【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~戦闘力ゼロの追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と送る甘々ライフ~

「ギ、ギルドマスター……! い、いつから……!?」

 カインの顔から、血の気が引いた。

「事前にレオン君から話を聞いていてね。物陰から様子をうかがっていたんだ」

 ギルドマスターは静かに告げる。

「全て見ていたよ――キミの醜態を、全てね……」

 その声は、氷のように冷たかった。

 長年ギルドを支えてきた老冒険者の瞳には、かつてカインに向けていた期待も、信頼も、何もかもが消え失せていた。

 ただ、深い失望だけが残る。

「キミの横暴には、ある程度目をつぶってきた。若さゆえの傲慢さだと思っていたからね」

 ギルドマスターは、重々しく言葉を紡ぐ。

「だが、もうかばいきれん。いや――かばう価値すらない」

 そう言って、彼はカインたちの罪状を一つ一つ指折り数えた。

「一つ、レオンたちへの襲撃依頼――暗殺組織『狂月の鴉』への依頼は、すでに確認している」

「二つ、邪龍の宝玉の不法所持と使用――これだけで冒険者資格の永久剥奪に値する」

「三つ、違法な爆裂魔法結晶の使用――闇市場との繋がりも調査対象だ」

 そして、ギルドマスターの視線が、セリナに向く。

「最後に、禁忌の呪具――これは教会法で所持するだけで死罪に値する代物だ」

 その言葉に、セリナの体が震えた。

 老婆のように衰えた顔が、恐怖に歪む。

「これらは全て重罪だ。終身刑か、最悪は……死刑になるだろう」

 宣告は静かに、しかし確実に下された。

 ギルドマスターが合図すると、物陰から待機していたギルド職員たちが現れ、カインとセリナに駆け寄った。

「神妙にしろ!」

「確保、確保ぉぉ!」

「離せ! 離せぇぇぇっ! 俺は悪くない! 悪いのはレオンだ! レオンが全部悪いんだ!」

 カインの叫び声が、夜の闇に響く。

 だが、その声はもう誰の心にも届かない。

「クズのレオンが俺から全てを奪ったんだ! 俺ははめられたんだぁぁぁ! 全部、全部レオンが……!」

 彼は最後まで自分の罪を認めなかった。

 全てを他人のせいにして、自分だけが被害者だと叫び続ける。

 だが――それこそが、彼の本質だった。

 自分の過ちを認められず、他者を踏みにじることでしか自尊心を保てなかった、哀れな男。

「やめて……お願い……私は、私はただ……」

 セリナもまた、涙を流しながら無罪を主張していた。

 だが、その涙に同情する者は誰もいなかった。

 彼女が流してきた嘘の涙を、皆が知っていたから。

 ギルド職員たちが、二人を縄で縛り上げていく。

 かつて街の英雄と讃えられた男とその女は、今や犯罪者として引き立てられていった。

「俺は悪くない……悪くないんだ……全部、レオンが……」

 カインは狂ったように繰り返すばかり。

 その姿は、あまりにも惨めだった。

 こうして、カインとセリナは完全なる破滅を迎えた。

 嫉妬に狂い、憎悪に溺れ、最後には自らの手で全てを壊した二人。

 彼らの末路は、あまりにも惨めで、あまりにも自業自得だった。

 アルカナという新たな英雄が誕生し、太陽の剣という偽りの英雄は堕ちた。

 だが――。

 勝利の余韻に浸る間もなく、エリナの悲鳴が響いた。

「レオン! レオン、しっかりして!」

 彼女の腕の中で、レオンは苦しそうに息をしていた。

 全身から力が抜け、立つこともままならない。

 顔は蒼白で、額からは冷や汗が流れ落ちている。

「ぐっ……あぁ……」

 レオンの声は、かすれていた。

 禁忌の呪詛を、その身に受けてしまったのだ。

 セリナの最後の悪あがきが、確かにレオンを蝕んでいた。

「あぁ! レオン、大丈夫……? ミーシャ、早く治療を!」

 ルナが叫ぶ。その緋色の瞳には、涙が浮かんでいた。

「やってるわよ! でも、これは……」

 ミーシャが治癒魔法をかけるが、レオンの容態は改善しない。

 それどころか――。

「スキルが……消えていく……」

 レオンが、苦しそうにつぶやく。

 自分の中で、スキルと繋がっている心の回路がどんどん薄らいでいくのを感じていた。

 まるで砂時計の砂が落ちていくように、確実に、容赦なく。

 その言葉に、全員が凍りつく。

 スキルが、消える――?

 そう、セリナが起動した呪具は『スキル破壊の呪具』。

 対象者のスキルそのものを破壊する、恐るべき禁忌の品だった。

 一度壊されてしまえば、どんな強力な治癒魔法でも元に戻すことはできない。

 レオンの最強の武器――【運命鑑定】が、失われようとしていた。

「嘘……嘘よ……」

 シエルの声が、震えていた。

「レオンのスキルが……消える……?」

 ルナの顔から、血の気が引いていく。

「そんな……そんなことって……」

 ミーシャの手が、止まった。

 そして、エリナは――。

「レオン……レオン……私のせいで……私を守ろうとして……」

 涙が、頬を伝う。

 黒曜石のような瞳から、止めどなく涙が溢れていた。

「ごめんなさい……ごめんなさい……」

 月のない闇夜。

 星すら見えない。

 勝利の代償は、あまりにも大きかった。

 仲間を守るために飛び込んだレオンは、その優しさゆえに――未来を視る力を失ってしまったのだった。

 四人の少女たちが、レオンを囲んで泣いている。

 その光景は、勝利の夜とは思えないほど、悲しみに満ちていた。