言の葉の夜

2026-01-10
『愛ってなに』

「見て」と言ってついさっき撮った写真を
送り付けたくなる相手に対しての思いには
きっと愛が含まれていると私は思っている。

そんな内容が送られてきた23時。

ご飯を食べ終わった僕は歯を磨きながら
パソコンで好きなドラマを観ている最中。

スマホの通知で画面が明るくなり
何が送られてきたのだろうと見る。

冒頭の言葉。

21時頃、僕はこの女性に対し
「愛って何だと思う」と訊いた。

深い意味はなく、何かしらネタが欲しくて
自分以外の考える愛について知りたかった。

歯磨きをしていない左手でスマホを持ち
「教えてくれてありがとう、ちなみに」
「君はそんなことを思う相手がいるの」
僕はもっと深く知りたくなって聞いた。

すぐに返信をしたから
すぐに既読は付いたが
すぐ返信は来なかった。

流れているドラマが着々と終盤に近付き
それと同じくらいに僕の歯磨きも終わり。

返信は来ていないかな、とスマホを見るが
既読の付いたまま、返信の来ない画面だけ
そこに映し出されていて少し寂しくなった。

「ごめんね、嫌なこと聞いちゃったね」と
ここでカバーをしてあげられないのが僕だ。

部屋の電気を消して、寝室に向かう。

枕元には昨夜、読んでいた本が置かれていて
栞を挟んでいる頁を開いて少しばかり読んだ。

活字を目で追っていると眠くなる。

「今日はここまでにしよう」と独り言を呟き
栞を挟んで本を枕元に置いて、電気を消した。

翌朝、カーテンの隙間から差し込む光に
眩しさを感じて目を覚ましたのだが9時。

スマホに、通知はなかった。

ベッドから立ち上がって、少し小腹が空き
昨日買ったカプリコを冷蔵庫から取り出し
椅子に座って食べようかと封を開けていく。

そのとき、スマホが大きな音を鳴らし
女性からの連絡だと僕に知らせてくれ。

手に持っていたカプリコを机に置き
スマホを持って何が送られてきたか。

「見て」というたった一文と共に
さっき撮ったであろう花の写真が
そこには映し出されているだけで
昨日の問いに対し答えがなかった。

なんだか拍子抜けした僕はスマホを置いて
机に置いたカプリコを手に持ち封を開ける。

カプリコに顔が描かれていた。
まるで今の僕みたいな表情で。

思わず女性に対して「見て」と一文を送り
今撮ったばかりのカプリコの写真を送った。

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