2026-02-04
『愛を叫ぶ』
「会いに来てくれるって愛だよ」
寝ぼけて再生した動画から
そんな言葉が聞こえてきた。
どんな夢を見ていたか覚えていないけど
ハッとして目が覚めたことは覚えていて。
何時だろうと思って枕元に置いていた
スマホを持って画面に優しく触れると
眩しい光を放って時間を見せてくれた。
すぐに画面の明るさを落として
眩しくない程度に設定してから
寝ぼけつつも4時だと認識する。
「まだ寝ても大丈夫だな」と思って
スマホに指が触れたまま夢へ行った。
夢の中で楽しくスノボーをしていたとき
冒頭の言葉が聞こえてバッと目が覚めて
スマホで動画が再生されていたのを観る。
2年前、彼女と別れに至った友達が僕に対し
失恋の辛さを熱弁しているときに撮った動画。
寝ぼけていて僕は判断が鈍っていたが
そのことを思い出して笑ってしまった。
その流れのまま、友達に「元気か?」とだけ送り
さっき流れていた動画も添えるように送ってから
僕はスマホの画面を閉じて、また夢の中へ潜った。
その友達のことを思ったからだろうか。
夢の中で当時の熱弁をまた聞かされて
けれど鬱陶しいとは思わず笑っていた。
「会いに来てくれるって愛だよ」と
動画と同じ言葉を言おうとしたとき
ピコン、とスマホの通知で目覚める。
「元気だぞ俺は。5時に連絡すんな」
「何かあったと思って、心配したわ」
「まぁ、そのとき寝てたけどな笑笑」
嗚呼、好きだと気付かされる。
時計を見ると9時と書かれていて
僕は重い体を起こし立ち上がった。
「でも、あのときの熱弁は面白かった」
「また失恋をしたら聞かせてくれよな」
送信して顔を洗いに洗面台へ向かう。
洗顔を出して顔を洗おうとしたとき
ピコンと通知が鳴ってただ一言だけ。
「それこそ昨日、失恋しました」
その言葉だけメッセージ上に残されていて
あまりの可笑しさに僕は口を開けて笑った。
洗顔の泡が口の中に入ってくる。
ペッと吐き出して顔を洗った後。
濡れた手のまま「会いに行ってやるよ」と送って
僕は濡れた手とスマホをタオルでガバッと拭った。
「あ、もうお前んちに向かってるから」
約束なんてしていないのに来るなんて。
「部屋散らかってるからさ」
「片付けながら聞かせてよ」
その連絡に既読が付くことはなく
数分程度でピンポンとベルが鳴り
画面に映し出された友達はお酒を
手に持ってそれを見せつけている。
「どうぞ」と言ってオートロックの鍵を開け
部屋へと招いたのだけれど、玄関を開けると。
友達は泣いていた。
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『愛を叫ぶ』
「会いに来てくれるって愛だよ」
寝ぼけて再生した動画から
そんな言葉が聞こえてきた。
どんな夢を見ていたか覚えていないけど
ハッとして目が覚めたことは覚えていて。
何時だろうと思って枕元に置いていた
スマホを持って画面に優しく触れると
眩しい光を放って時間を見せてくれた。
すぐに画面の明るさを落として
眩しくない程度に設定してから
寝ぼけつつも4時だと認識する。
「まだ寝ても大丈夫だな」と思って
スマホに指が触れたまま夢へ行った。
夢の中で楽しくスノボーをしていたとき
冒頭の言葉が聞こえてバッと目が覚めて
スマホで動画が再生されていたのを観る。
2年前、彼女と別れに至った友達が僕に対し
失恋の辛さを熱弁しているときに撮った動画。
寝ぼけていて僕は判断が鈍っていたが
そのことを思い出して笑ってしまった。
その流れのまま、友達に「元気か?」とだけ送り
さっき流れていた動画も添えるように送ってから
僕はスマホの画面を閉じて、また夢の中へ潜った。
その友達のことを思ったからだろうか。
夢の中で当時の熱弁をまた聞かされて
けれど鬱陶しいとは思わず笑っていた。
「会いに来てくれるって愛だよ」と
動画と同じ言葉を言おうとしたとき
ピコン、とスマホの通知で目覚める。
「元気だぞ俺は。5時に連絡すんな」
「何かあったと思って、心配したわ」
「まぁ、そのとき寝てたけどな笑笑」
嗚呼、好きだと気付かされる。
時計を見ると9時と書かれていて
僕は重い体を起こし立ち上がった。
「でも、あのときの熱弁は面白かった」
「また失恋をしたら聞かせてくれよな」
送信して顔を洗いに洗面台へ向かう。
洗顔を出して顔を洗おうとしたとき
ピコンと通知が鳴ってただ一言だけ。
「それこそ昨日、失恋しました」
その言葉だけメッセージ上に残されていて
あまりの可笑しさに僕は口を開けて笑った。
洗顔の泡が口の中に入ってくる。
ペッと吐き出して顔を洗った後。
濡れた手のまま「会いに行ってやるよ」と送って
僕は濡れた手とスマホをタオルでガバッと拭った。
「あ、もうお前んちに向かってるから」
約束なんてしていないのに来るなんて。
「部屋散らかってるからさ」
「片付けながら聞かせてよ」
その連絡に既読が付くことはなく
数分程度でピンポンとベルが鳴り
画面に映し出された友達はお酒を
手に持ってそれを見せつけている。
「どうぞ」と言ってオートロックの鍵を開け
部屋へと招いたのだけれど、玄関を開けると。
友達は泣いていた。
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