「これなら、本気で付き合ってもいいかもしれませんわね」
その言葉には、ミーシャなりの最大限の賛辞が込められていた。
「じゃあ、改めて」
レオンがテーブルの中央に右手を差し出した。
「僕を受け入れてくれて、ありがとう」
翠色の瞳が、四人を見つめる。
「一緒に、輝く未来を目指そう」
「うん!」「いいんじゃない?」「よろしく!」「ふふっ」
一人、また一人と、手が重なっていく――――。
五つの手が完全に重なったその瞬間、レオンの視界が黄金に染まった。
【スキルメッセージ】
【運命共同体・成立】
【構成員:レオン、エリナ、ミーシャ、ルナ、シエル】
【未来予測:この結束が、世界の運命を書き換える】
さらに、新たなビジョンが流れ込んでくる。
五人が肩を並べて、巨大な影に立ち向かう姿。
剣を振るうエリナ。弓を引くシエル。魔法を放つルナ。回復魔法を唱えるミーシャ。そして、指示を出すレオン。
世界中の人々が、彼らの名を讃える光景。
歓声。拍手。涙を流して喜ぶ人々。
そして、最後に見えたのは――。
五人が、笑い合っている姿だった。
見たこともないガラスでできた巨大な塔の上で傷だらけで、疲れ果てて――でも、心から笑っている。
温かい光に包まれて、肩を寄せ合って。
まるで、家族のように。
だが、そのビジョンは霧に包まれて、全貌は見えなかった。
詳細は分からない。いつ、どこで、何があったのか。
でも、温かい気持ちだけが、確かに伝わってきた。
――これが、僕たちの未来か。
レオンは、胸が熱くなるのを感じた。
「どうした?」
エリナの声で、レオンは現実に引き戻された。
「急に黙り込んで。大丈夫?」
「いや」
レオンは、首を横に振った。
そして、微笑んだ。
今見たビジョンのことは、まだ言わないでおこう。
いつか、みんなで笑い合える日が来たら、その時に話そう。
「なんでもない。ちょっと、感慨深くなっただけだ」
「感慨深い?」
「ああ。今朝、全てを失ったと思っていたのに」
レオンは、四人の顔を見回した。
「今は、こんなに大切な仲間がいる。不思議な気分だよ」
少女たちが、照れくさそうに顔を見合わせる。
「あ、あんたも大概、恥ずかしいこと言うわね……」
エリナが、頬を赤らめながら言った。
「うふふ、でも悪い気分じゃありませんわ」
ミーシャが、くすくすと笑う。
「あたしも! 仲間って、いいね!」
ルナが、目を輝かせる。
「ボクも……嬉しい」
シエルが、はにかむように微笑んだ。
レオンは、自分の金貨の包みを懐にしまった。
四十枚。
借金の返済には全然足りない。
でも、それでいい。
今日という日は、金では買えない、かけがえのないものを手に入れた日なのだから。
◇
静かな感動が漂う中、レオンがふと思い出したように問いかけた。
「ところで、君たちのパーティ名は?」
その瞬間、四人の少女たちの表情が一変した。
まるで、秘密の箱を開けられたかのように。
エリナが急に視線を逸らし、頬が薔薇色に染まる。シエルが居心地悪そうに肩を竦め、碧眼を伏せる。ミーシャですら、完璧な聖女の微笑みに、かすかな動揺が走った。
そして、ルナ。
小さな体を、まるで消えてしまいたいかのように縮こまらせ、震える声で呟いた。
「よ……『四つ葉のクローバー』よ」
静寂。
カッコよさを求めがちな威勢のいいパーティ名が一般的な中、『四つ葉のクローバー』はあまりにもほんわかとしたのどかさを感じさせる。
そして――。
「くすっ」
レオンの口から、小さな笑いが漏れた。
瞬間、エリナの瞳が炎のように燃え上がった。
「笑わないで!」
声が、研ぎ澄まされた刃のように響く。
「この名前に決めた夜――私たちは雨に打たれて野宿してた。屋根もない、ただの廃屋の軒下で」
エリナの声が、かすかに震える。怒りではない。記憶の痛みだ。
シエルが小さく頷く。
「何も食べてなくて、お腹が鳴って……」
ミーシャも仮面を外したような素直な声で続ける。
「寒くて、怖くて、明日が見えなくて」
ルナが涙声で語る。
「でも、そんな時に私が言ったの。『四つ葉のクローバーみたいに、いつか幸せが見つかるかも』って」
エリナが拳を握りしめる。
「皆で泣きながら笑った。馬鹿みたいだって分かってた。でも、それしか希望がなかった」
新たな涙が、ルナの緋色の瞳から零れ落ちる。透明な雫がきらりと輝いた。
「悪かった」
レオンが真剣な表情で深々と頭を下げる。
「馬鹿にしたんじゃない。むしろ逆だ」
「は?」
エリナが眉をひそめる。
レオンは顔を上げ、四人を見つめた。
その言葉には、ミーシャなりの最大限の賛辞が込められていた。
「じゃあ、改めて」
レオンがテーブルの中央に右手を差し出した。
「僕を受け入れてくれて、ありがとう」
翠色の瞳が、四人を見つめる。
「一緒に、輝く未来を目指そう」
「うん!」「いいんじゃない?」「よろしく!」「ふふっ」
一人、また一人と、手が重なっていく――――。
五つの手が完全に重なったその瞬間、レオンの視界が黄金に染まった。
【スキルメッセージ】
【運命共同体・成立】
【構成員:レオン、エリナ、ミーシャ、ルナ、シエル】
【未来予測:この結束が、世界の運命を書き換える】
さらに、新たなビジョンが流れ込んでくる。
五人が肩を並べて、巨大な影に立ち向かう姿。
剣を振るうエリナ。弓を引くシエル。魔法を放つルナ。回復魔法を唱えるミーシャ。そして、指示を出すレオン。
世界中の人々が、彼らの名を讃える光景。
歓声。拍手。涙を流して喜ぶ人々。
そして、最後に見えたのは――。
五人が、笑い合っている姿だった。
見たこともないガラスでできた巨大な塔の上で傷だらけで、疲れ果てて――でも、心から笑っている。
温かい光に包まれて、肩を寄せ合って。
まるで、家族のように。
だが、そのビジョンは霧に包まれて、全貌は見えなかった。
詳細は分からない。いつ、どこで、何があったのか。
でも、温かい気持ちだけが、確かに伝わってきた。
――これが、僕たちの未来か。
レオンは、胸が熱くなるのを感じた。
「どうした?」
エリナの声で、レオンは現実に引き戻された。
「急に黙り込んで。大丈夫?」
「いや」
レオンは、首を横に振った。
そして、微笑んだ。
今見たビジョンのことは、まだ言わないでおこう。
いつか、みんなで笑い合える日が来たら、その時に話そう。
「なんでもない。ちょっと、感慨深くなっただけだ」
「感慨深い?」
「ああ。今朝、全てを失ったと思っていたのに」
レオンは、四人の顔を見回した。
「今は、こんなに大切な仲間がいる。不思議な気分だよ」
少女たちが、照れくさそうに顔を見合わせる。
「あ、あんたも大概、恥ずかしいこと言うわね……」
エリナが、頬を赤らめながら言った。
「うふふ、でも悪い気分じゃありませんわ」
ミーシャが、くすくすと笑う。
「あたしも! 仲間って、いいね!」
ルナが、目を輝かせる。
「ボクも……嬉しい」
シエルが、はにかむように微笑んだ。
レオンは、自分の金貨の包みを懐にしまった。
四十枚。
借金の返済には全然足りない。
でも、それでいい。
今日という日は、金では買えない、かけがえのないものを手に入れた日なのだから。
◇
静かな感動が漂う中、レオンがふと思い出したように問いかけた。
「ところで、君たちのパーティ名は?」
その瞬間、四人の少女たちの表情が一変した。
まるで、秘密の箱を開けられたかのように。
エリナが急に視線を逸らし、頬が薔薇色に染まる。シエルが居心地悪そうに肩を竦め、碧眼を伏せる。ミーシャですら、完璧な聖女の微笑みに、かすかな動揺が走った。
そして、ルナ。
小さな体を、まるで消えてしまいたいかのように縮こまらせ、震える声で呟いた。
「よ……『四つ葉のクローバー』よ」
静寂。
カッコよさを求めがちな威勢のいいパーティ名が一般的な中、『四つ葉のクローバー』はあまりにもほんわかとしたのどかさを感じさせる。
そして――。
「くすっ」
レオンの口から、小さな笑いが漏れた。
瞬間、エリナの瞳が炎のように燃え上がった。
「笑わないで!」
声が、研ぎ澄まされた刃のように響く。
「この名前に決めた夜――私たちは雨に打たれて野宿してた。屋根もない、ただの廃屋の軒下で」
エリナの声が、かすかに震える。怒りではない。記憶の痛みだ。
シエルが小さく頷く。
「何も食べてなくて、お腹が鳴って……」
ミーシャも仮面を外したような素直な声で続ける。
「寒くて、怖くて、明日が見えなくて」
ルナが涙声で語る。
「でも、そんな時に私が言ったの。『四つ葉のクローバーみたいに、いつか幸せが見つかるかも』って」
エリナが拳を握りしめる。
「皆で泣きながら笑った。馬鹿みたいだって分かってた。でも、それしか希望がなかった」
新たな涙が、ルナの緋色の瞳から零れ落ちる。透明な雫がきらりと輝いた。
「悪かった」
レオンが真剣な表情で深々と頭を下げる。
「馬鹿にしたんじゃない。むしろ逆だ」
「は?」
エリナが眉をひそめる。
レオンは顔を上げ、四人を見つめた。



