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二階の端にある私の部屋に荷物を置くと、そのままオーナーに連れられて今度は洗面所へと向かった。
広くて真っ白な洗面台と、その奥には浴室がある。そしてその脇には、業務用の洗濯機が設置されていた。
「今日は僕が洗濯の手順を教えるよ。ルナは今、下で接客中だから」
この館の営業時間中は、拝観に訪れた観光客たちが一階をうろうろしている。
各部屋には高価な調度品も多数展示されているため、ルナさんはその見回りを務めながらお客の相手をしているのだった。
洗濯機はコインランドリーに置いてあるような大型のもので、私の実家のそれと比べると倍以上の大きさがある。
そんな見た目に最初は圧倒されたものの、使い方はいたってシンプルだったので操作を覚えるのに時間はかからなかった。
と、オーナーに手ほどきを受けている最中、廊下に続く扉が急に開かれる音がしたので、私とオーナーはほぼ同時にそちらへ顔を向けた。
「あーっ、絵馬とオーナーだ! こんな所で何してるの?」
幼さの残る声とともに現れたのは、人間の姿をしたクロだった。その小さな手にはハンディモップが握られているので、どうやら今日は珍しく真面目に仕事をしているらしい。
「やあ、クロ。今はね、絵馬に洗濯の流れを説明していたところなんだ」
「お洗濯? なーんだ、つまんない。何か秘密の遊びでもしてるのかと思った」
クロは本当につまらなさそうに唇を尖らせる。しかしすぐに気持ちを切り替えた様子で、途端にぱっと花を咲かすような笑みを浮かべた。
「うふふ。二人とも、そうやって並んでると本当に夫婦みたいだね!」
夫婦。
その単語を耳にした瞬間、例のパートナー捜しの話が脳裏に蘇って、たまらず耳が熱くなった。
「な、何言ってるのクロ!」
「あっ。絵馬、顔が赤くなってるー!」
あははは、と愉快そうに笑う彼女は逃げるようにして部屋の外へ飛び出す。
どうやら揶揄われたらしい。ついムキになってしまっていた私はハッと我に返った。
そんな私を見て、隣の彼は可笑しそうにクスクスと笑う。
「大丈夫だよ、絵馬。クロは遊んでいるだけだから」
「そ、そうですよね。私ったらつい……」
大人げもなく感情的になった自分が恥ずかしい。早く忘れてしまいたくて、その後は乾燥機の使い方や衣類の収納場所などのレクチャーにできるだけ集中した。
やがて一通りの説明を聞き終わると、実際に洗濯機を回し始める。
「さて。これでしばらくは手が空くから、その間にちょっと買い出しに行こうか」
「買い出し、ですか?」



