昼間は春の陽気な日差しの中ひたすら歩く。
至るところで煙が上がっており、どうやら火事のようだ。
「劣った人間が居なくなった世界ってどんななんだろうな」
ハルオがポツリと言うと、マモルは言葉を返してくれる。
「それは、僕にも推測できないな」
「足を引っ張る人間が居なくなるんだから、素晴らしい世界になるんじゃないのか?」
「どうだろうね」
人々の叫びが至るところから聞こえた。
そんな二人の前に、女性が走ってやって来る。
「た、助けて下さい!!」
そんな女性にハルオは冷たく言う。
「人を助けるのは国の役目です。俺は知りません」
「そんなっ!!」
傷だらけの彼女はどうやら何者かに襲われたのだろう。
ハルオは思う。泣いている自分を助けてくれなかった国を人を助ける義理など無い。
マモルは何も言葉を出さない。
女性は泣きながら取り出した愛のカプセルを飲んだ。
その様子を二人は見つめる。
十分ほどして、女性はだんだんと笑い始めながら、楽しそうな笑顔で息を引き取る。
「へぇー。本当にあのカプセルを飲むと楽に死ねそうだ」
「そうだね、ハルオ」
今日も日は暮れていく。
夜になり、ハルオとマモルは、また適当に人目の付かない所で寝ることにした。
「今日の夕飯は、お菓子パーティーか」
ハルオは家にあったお菓子をもぐもぐと食べ始める。
「明日はいよいよ、あのゴミ野郎をぶち殺す日かー」
包丁を握りしめてハルオは言う。マモルはただ静かにうなずいた。
ハルオは天を仰いで息を吐いて話し始める。
「そして、俺もこの世からおさらばだ」
そんな様子をマモルは見つめていた。
「寂しくなるね」
「大丈夫さ、マモルならすぐ友達ができる」
「でも、ハルオの代わりはいないよ」
言われ、少し照れくさくなるハルオ。
「そっかー」
どんな日だって夜は明ける。
寝ていた場所から撤収し、いよいよハルオが住んでいた街までやってきた。
「懐かしいな。クソみてぇな思い出しかないけどな」
マモルはそんな言葉にも返してくれる。
「そっかー」
しばらく歩き、いよいよ憎いアイツの家が見えてきた。
「俺は勝てるかな?」
ハルオは自信なさげにマモルに聞いてみる。
「大丈夫さ」
「……、よしっ、気合い入れて行くか! まぁ、そもそもあのゴミ野郎がいるかどうかもわからないけどな」
玄関のドアはもちろん閉まっていたので、窓を模造刀で叩いて割り、侵入した。
家の中に人の気配はない。ひと部屋ひと部屋確認しながら歩くが、一階には誰もいない。
二階かと思い、ハルオは階段を上る。
端から部屋を確認していたハルオが、とある部屋に入った後、しばらく出てこなかった。
ようやく出てきたかと思うと、顔には笑顔。
そして、口を開いて笑い出した。
マモルは尋ねる。
「ハルオ、どうだった?」
「豚がさ」
突然、変な事を言うのでマモルは黙って聞き続ける。
「いや、育った豚が、これから加工されるためにトラックに乗っているの見たことあるんだよ」
ハルオは続ける。
「そこでさ、豚が交尾してんの。これから死ぬってのに、馬鹿だよな」
ふぅーっと息を吐くハルオ。
「人間も同じだなって思ったわ」
部屋の中には死体が二つあった。憎いゴミ野郎とそいつと結婚したバカ女。
「いや、豚は運命が分かっていないけど、これから死ぬって分かっている人間の方が豚よりも馬鹿だよな」
マモルはうんうんとうなずく。
「それで、ハルオはどうしたの?」
「死んでいるアイツの顔に包丁を突き立てといたよ。地獄に行きますようにってね」
「そっかー」
二人はハルオが好きだった神社へ行った。
そこも神聖な場所なのに、今となっては死体だらけだ。
ハルオは見渡してから言う。
「神様の元で死にたかったんかな?」
「神様、多分そうだね」
マモルの返事にはっはっはと笑いながら返すハルオ。
「まぁ、俺も同じ考えだから、この人達のこと、悪く言えないや」
ハルオは愛のカプセルを取り出し、神社の清めの水をひしゃくで掬った。
「今、俺は晴れやかな気分だ。復讐も終わり、このクソみたいな世の中と、人生とおさらばできる」
マモルも笑顔で返事をしてくれた。
「良かったね」
ハルオは愛のカプセルを口に含んで、水で流す。
「それもこれも、マモルのおかげだ。ありがとうな」
だんだんと頭がボーっとして何だか幸せな気分になっていた。
「マモル、元気でな。お前は優れたAI搭載のアンドロイドなんだから」
ハルオは一生分の幸せをその身に受け、この世を去った。
至るところで煙が上がっており、どうやら火事のようだ。
「劣った人間が居なくなった世界ってどんななんだろうな」
ハルオがポツリと言うと、マモルは言葉を返してくれる。
「それは、僕にも推測できないな」
「足を引っ張る人間が居なくなるんだから、素晴らしい世界になるんじゃないのか?」
「どうだろうね」
人々の叫びが至るところから聞こえた。
そんな二人の前に、女性が走ってやって来る。
「た、助けて下さい!!」
そんな女性にハルオは冷たく言う。
「人を助けるのは国の役目です。俺は知りません」
「そんなっ!!」
傷だらけの彼女はどうやら何者かに襲われたのだろう。
ハルオは思う。泣いている自分を助けてくれなかった国を人を助ける義理など無い。
マモルは何も言葉を出さない。
女性は泣きながら取り出した愛のカプセルを飲んだ。
その様子を二人は見つめる。
十分ほどして、女性はだんだんと笑い始めながら、楽しそうな笑顔で息を引き取る。
「へぇー。本当にあのカプセルを飲むと楽に死ねそうだ」
「そうだね、ハルオ」
今日も日は暮れていく。
夜になり、ハルオとマモルは、また適当に人目の付かない所で寝ることにした。
「今日の夕飯は、お菓子パーティーか」
ハルオは家にあったお菓子をもぐもぐと食べ始める。
「明日はいよいよ、あのゴミ野郎をぶち殺す日かー」
包丁を握りしめてハルオは言う。マモルはただ静かにうなずいた。
ハルオは天を仰いで息を吐いて話し始める。
「そして、俺もこの世からおさらばだ」
そんな様子をマモルは見つめていた。
「寂しくなるね」
「大丈夫さ、マモルならすぐ友達ができる」
「でも、ハルオの代わりはいないよ」
言われ、少し照れくさくなるハルオ。
「そっかー」
どんな日だって夜は明ける。
寝ていた場所から撤収し、いよいよハルオが住んでいた街までやってきた。
「懐かしいな。クソみてぇな思い出しかないけどな」
マモルはそんな言葉にも返してくれる。
「そっかー」
しばらく歩き、いよいよ憎いアイツの家が見えてきた。
「俺は勝てるかな?」
ハルオは自信なさげにマモルに聞いてみる。
「大丈夫さ」
「……、よしっ、気合い入れて行くか! まぁ、そもそもあのゴミ野郎がいるかどうかもわからないけどな」
玄関のドアはもちろん閉まっていたので、窓を模造刀で叩いて割り、侵入した。
家の中に人の気配はない。ひと部屋ひと部屋確認しながら歩くが、一階には誰もいない。
二階かと思い、ハルオは階段を上る。
端から部屋を確認していたハルオが、とある部屋に入った後、しばらく出てこなかった。
ようやく出てきたかと思うと、顔には笑顔。
そして、口を開いて笑い出した。
マモルは尋ねる。
「ハルオ、どうだった?」
「豚がさ」
突然、変な事を言うのでマモルは黙って聞き続ける。
「いや、育った豚が、これから加工されるためにトラックに乗っているの見たことあるんだよ」
ハルオは続ける。
「そこでさ、豚が交尾してんの。これから死ぬってのに、馬鹿だよな」
ふぅーっと息を吐くハルオ。
「人間も同じだなって思ったわ」
部屋の中には死体が二つあった。憎いゴミ野郎とそいつと結婚したバカ女。
「いや、豚は運命が分かっていないけど、これから死ぬって分かっている人間の方が豚よりも馬鹿だよな」
マモルはうんうんとうなずく。
「それで、ハルオはどうしたの?」
「死んでいるアイツの顔に包丁を突き立てといたよ。地獄に行きますようにってね」
「そっかー」
二人はハルオが好きだった神社へ行った。
そこも神聖な場所なのに、今となっては死体だらけだ。
ハルオは見渡してから言う。
「神様の元で死にたかったんかな?」
「神様、多分そうだね」
マモルの返事にはっはっはと笑いながら返すハルオ。
「まぁ、俺も同じ考えだから、この人達のこと、悪く言えないや」
ハルオは愛のカプセルを取り出し、神社の清めの水をひしゃくで掬った。
「今、俺は晴れやかな気分だ。復讐も終わり、このクソみたいな世の中と、人生とおさらばできる」
マモルも笑顔で返事をしてくれた。
「良かったね」
ハルオは愛のカプセルを口に含んで、水で流す。
「それもこれも、マモルのおかげだ。ありがとうな」
だんだんと頭がボーっとして何だか幸せな気分になっていた。
「マモル、元気でな。お前は優れたAI搭載のアンドロイドなんだから」
ハルオは一生分の幸せをその身に受け、この世を去った。



