「……ねえ、楓くん」
「何? どうしたの?」
わたしはゆっくりと起き上がり、体育座りになった。
「……」
「どうしたの? 体調悪くなってきた?」
首を横に振る。
「……真面目に聞いてくれる?」
「もちろん。何でも話しをして、って言ったでしょ」
「うん……」
「話にくいなら、ゆっくりで良いから」
「……うん」
ジーワ……ジーワ……と蝉の声。
あれだけ涼しかったのに、今は太陽がまた照り付けてきた。
「……また暑くなってきたな……向こうに行こう」
「うん」
すぐ近くにあった大きな木の下。
2人とも体育座りになる。
「……ここなら、だいぶ涼しいね」
「でしょ? 木陰だからね」
「……ちょっとここで待ってて?」
「うん」
わたしは楓くんがいる場所を、1人離れて歩き出す。
「……美咲ちゃん?」
「大丈夫!! 戻ってくるから!」
舗装された外周コースを歩く。
頭も痛いし……体もだるくて、熱っぽい。
(……ゆっくり……ゆっくり歩こう)
ジョギングをしている女性が、後からわたしを追い越していく。
でも、わたしは慌てない……呼吸を整えながら、ゆっくりと歩く。
この公園は……なんて言えば良いんだろう……木が「ちょうどいい」。
森でもない。少なすぎることもない。
木々が揺れると、サーっと太陽の日差しが入ってくる。マイナスイオンがたっぷり入り込んできてるんだろうなって思う。
ひょうたんのような形をしている、公園の外周コース。
マイナスイオンを感じながら、ゆっくりと歩く……。
(……色々あったな)
入学する前。熊本にいたこと。受験前に、茜がいなくなってしまったこと……。
ほんのちょっとだけ「昔のこと」になりつつあるけど……わたしの心の中には、いつもあの日のことが、昨日のことのように浮かぶ。
(磯子に来てからも……大変だったな……)
春から栄ケ丘高校に入学したこと……C組でのできごと……学校を休んでばかりいたから、友達が大勢いるわけじゃない。でも、わたしなりに想い出はたくさんできた。
(……ほんとに、あっという間だった)
これまでのことが、映画のように……頭の中に浮かんでは、消える……。
楓くんに出会えて、わたしは本当に幸せだ――
2人で一緒にデートして。
一緒に笑って。
わたしはもう、これ以上なにも望んでないよ。
ひょうたん型のコースも、どうやらちょうど中間地点らしい。
正面を見ると、遥か遠くに楓くんが見える。約束通り、芝生に寝っ転がりながら……わたしを待ってくれている。
(ありがとう――わたしと出会ってくれて。わたしを好きになってくれて)
(でもね……もう一つだけ……もう一つだけ、お願いがあるんだ――)
神様。
もし神様が存在しているのなら……もうちょっとだけ、わたしに力を貸してください――お願いします
……それ以外、なにも望まないから――
もう少しで楓くんの所に戻る。
1周、歩き切ったってことになる。
わたしの鼓動は……段々と強くなってきていた。
――これは……歩いて疲れたからじゃない。
「何? どうしたの?」
わたしはゆっくりと起き上がり、体育座りになった。
「……」
「どうしたの? 体調悪くなってきた?」
首を横に振る。
「……真面目に聞いてくれる?」
「もちろん。何でも話しをして、って言ったでしょ」
「うん……」
「話にくいなら、ゆっくりで良いから」
「……うん」
ジーワ……ジーワ……と蝉の声。
あれだけ涼しかったのに、今は太陽がまた照り付けてきた。
「……また暑くなってきたな……向こうに行こう」
「うん」
すぐ近くにあった大きな木の下。
2人とも体育座りになる。
「……ここなら、だいぶ涼しいね」
「でしょ? 木陰だからね」
「……ちょっとここで待ってて?」
「うん」
わたしは楓くんがいる場所を、1人離れて歩き出す。
「……美咲ちゃん?」
「大丈夫!! 戻ってくるから!」
舗装された外周コースを歩く。
頭も痛いし……体もだるくて、熱っぽい。
(……ゆっくり……ゆっくり歩こう)
ジョギングをしている女性が、後からわたしを追い越していく。
でも、わたしは慌てない……呼吸を整えながら、ゆっくりと歩く。
この公園は……なんて言えば良いんだろう……木が「ちょうどいい」。
森でもない。少なすぎることもない。
木々が揺れると、サーっと太陽の日差しが入ってくる。マイナスイオンがたっぷり入り込んできてるんだろうなって思う。
ひょうたんのような形をしている、公園の外周コース。
マイナスイオンを感じながら、ゆっくりと歩く……。
(……色々あったな)
入学する前。熊本にいたこと。受験前に、茜がいなくなってしまったこと……。
ほんのちょっとだけ「昔のこと」になりつつあるけど……わたしの心の中には、いつもあの日のことが、昨日のことのように浮かぶ。
(磯子に来てからも……大変だったな……)
春から栄ケ丘高校に入学したこと……C組でのできごと……学校を休んでばかりいたから、友達が大勢いるわけじゃない。でも、わたしなりに想い出はたくさんできた。
(……ほんとに、あっという間だった)
これまでのことが、映画のように……頭の中に浮かんでは、消える……。
楓くんに出会えて、わたしは本当に幸せだ――
2人で一緒にデートして。
一緒に笑って。
わたしはもう、これ以上なにも望んでないよ。
ひょうたん型のコースも、どうやらちょうど中間地点らしい。
正面を見ると、遥か遠くに楓くんが見える。約束通り、芝生に寝っ転がりながら……わたしを待ってくれている。
(ありがとう――わたしと出会ってくれて。わたしを好きになってくれて)
(でもね……もう一つだけ……もう一つだけ、お願いがあるんだ――)
神様。
もし神様が存在しているのなら……もうちょっとだけ、わたしに力を貸してください――お願いします
……それ以外、なにも望まないから――
もう少しで楓くんの所に戻る。
1周、歩き切ったってことになる。
わたしの鼓動は……段々と強くなってきていた。
――これは……歩いて疲れたからじゃない。



