2026-01-28
『君だけに使う技』
私の彼氏は早く寝てしまう人だ。
いや、私が夜更かしをするせい。
寝る前のLINEがとても楽しくて
いつまでも続けていたいけれど
彼氏は睡魔に負けて寝てしまう。
私はまだ、お風呂に入っていないというのに。
彼氏が夢の中へと旅立ったことを察して
私はそそくさと湯船にお湯を張ってから
洗面台の前で服を脱いでお風呂に入った。
頭を洗って、顔も体も綺麗にし
張った湯船にチャポンと浸かる。
湯船に浸かる時間さえも暇に思えて
スマホを持ってきている私はきっと
所謂スマホ依存症というものなのか。
ピコン、と通知音が響く。
夢の中へ旅立った彼氏からの連絡で
嬉しさを表現しまいと平然を装って
「あ、起きた感じ?」と返信をした。
すぐに既読がつくことから
きっと画面を開いたままで
横になっていると想像つく。
「君と話したくて夢の中から出てきた」
彼氏は寝ぼけていても甘い言葉を選ぶ。
お湯からふわふわ出てくる湯気が
私が彼氏に向けている好意みたく
なんだか恥ずかしくって照れるが。
「そんな技を使えるなんて天才」
「ちなみになんていう技なの?」
照れていることを上手く隠し
彼氏を褒めることに徹したが
「愛」と一言だけ返信が来て。
思わず、ニヤけてしまった。
「不覚にもニヤけてしまったよ、悔しい」
私は彼氏に、嘘偽りなく事実を送信した。
頬が火照っているのを感じるけれど
これは暖かすぎるお湯のせいであり
決して彼氏に対してのものではない。
言い聞かせる、自分に。
また、ピコンと通知音が鳴った。
彼氏からのもので何か気になる。
「夢の中で待たせてる女の子いる」
冗談だと分かるけれど少し悲しい。
「いってらっしゃい」と強がって言った。
「その人が夢に出てくるってことはね」
「相手が強く思っているかららしいよ」
そんなことも添えるように送ったが
「わーいわーい」と返信が来るだけ。
どこまで無自覚なのだろうか、彼氏は。
「私は夢で君とは会えないけど~」と
まだ寝てほしくなくて話題を提示した。
すると、すぐさまさっき私が送った内容に
返信するような形で「これ嘘になるね」と
送ってきて「予定合わせるよ夢」とも来る。
夢で待ち合わせできたのなら
さぞ楽しいことだろうと思う。
「なら、一緒に行ったホテルで待ち合わせね」
「あのとき楽しかったから夢でも絶対楽しい」
湯船に張ったお湯がぬるくなり
次第にひんやりしてきたのだが。
待ち合わせ場所を知らないまま
彼氏は夢の中へ行ってしまった。
--
『君だけに使う技』
私の彼氏は早く寝てしまう人だ。
いや、私が夜更かしをするせい。
寝る前のLINEがとても楽しくて
いつまでも続けていたいけれど
彼氏は睡魔に負けて寝てしまう。
私はまだ、お風呂に入っていないというのに。
彼氏が夢の中へと旅立ったことを察して
私はそそくさと湯船にお湯を張ってから
洗面台の前で服を脱いでお風呂に入った。
頭を洗って、顔も体も綺麗にし
張った湯船にチャポンと浸かる。
湯船に浸かる時間さえも暇に思えて
スマホを持ってきている私はきっと
所謂スマホ依存症というものなのか。
ピコン、と通知音が響く。
夢の中へ旅立った彼氏からの連絡で
嬉しさを表現しまいと平然を装って
「あ、起きた感じ?」と返信をした。
すぐに既読がつくことから
きっと画面を開いたままで
横になっていると想像つく。
「君と話したくて夢の中から出てきた」
彼氏は寝ぼけていても甘い言葉を選ぶ。
お湯からふわふわ出てくる湯気が
私が彼氏に向けている好意みたく
なんだか恥ずかしくって照れるが。
「そんな技を使えるなんて天才」
「ちなみになんていう技なの?」
照れていることを上手く隠し
彼氏を褒めることに徹したが
「愛」と一言だけ返信が来て。
思わず、ニヤけてしまった。
「不覚にもニヤけてしまったよ、悔しい」
私は彼氏に、嘘偽りなく事実を送信した。
頬が火照っているのを感じるけれど
これは暖かすぎるお湯のせいであり
決して彼氏に対してのものではない。
言い聞かせる、自分に。
また、ピコンと通知音が鳴った。
彼氏からのもので何か気になる。
「夢の中で待たせてる女の子いる」
冗談だと分かるけれど少し悲しい。
「いってらっしゃい」と強がって言った。
「その人が夢に出てくるってことはね」
「相手が強く思っているかららしいよ」
そんなことも添えるように送ったが
「わーいわーい」と返信が来るだけ。
どこまで無自覚なのだろうか、彼氏は。
「私は夢で君とは会えないけど~」と
まだ寝てほしくなくて話題を提示した。
すると、すぐさまさっき私が送った内容に
返信するような形で「これ嘘になるね」と
送ってきて「予定合わせるよ夢」とも来る。
夢で待ち合わせできたのなら
さぞ楽しいことだろうと思う。
「なら、一緒に行ったホテルで待ち合わせね」
「あのとき楽しかったから夢でも絶対楽しい」
湯船に張ったお湯がぬるくなり
次第にひんやりしてきたのだが。
待ち合わせ場所を知らないまま
彼氏は夢の中へ行ってしまった。
--



