どうして光輝はここに?」
「先輩に言いたいことがあって、探したんです。」
「え?なになに?」
「…。」
「光輝?」
途端、光輝は真剣な顔で俺を見てきた。
何かとてつもないことを伝えようとしているらしいことがわかった俺も少し緊張する。
けど、光輝の口から紡がれた言葉は、思いもしない言葉だった。
「先輩、好きです。」
「へ?」
桜が俺たちを包み込むように舞い散る。
可愛がっていた後輩は、真剣な顔で俺に愛の言葉を紡いだ。
