明日はお休みをいただきます

 俺は、いったん帰宅した。熱が出て、早退、という言葉を使った。まあ、さぼりたいときの常とう句。ひとり暮らしの俺は、家に帰れば家族がいる――っていうわけでもないから、さぼりの連絡は学校まで行かないといけない(電話は掃除中にどっか行った)。面倒だ。
 
 とはいえ、今はこんな面倒なことでもしなくちゃいけなかった。高校生にもなって泣くなんてみっともない。それも陽キャならまだしも、不良だぞ……?

 恩人(おんじん)に対しての態度よりクラスの目を気にしてばかりいる自分に苛立つ。ますます怒りがこみあげてくる。でも、この怒りの2割は俺が勝手につくったものなのだ――

 枕にうずめて声をひそめて泣いていると、ドン、と両手が何かにあたる。

「痛っ」

 面倒くさいが顔をあげる。濡れた枕が目に入った。痛みを覚えた方向へ目をやると、どさどさ、と崩れ落ちている紙の山!
 
 俺は、その中から手探りで1冊の本をつかんだ。
 この学校には「入学文集」という風習がある。

 俺がつかみ取ったのは、B6版の入学文集だった。
 

――入学文集を懐かしい思いでめくっていると、いつの間にか最後のページに来ていた。

 最後のページは、1年生のアルバム。
 俺と和也とは、1年、2年、そして今年の3年と、同じクラスだった。

 俺の背後にかぶさるようにして、笑顔で映る和也。
 眩しくて、涙がこみあげてきた。