ダブル・ヒーロー外伝 ~暗黒魔王の日記帳~
私の名は暗黒魔王。世界を恐怖のドン底に突き落とすため、1週間と3時間52分前に『何となく世界征服』を宣言した、悪の化身だ。『だぶる・ひーろー』とかいうライトノベルでは相当悪しざまに書かれているが、実際はそれの75%ほどしか悪い事はしていない。
そんな私が今日、諸君に最近の日記帳を公開しようと思う。心して読むが良い。
〇月✕日
私は今日、とある学校に来ている。ここの敷地には大層立派な花壇があると聞いた。だが私は花粉症なので花が大嫌いだ。なのでここの花壇に細工をしようと思う。……何? ただの八つ当たりではないか? だと? フン。そんな細かい事を気にしていては、『何となく世界征服』など達成できないだろう。大義の前に多少の犠牲は付きものなのだ。
細工をする作戦はこうだ。
まずは花壇の花を全て抜き取る。
次にそれを花壇にばら撒く。
そしてばら撒いた花の周りに落とし穴を掘る。
するとどうなるか? それは――偶然、花壇を見て異常を確認し、近づいた者が穴に落ちる、という寸法だ。
では早速、穴を掘ろうと思う。
掘れた。深さは大体5m程度だ。穴を掘る際、強制魔法・穴堀術を使ったから土は全て上へと掘り上げた。まぁ使ったのは確かに魔法は魔法だが、穴堀術という強制魔法は「穴を掘る」という行動をアシストするものである。だからスコップが自動的に土を掘り起こすのでは無く、あくまで私が自力で穴を掘っている行為をサポートするだけであるのだ。そのため今の私は穴掘りという肉体労働をした直後なのだ。疲れたなあ。
さて。無事に穴も掘れたし、後は木の影にでも隠れて穴に落ちる者をウォッチするとしよう。まずは穴から出るか。
………………………………………………………………………………
穴の深さは5m。で、今私は穴の中。私の身長は165㎝。穴掘術を使ったので土を上げる際に足場など作っていない。
出られねえぇぇぇ!!!!! これでは深さ5mの穴に自分から落ちたようなもんじゃねえか!!!!! 誰かここから出してくれ!!!!! いや、誰かに見つかったら私が穴を掘った事がバレてしまう! ダメだ、どうすれば良いんだぁぁぁぁ…………………………
△月〇日
……昨日は酷い目に遭った。しかし今日はそうはいかんぞ!
今私はアルバイト先のカフェレストランにいる。今日はここの厨房の砂糖の瓶の中身を全て塩にすり替えようと思う。
すり替えた。後は誰かがすり替えられた瓶に引っかかるまでバイトに専念するとしよう。
「あ、バイト君。お疲れ。もう時間だからあがって良いよ。ああ、それから、フルーツジュースがコップ一杯分余っているから、飲んで良いよ」
「あ、店長、お疲れ様です。ありがとうございます。では遠慮なく頂きます」
早速ジュースを飲もう。だが私はかなりの甘党だ。このジュースの量ならば、砂糖大さじ三杯は入れないと気が済まない。……糖尿病? そんなものを気にしていたら、悪の化身などやっておられん!
入れた。混ぜた。飲んだ。
ぶはっ!!
何だこれは!? 塩辛いではないか! 誰だ!? 砂糖と塩をすり替えたのは!
………………………………………………………………………………
私だ! ダメじゃーーーーん!!!!!
□月〇日
いやはや、昨日も酷い目に遭った。今日こそは上手くやってみせる!
という訳で、私は今海に来ている。今日はここで海水浴を楽しんでいる者を恐怖のドン底に陥れようと思う。
私は背中にサメのヒレを取り付けた。これで私が泳ぐとどうなるか?
皆、私のヒレを見てサメが来たと思い、パニックに陥るだろう。ふふふ。
という訳で、ミッション・スタート!
「おい、あそこ!」
「……あれは!」
「まさか……」
『サメだー!!!!!』
おうおう、皆、驚いて逃げていくではないか! 今日は私の勝ちだな!
「サメだ! デカいサメが二匹出たぞ!」
…………………………何? 二匹、だと?
私が後ろを振り向くと、すぐ目の前に大きな口を開けたジ〇ーズに勝るとも劣らない、巨大なホオジロザメがいるではないか!
ああああああああ喰われるうぅぅぅぅ!!!!!
2003年9月13日
……無事に生きて帰って来られた。命は大事だが、それを惜しんでいては私の野望は達成されない。
という訳で今日、私は大阪という街に来た。何でもこの街には、道頓堀川という川があると聞いた。その川に何の罪も無い女子供を突き落とせば、それはそれは悲惨な事になるだろう。
通行人に怪しまれぬよう、私は露店で売っている黄色と黒の縞模様の旗を買った。これがあれば地元民だと思われるだろう。我ながら頭が良いなあ。
早速、川へ向かった。
いるわ、いるわ。橋に陣取った街の人間が。では、片っ端から川に突き落として……
「ほら、飛び込むで! おっ!? アンタも阪神ファンか! ならば一緒に飛び込もうや!」
いや、私は……
「何や、ビビっとるんか!? ファンがそんなんやったら、星野監督(当時)ががっかりするで!」
いやいや、何が何やら……
「そーれ!!」
ああああぁぁぁぁーーーーー!!!!!
どぼーん
……暗黒魔王城に帰ってから知った事なのだが、今日は大阪を本拠地とするベースボールチームが久しぶりに優勝したらしい。そのチームのファンの若者の中には、件のチームが優勝すると道頓堀川へ飛び込む者がいるのだという。また、黄色と黒の縞模様の旗は、そのチームの応援旗なのだそうだ。タイミング悪すぎ!
……何だかロクな事が無いな。
まあ、何はともかく。私の日記帳はこんな感じだ。機会があったらまた諸君にお披露目しよう。
では、さらばだ!
私の名は暗黒魔王。世界を恐怖のドン底に突き落とすため、1週間と3時間52分前に『何となく世界征服』を宣言した、悪の化身だ。『だぶる・ひーろー』とかいうライトノベルでは相当悪しざまに書かれているが、実際はそれの75%ほどしか悪い事はしていない。
そんな私が今日、諸君に最近の日記帳を公開しようと思う。心して読むが良い。
〇月✕日
私は今日、とある学校に来ている。ここの敷地には大層立派な花壇があると聞いた。だが私は花粉症なので花が大嫌いだ。なのでここの花壇に細工をしようと思う。……何? ただの八つ当たりではないか? だと? フン。そんな細かい事を気にしていては、『何となく世界征服』など達成できないだろう。大義の前に多少の犠牲は付きものなのだ。
細工をする作戦はこうだ。
まずは花壇の花を全て抜き取る。
次にそれを花壇にばら撒く。
そしてばら撒いた花の周りに落とし穴を掘る。
するとどうなるか? それは――偶然、花壇を見て異常を確認し、近づいた者が穴に落ちる、という寸法だ。
では早速、穴を掘ろうと思う。
掘れた。深さは大体5m程度だ。穴を掘る際、強制魔法・穴堀術を使ったから土は全て上へと掘り上げた。まぁ使ったのは確かに魔法は魔法だが、穴堀術という強制魔法は「穴を掘る」という行動をアシストするものである。だからスコップが自動的に土を掘り起こすのでは無く、あくまで私が自力で穴を掘っている行為をサポートするだけであるのだ。そのため今の私は穴掘りという肉体労働をした直後なのだ。疲れたなあ。
さて。無事に穴も掘れたし、後は木の影にでも隠れて穴に落ちる者をウォッチするとしよう。まずは穴から出るか。
………………………………………………………………………………
穴の深さは5m。で、今私は穴の中。私の身長は165㎝。穴掘術を使ったので土を上げる際に足場など作っていない。
出られねえぇぇぇ!!!!! これでは深さ5mの穴に自分から落ちたようなもんじゃねえか!!!!! 誰かここから出してくれ!!!!! いや、誰かに見つかったら私が穴を掘った事がバレてしまう! ダメだ、どうすれば良いんだぁぁぁぁ…………………………
△月〇日
……昨日は酷い目に遭った。しかし今日はそうはいかんぞ!
今私はアルバイト先のカフェレストランにいる。今日はここの厨房の砂糖の瓶の中身を全て塩にすり替えようと思う。
すり替えた。後は誰かがすり替えられた瓶に引っかかるまでバイトに専念するとしよう。
「あ、バイト君。お疲れ。もう時間だからあがって良いよ。ああ、それから、フルーツジュースがコップ一杯分余っているから、飲んで良いよ」
「あ、店長、お疲れ様です。ありがとうございます。では遠慮なく頂きます」
早速ジュースを飲もう。だが私はかなりの甘党だ。このジュースの量ならば、砂糖大さじ三杯は入れないと気が済まない。……糖尿病? そんなものを気にしていたら、悪の化身などやっておられん!
入れた。混ぜた。飲んだ。
ぶはっ!!
何だこれは!? 塩辛いではないか! 誰だ!? 砂糖と塩をすり替えたのは!
………………………………………………………………………………
私だ! ダメじゃーーーーん!!!!!
□月〇日
いやはや、昨日も酷い目に遭った。今日こそは上手くやってみせる!
という訳で、私は今海に来ている。今日はここで海水浴を楽しんでいる者を恐怖のドン底に陥れようと思う。
私は背中にサメのヒレを取り付けた。これで私が泳ぐとどうなるか?
皆、私のヒレを見てサメが来たと思い、パニックに陥るだろう。ふふふ。
という訳で、ミッション・スタート!
「おい、あそこ!」
「……あれは!」
「まさか……」
『サメだー!!!!!』
おうおう、皆、驚いて逃げていくではないか! 今日は私の勝ちだな!
「サメだ! デカいサメが二匹出たぞ!」
…………………………何? 二匹、だと?
私が後ろを振り向くと、すぐ目の前に大きな口を開けたジ〇ーズに勝るとも劣らない、巨大なホオジロザメがいるではないか!
ああああああああ喰われるうぅぅぅぅ!!!!!
2003年9月13日
……無事に生きて帰って来られた。命は大事だが、それを惜しんでいては私の野望は達成されない。
という訳で今日、私は大阪という街に来た。何でもこの街には、道頓堀川という川があると聞いた。その川に何の罪も無い女子供を突き落とせば、それはそれは悲惨な事になるだろう。
通行人に怪しまれぬよう、私は露店で売っている黄色と黒の縞模様の旗を買った。これがあれば地元民だと思われるだろう。我ながら頭が良いなあ。
早速、川へ向かった。
いるわ、いるわ。橋に陣取った街の人間が。では、片っ端から川に突き落として……
「ほら、飛び込むで! おっ!? アンタも阪神ファンか! ならば一緒に飛び込もうや!」
いや、私は……
「何や、ビビっとるんか!? ファンがそんなんやったら、星野監督(当時)ががっかりするで!」
いやいや、何が何やら……
「そーれ!!」
ああああぁぁぁぁーーーーー!!!!!
どぼーん
……暗黒魔王城に帰ってから知った事なのだが、今日は大阪を本拠地とするベースボールチームが久しぶりに優勝したらしい。そのチームのファンの若者の中には、件のチームが優勝すると道頓堀川へ飛び込む者がいるのだという。また、黄色と黒の縞模様の旗は、そのチームの応援旗なのだそうだ。タイミング悪すぎ!
……何だかロクな事が無いな。
まあ、何はともかく。私の日記帳はこんな感じだ。機会があったらまた諸君にお披露目しよう。
では、さらばだ!



