2026-02-07
『火薬の匂い』
立春、君と線香花火をした夜のこと
きっとこれから先も忘れないと思う。
夏に大きな花火が揚がるようなものではなく
ただひっそりと落ちる火球を眺めているだけ。
「悲しい」
火球が落ちたとき、君はボソッと言った。
「もうお別れだね」と僕に視線を合わせ。
「そうだね、お別れ」と僕は返し
また新たな線香花火に火をつける。
「綺麗」と言いながら火花に目を奪われる
君の視線はどこか子供っぽくて可愛らしい。
夏の風物詩である線香花火を
立春にした動機は他でもなく
愛だと僕も君も理解していて。
寄り添う2人の影が恋人みたく
僕だけがクスクス笑ってしまう。
手に持っていた線香花火に火をつけ
僕も飛び散る火花に目を奪われたが。
「いなくならないでね」
そう聞こえた気がして君のほうを見ると
線香花火に対して話しかけているようで
「そうだね、いなくならないで」と僕も
線香花火に対して話しかけてみることに。
火球が落ちた。
線香花火が火花を出しているとき
辺りは明るくなるというのに今は
真っ暗な闇に包まれたような感じ。
もう、余っている線香花火はなく
バケツにやり終えたそれを入れて
僕らは近くの椅子に腰を下ろした。
設置されている街灯が少しばかり
僕らを照らそうと頑張っているが。
要らない。
隣に座っていた君が「どうする」と
これからの展開を訊ねてきたけれど。
「そうだね、どうしよっか」と訊き返し
遠くに見える月を一緒に眺めている時間。
まだ季節は冬、もしくは立春。
僕を撫でる風に冷たさが残る。
「あのさ、」と言ってから僕は
「月を見たまま聞いて」と続け
「付き合いたい」とだけ言った。
「ならさ、」と言ってから君は
「月を見たまま聞いて」と続け
「付き合いたい」とだけ言った。
目が合う僕ら。
僕は君の心に火をつけて
君は僕の心に火をつけた。
嬉しくて、理性を保てなかったから
「付き合えてさ、よかった」と言い
僕は隣に座っている君に抱きついた。
服に纏わりつく火薬の匂いが
ふわっと漂ってくるけれども
それより愛が勝った気がした。

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『火薬の匂い』
立春、君と線香花火をした夜のこと
きっとこれから先も忘れないと思う。
夏に大きな花火が揚がるようなものではなく
ただひっそりと落ちる火球を眺めているだけ。
「悲しい」
火球が落ちたとき、君はボソッと言った。
「もうお別れだね」と僕に視線を合わせ。
「そうだね、お別れ」と僕は返し
また新たな線香花火に火をつける。
「綺麗」と言いながら火花に目を奪われる
君の視線はどこか子供っぽくて可愛らしい。
夏の風物詩である線香花火を
立春にした動機は他でもなく
愛だと僕も君も理解していて。
寄り添う2人の影が恋人みたく
僕だけがクスクス笑ってしまう。
手に持っていた線香花火に火をつけ
僕も飛び散る火花に目を奪われたが。
「いなくならないでね」
そう聞こえた気がして君のほうを見ると
線香花火に対して話しかけているようで
「そうだね、いなくならないで」と僕も
線香花火に対して話しかけてみることに。
火球が落ちた。
線香花火が火花を出しているとき
辺りは明るくなるというのに今は
真っ暗な闇に包まれたような感じ。
もう、余っている線香花火はなく
バケツにやり終えたそれを入れて
僕らは近くの椅子に腰を下ろした。
設置されている街灯が少しばかり
僕らを照らそうと頑張っているが。
要らない。
隣に座っていた君が「どうする」と
これからの展開を訊ねてきたけれど。
「そうだね、どうしよっか」と訊き返し
遠くに見える月を一緒に眺めている時間。
まだ季節は冬、もしくは立春。
僕を撫でる風に冷たさが残る。
「あのさ、」と言ってから僕は
「月を見たまま聞いて」と続け
「付き合いたい」とだけ言った。
「ならさ、」と言ってから君は
「月を見たまま聞いて」と続け
「付き合いたい」とだけ言った。
目が合う僕ら。
僕は君の心に火をつけて
君は僕の心に火をつけた。
嬉しくて、理性を保てなかったから
「付き合えてさ、よかった」と言い
僕は隣に座っている君に抱きついた。
服に纏わりつく火薬の匂いが
ふわっと漂ってくるけれども
それより愛が勝った気がした。

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