神社ってね、感謝をするところなんだよ

予想以上に人が多い。
毎年全国に出場するだけあって……
うちの高校以外の制服を着てる人も、たくさん来てる。

開場と同時にわーっと入ってくるわけではないけど、ずっと入場客で途切れない。

(……何? この数……)
(わたしも演奏したかったなぁ……)

パンフレットを人数分渡す。
長机とお客さんの顔を、わたしは行ったり来たりする。

「美咲ちゃん」

(……?)

はっとして顔を上げた。
そこには楓くんだけじゃなくて、勇太くんや恵ちゃんもいた。

「美咲ちゃん、私達も来ちゃったよー」
ニコリと笑いながら、恵ちゃんが話かけてくれる。

……もしかして?私、恵ちゃんと話をするの初めてかも。

「あっ……来てくれたんだ!」
ありったけの笑顔を作る。
……情けない。

「あの……これ」
楓くんがバッと私の目の前に花束を出した。

「……えっ?」
「演奏会だから。ちょっと大きいけど……ごめんね」
「あっ、いや……ありがとう」
「花……渡して大丈夫だったかな」
「うん。大丈夫。もらうね」

ちょっと恥ずかしそうにしている楓くん。
複雑な気持ち。

「大きいね! ありがとう」
「いやいや。花屋さんが選んだから」
「ううん。嬉しいよ」
「……良かった」
「うん。あ、入口あっちだよ」
私は右手を広げて、会場への通路を指さした。

「美咲ちゃん、今日出ないの?」

(勇太くんて……カンが良いなぁ……)

「……うん」
「あっ、そうなんだ……じゃ、行くね」

会場に沿って歩く人の流れに乗るように、3人とも歩き出した。

「……あ」
場内向かう歩みを止めて、勇太くんが振り返って言った。

「それ、部活にじゃなくて、美咲ちゃんにだってさ」
「……えっ?」
「花だよ。花」
「……」
「……って楓が言ってた。じゃね。頑張ってー」

手を振りながら歩いていく。
横では楓くんが勇太くんに何か言ってる……。

恵ちゃんが小走りで戻ってきた。
「……明日、休みなの知ってる?」
「え? そうなの?」
「危ないなー……研究発表会? みたいなやつだよ」
「……そうなんだ」
「学校、行っても誰もいないからね」
「うん。……ありがと」

ヴー……………

奥の会場から開演5分前を知らせるブザーが鳴る。

お客さんもほぼいなくなり、遅れてきた人たちが小走りで会場へと向かう。

もうわたしの仕事もほとんど終わった。
みんなはこれから始まるけど。

「……すいません、ちょっと抜けます」
私は長机の場所から歩き出し、トイレに向かった。流れ落ちてきた涙を拭うために。

お花、嬉しいな……。

(……わたしのため、なんだ……)

(でもね……今日は演奏会、出てないんだよ? わたし)

個室で涙が止まらなかった。
嬉しい。
でも……悔しい。
この体調。
(……わたし、何かした? ねえ)

教えてよ