気づけば年末街のざわめきも
世間の慌ただしさも
あの日の感覚を薄めることはできなかった
むしろ
日にちが過ぎるほどに
あの時
身体の奥で静かに砕けた何かが
さらに甘く疼き出す
最初はあのコースを
バカにしていたはずなのに
「一度だけ」と
心に誓っていたはずなのに
なのに…
なのに…
僕はそのお店のページを開くたび
あの堕ちていく瞬間の呼吸を
指先の奥で思い出してしまう
あの日から
恥ずかしい
僕自身が恥ずかしい
でも…
でも…
その恥ずかしさすら心地よくて
自分で自分をどう扱えばいいか
わからない
気づくと
予約ページの空き枠を探している自分がいた
あれは施術じゃない
教育でも躾でもない
あのセラピストの彼女が用意した
甘い落下地点へ
静かに手を添えられただけ
僕はそこに
進んで落ちていっただけだ
年末
今年最後のご褒美
世間が忙しいほど
僕の中の膨らみは大きくなって言った
会議中も膨らみ
移動中も膨らみ
自宅に帰宅後も
起床後も
膨らみ
僕の膨らみは彼女を求めてしまう
甘えか、服従か
それすらもう判断できない
ただ
導かれるように
自然と予約を整えていた
画面に映る
「予約完了」
の文字が
まるで首元にそっと落とされた見えない
首輪
のように感じた
胸の奥がじんわりと熱くなった
今年最後に行く場所は
帰る場所ではない
癒やしの場所
あの日からずっと
僕の中のどこかでくすぶり続けていた
甘い恥辱という癒しへ還る場所
自分でも驚くほど素直に
僕はそこへ向かう準備を整えた
僕の心の中にいる彼女は言った
膨らみを
自分の右の手で毎日そっと添えてる
あなたは
かわいい
優しくするから
いらっしゃいね♡
