一塁側ベンチに剣が戻ると仲間が出迎える。
「任せてよ、剣!
絶対、アタシがヒットを打つからね♪」
日佳留が明るく語りかける。
剣は頷く。
「お願いね、日佳留。
でもその前に話さなきゃいけないことがあるんだ」
そして、仲間の四人全員に視線を向ける。
「さっきの打席で確信したよ。
盾の魔球『炎城』の弱点」
その言葉に、全員が衝撃を受ける。
特に真希だった。
この中で最も強い力で盾の炎城と衝突し、敗北したのだ。
信じられないのも当然だった。
「そんな、あの魔球に弱点なんかあるんかいな!
ウチの全力の風神打法でも勝てへんパワーの魔球やで!?」
「そうだね。
それって、やっぱり不自然すぎるよ。
そんなとんでもないパワーの魔球を、軽々連続で投げられるはずがない。
これから最終回まで、どんなに早くても合計三十球近くは投げることになる。
ただ力でねじ伏せる球をそんなに連投できる?
きっと無理だよ。
盾自身の力がどんなに強くたって、あまりにも桁が違いすぎる」
「なるほど、あの魔球はなにか仕組みがあってあの動きをしている、と言いたいわけか」
ラブ将軍が言葉を挟む。
剣は頷き、話を続ける。
「考えてみれば、初回からの盾の言動はちょっと芝居がかってたように思うんだ。
まるで自分の魔球が力でねじ伏せる球みたいに『錯覚』させようとしてる感じだった。
本当は、力の使い方でパワー型魔球に見えるよう細工された、テクニカルな魔球なんだよ。
その仕組みこそがあの魔球の生命線だから隠してる。
わざとパワー型を演じて見せて、私達が正面からぶつかってくるよう誘ったんだ」
「なるほど……確かに僕も盾サンに言われ、力で立ち向かうしか無いと考えていた。
小細工は無意味だと『思い込んでいた』……それこそが彼女の布石、ということだね、剣サン?」
「はい」
剣は頷き、そして宣言する。
「――これからが勝負。魔球『炎城』の攻略開始だよ!」
