神社ってね、感謝をするところなんだよ

結局、終業式にさえ出ることができなかった。

熱っぽい感じがして、朝起きる。

「微熱だろうなぁ」と思い、体温は測っていない。「ちょっと気持ち悪いな」と思う日があったり、なかったりを繰り返す。

頭痛は基本的にあるけど、これも軽かったり重かったり。……寒気もたまにある。

そう。

微妙に熱っぽいだけで、何ともない日も結構ある。

わたしは病院に行くことはしなかった。

不思議なもので、「気持ち悪いな」と思っていても、ご飯を食べると治っている。

お父さんにもバレてなさそうだった。

久良岐公園に行って以来、楓くんには会えてない。

毎朝、起きてスマホを見る。
通知は来ていない。

たぶん、気を遣ってくれてるんだと思う。……たぶん。

(……あー……今日も来てない)

気だるい体を無理やり起こして、ため息をつきながら台所で水を飲むのが朝の日課になっていた。

「ちょっと散歩して来ようかなぁ……」
「……ん? あぁ。体調問題無いなら……良いんじゃないか?」
「うん」

夜は不思議と体調が良くなることが多い。

どちらかというと、朝や昼間の方が体調が悪いことが多く、きっと暑さも関係しているんだろうなと思う。

「ねえ。どっかお勧めの場所、ない?」
「お勧めって……」

「か弱い女子が歩いても……大丈夫そうなとこ」
「……そうだなぁ」

「あんま遠くないところがいい」

「磯子アベニューに沿って歩いてきたら」
「どこそれ」

「区役所あるだろ」
「うん。この前行ったとこでしょ」

「あの道をずっと真っすぐ行くんだよ」
「……そうすると、『磯子アベニュー』に着くの?」

「……その道に磯子アベニューがあるんだよ」

確かに区役所の前には1本の長い道がある。

そこから根岸駅の方に向かって、人工の小川が並行しているらしい。

「……ふーん」
「1kmくらい歩くと、公園があるから。そこで折り返してきたら良いんじゃない?」

「……公園」
「ああ。『芦名橋公園』って書いてあると思う」
「芦名橋公園」

「そう。そんなに大きな公園じゃないけどね」

7月下旬の暑い夜。
Tシャツにジャージ姿で家を出ようとする。

(……外、寒いかなぁ)

念のため、カーディガンをタンスから引っ張り出してきた。

「……体調悪くなったら、戻ってきなさい」
「分かってるよ。行ってきます」

夜の7時過ぎ。
区役所から伸びる長い道。

真横には大きな道路も並行している。

(……へぇ。これなら危なくないじゃん)

お父さんの言った通り、道路側には人工の細い川が流れていた。

暗くてそれほど見えなったけど。

磯子駅はベッドタウンのような町。
夜の時間帯は仕事帰りのサラリーマンや高校生もまだまだたくさん歩いている。

(これなら安心だなぁ――)

スマホを片手に、小川に沿ってゆっくりと歩いた。

(……ちょっと寒いな。……もう夏なのに)

カーディガンを羽織ってきて、正解だなと思った。