「あれ。神社あるよ……気付かなかった」
空になったホットココアのコップを握り締めながら、橋を渡る。
「ここ、なんて名前なの?」
「いや……あるのは知ってたけど……名前は分かんないなぁ」
スマホで検索すると「八幡橋八幡神社」と出てきた。
「あ! そうだ……八幡神社だ」
「なんだ。知ってるんじゃん」
「聞いたことあったな、くらいだよ」
敷地内に入ると、不思議と静けさに包まれた。
道路沿いにあるにも関わらず。
きっと、覆い尽くされた緑のお陰なんだろうなと思った。
「……暑かった……」
わたしはすでにかなり汗をかいている。
「美咲ちゃん、体調大丈夫?」
「……うん。きつかったけどね……」
「静かだよね。来た事無かったな」
「ほんと静かだね。……なんだか違う空間みたいだもん」
「どう?」
「……なに? 「どう」って」
「いや、美咲ちゃん、神社が好きなんじゃないの?」
「……ちがうよ」
緑のお陰で、日差しも遮られてる。
わたしはカーディガンを脱いで、ベンチに座った。
「……最近、ずっと落ち込んでたんだよね」
「……」
「妹のことでさ」
「……昨日、言ってたよね」
「うん」
「元々ね、学校でいじめにあってて…学校休むようになっちゃったんだよ。妹」
「……そうだったの」
「でさぁ……」
なんだろう。楓くんにちゃんと伝えたい気持ちでいるのに……心の中から言葉を出すのに力がいる。
「……言える時で良いよ? 今じゃなくても」
「ありがと。……優しいね。楓くんは」
「いや……言えない時だってあるじゃんか」
「うん……でも、もし聞いてもらえるなら……聞いて欲しい」
「聞かせてよ。1人で抱え込まないで……俺もちゃんと知っておきたい」
「……うん」
なんでだろ
しゃべろうとすると、言葉と一緒に……涙が出てくるのは……
「えっ……と」
楓くんは、わたしが頑張って言葉を出そうとしていのが分かってるの……?
……待ってくれてる。
「……で、こっちに引越ししようと思って」
「うん」
「春から、新しい学校に……行けるように……って……」
涙が止まらない……
でも……でも、伝えたい
「で……」
「……」
「で、死んじゃったんだよ!」
「……」
「飛び降りちゃったの!! 家から! 2階から……」
「……」
「……学校から……帰ったら……もう……」
わたしは楓くんの胸に抱きついていた。
思い切り泣いた。声を上げて……泣いた。
「会いたいよ!! 何なの!!」
「……」
「何なの!? わたしが悪いの!?」
背中に楓くんの手の温度を感じる……
「ねえ!!」
「ねえ!!」
「返してよ!!!」
「ねえ!!!」
「ねえー!! 返してよ!!! 茜、返してよ!!」
「妹、返してよー!!」
「……会いたいよ――……」
「会いたいよぉー――……」
「……会いたいよ……」
会いたいよ。
そのためだったら……なんでもする
ねえ、ねえってば……
戻ってきてよ
ほんとに。
ねえってば……
聞こえてる?
空になったホットココアのコップを握り締めながら、橋を渡る。
「ここ、なんて名前なの?」
「いや……あるのは知ってたけど……名前は分かんないなぁ」
スマホで検索すると「八幡橋八幡神社」と出てきた。
「あ! そうだ……八幡神社だ」
「なんだ。知ってるんじゃん」
「聞いたことあったな、くらいだよ」
敷地内に入ると、不思議と静けさに包まれた。
道路沿いにあるにも関わらず。
きっと、覆い尽くされた緑のお陰なんだろうなと思った。
「……暑かった……」
わたしはすでにかなり汗をかいている。
「美咲ちゃん、体調大丈夫?」
「……うん。きつかったけどね……」
「静かだよね。来た事無かったな」
「ほんと静かだね。……なんだか違う空間みたいだもん」
「どう?」
「……なに? 「どう」って」
「いや、美咲ちゃん、神社が好きなんじゃないの?」
「……ちがうよ」
緑のお陰で、日差しも遮られてる。
わたしはカーディガンを脱いで、ベンチに座った。
「……最近、ずっと落ち込んでたんだよね」
「……」
「妹のことでさ」
「……昨日、言ってたよね」
「うん」
「元々ね、学校でいじめにあってて…学校休むようになっちゃったんだよ。妹」
「……そうだったの」
「でさぁ……」
なんだろう。楓くんにちゃんと伝えたい気持ちでいるのに……心の中から言葉を出すのに力がいる。
「……言える時で良いよ? 今じゃなくても」
「ありがと。……優しいね。楓くんは」
「いや……言えない時だってあるじゃんか」
「うん……でも、もし聞いてもらえるなら……聞いて欲しい」
「聞かせてよ。1人で抱え込まないで……俺もちゃんと知っておきたい」
「……うん」
なんでだろ
しゃべろうとすると、言葉と一緒に……涙が出てくるのは……
「えっ……と」
楓くんは、わたしが頑張って言葉を出そうとしていのが分かってるの……?
……待ってくれてる。
「……で、こっちに引越ししようと思って」
「うん」
「春から、新しい学校に……行けるように……って……」
涙が止まらない……
でも……でも、伝えたい
「で……」
「……」
「で、死んじゃったんだよ!」
「……」
「飛び降りちゃったの!! 家から! 2階から……」
「……」
「……学校から……帰ったら……もう……」
わたしは楓くんの胸に抱きついていた。
思い切り泣いた。声を上げて……泣いた。
「会いたいよ!! 何なの!!」
「……」
「何なの!? わたしが悪いの!?」
背中に楓くんの手の温度を感じる……
「ねえ!!」
「ねえ!!」
「返してよ!!!」
「ねえ!!!」
「ねえー!! 返してよ!!! 茜、返してよ!!」
「妹、返してよー!!」
「……会いたいよ――……」
「会いたいよぉー――……」
「……会いたいよ……」
会いたいよ。
そのためだったら……なんでもする
ねえ、ねえってば……
戻ってきてよ
ほんとに。
ねえってば……
聞こえてる?



