2026-01-03
『手紙の返事』
君が僕を想って書いてくれた手紙を
深夜2時、暗くなった部屋で読んだ。
間接照明をつけて、iphoneで曲を流して
思い出に浸るように1文字ずつ目で追う。
おや、と思う箇所があった。
すらすらと書かれている文章の中に
躊躇って書いたであろう文字がある。
「あなたを心底嫌いになりたかった」
「けど、嫌いにさせてくれなかった」
僕の駄目なところも見抜かれ
君は全てを文字にしてくれた。
書きながら泣いたのだろう。
涙跡が手紙の左下にあった。
間違えてしまったのだろうか。
「好き」という文字に二重線。
全てが愛おしくて、でも会うことはできなくて
流れている曲のリズムだけが夜と僕を包み込む。
君が亡くなって1ヶ月が経った。
自殺で、遺書は机の上にあった。
読む、文末には「ごめんなさい」と書かれていて
「謝らなくていいよ」と言ってあげたくなるけど
もう、君はこの世のどこを探そうと存在してなく。
「なんで君が謝るんだよ」と呟いた言葉は
流れている曲に搔き消されてどこか消えた。
一頻りの愛だった。
一生を考えてしまうほどに愛し
一瞬で過ぎ去ってしまった愛で
もう取り返しのつかないところ。
僕は君の心を搔っ攫って
君は僕の心を搔っ攫った。
死に至る前に僕が何か話をすれば
死に至ることなく済まなかったか。
亡くなったとされる推定時刻が
深夜2時だったことを聞かされ
今、僕は君からの手紙を読んだ。
どれも君がこの世を生きた証であり
手紙の左下に残されている涙跡だけ
君に触れられるような気がしている。
触れた、出たばかりの涙は温いけれど
もう時間の経ってしまった涙は冷たい。
温い涙が頬を伝っていき
あ、重なるように落ちた。
君の涙跡と少し重なった僕の涙は
温くてまだ触れると温度があった。
さっきまで流していた曲が終わり
新たに別の曲が部屋に流れ出した。
テンポがさっきよりも早い。
まるで僕の鼓動を真似しているような。
リビングに置いてあった椅子を持ち
縄をかけた寝室に渋々と移動させる。
天井からぶら下がっている縄
昨日買ってきたばかりの新品。
きっと僕の重さにも耐えてくれるだろう。
椅子に乗って縄を首に回して一呼吸する。
ようやく、手紙の意味を理解した。
どうして文末が謝罪だったのかを。
僕は「ごめんね」と言って椅子を蹴った。
君に手紙の返事を渡しに行くよ、今から。
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『手紙の返事』
君が僕を想って書いてくれた手紙を
深夜2時、暗くなった部屋で読んだ。
間接照明をつけて、iphoneで曲を流して
思い出に浸るように1文字ずつ目で追う。
おや、と思う箇所があった。
すらすらと書かれている文章の中に
躊躇って書いたであろう文字がある。
「あなたを心底嫌いになりたかった」
「けど、嫌いにさせてくれなかった」
僕の駄目なところも見抜かれ
君は全てを文字にしてくれた。
書きながら泣いたのだろう。
涙跡が手紙の左下にあった。
間違えてしまったのだろうか。
「好き」という文字に二重線。
全てが愛おしくて、でも会うことはできなくて
流れている曲のリズムだけが夜と僕を包み込む。
君が亡くなって1ヶ月が経った。
自殺で、遺書は机の上にあった。
読む、文末には「ごめんなさい」と書かれていて
「謝らなくていいよ」と言ってあげたくなるけど
もう、君はこの世のどこを探そうと存在してなく。
「なんで君が謝るんだよ」と呟いた言葉は
流れている曲に搔き消されてどこか消えた。
一頻りの愛だった。
一生を考えてしまうほどに愛し
一瞬で過ぎ去ってしまった愛で
もう取り返しのつかないところ。
僕は君の心を搔っ攫って
君は僕の心を搔っ攫った。
死に至る前に僕が何か話をすれば
死に至ることなく済まなかったか。
亡くなったとされる推定時刻が
深夜2時だったことを聞かされ
今、僕は君からの手紙を読んだ。
どれも君がこの世を生きた証であり
手紙の左下に残されている涙跡だけ
君に触れられるような気がしている。
触れた、出たばかりの涙は温いけれど
もう時間の経ってしまった涙は冷たい。
温い涙が頬を伝っていき
あ、重なるように落ちた。
君の涙跡と少し重なった僕の涙は
温くてまだ触れると温度があった。
さっきまで流していた曲が終わり
新たに別の曲が部屋に流れ出した。
テンポがさっきよりも早い。
まるで僕の鼓動を真似しているような。
リビングに置いてあった椅子を持ち
縄をかけた寝室に渋々と移動させる。
天井からぶら下がっている縄
昨日買ってきたばかりの新品。
きっと僕の重さにも耐えてくれるだろう。
椅子に乗って縄を首に回して一呼吸する。
ようやく、手紙の意味を理解した。
どうして文末が謝罪だったのかを。
僕は「ごめんね」と言って椅子を蹴った。
君に手紙の返事を渡しに行くよ、今から。
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