・
・【05 はじまり】
・
「多分ホームルームとか授業とか、もうそれどころじゃないでしょうし、このまま中庭でやりましょうか」
諸橋直人がまたベンチに座ってスマホを取り出した。
俺もスマホを構えようとするんだけども、急に手が震えだして、何だかおかしい。
あれ? 俺、意気込んだよな……優真の時みたいなことが起きないよう、俺も頑張るって思ったよな……?
すると諸橋直人が優しい声で、
「それは当然ですよ、恥じることではないです。近くで願っていてほしいです」
と少し切なそうな瞳でそう言った。
「いや待って、待って……」
と俺は答えるが、手の震えが止まらない。
もしやあの激痛にビビっている……? また負けたらこうなるんじゃなんて思っている……? 俺が? この俺が……?
身体が完全に拒否反応を示している。
諸橋直人は無言で操作を始めた。画面を見るともう始まっているようだ。今回はタワーディフェンス風?
タワーディフェンスなら当然人数が多ければ多いほど有利だろう。リアルタイムでの連携というよりは、とにかく量を出すことが一番だから。
諸橋直人だってこの激痛を浴びたことがあるだろう、絶対あの雷龍の時に浴びたはず。
上空を飛ぶ龍を見ればあの雷龍よりも小さい、じゃあ弱い龍だから一人で大丈夫? 何で俺は逃げる気なんだよ!
いやいや小さい龍だから諸橋直人も耐えられるだろう……何考えてるんだ! 諸橋直人は勝つんだよ!
そもそも俺もやれば勝つ確率はぐっと上がるはず! タワーディフェンスとはそういうゲームだ!
すると諸橋直人がこう言った。
「大丈夫です。自分のスマホを持たず、こうやって僕の画面を眺めているだけなら激痛は走らないので、願っていてほしいです」
違う! そんなことを言わせる男なんて男じゃない!
画面を見ていれば分かる。劣勢だ。
ちょっとずつ判断をミスっているようだった。
あぁ、そこは鉄砲隊を出撃させたほうが良かったような、とか見ていて思ってしまう。
見ていて。
俺は一生運命に対して傍観者でいるつもりなのか。
違う! 俺が運命を変えるんだよ! 二度とあんなこと起こさないんだよ!
俺はスマホを操作して叫ぶ。
「俺も参戦する! この乱入を押せばいいんだな!」
諸橋直人のスマホの画面に俺のアイコンが現れた。
即座に行動開始。ゲーム画面は諸橋直人のヤツを見ていたので、もう全部分かる。
「押し返すぞ! この龍を!」
さすが二人いるとタワーディフェンスは一気に状況が裏返る。
「よし」
と諸橋直人が言ったところで勝利の文字が出現した。
俺と諸橋直人はハイタッチした。
まだ少し手が震えているが、ハイタッチが強過ぎたせいかもしれない。
諸橋直人は優しい笑顔で、
「清水くんとなら、どんな龍も倒せるかもです」
と言った面持ちが可愛過ぎて、何だか笑ってしまった。
諸橋直人は立ち上がって、
「じゃあ教室に戻りましょう」
と言ったので、俺も「おう!」と応じて、一緒に教室へ戻ることにした。
龍との闘いがどうなるかは分からないけども”直人”となら、どうにかなるかもな、って思った。
(了)
・【05 はじまり】
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「多分ホームルームとか授業とか、もうそれどころじゃないでしょうし、このまま中庭でやりましょうか」
諸橋直人がまたベンチに座ってスマホを取り出した。
俺もスマホを構えようとするんだけども、急に手が震えだして、何だかおかしい。
あれ? 俺、意気込んだよな……優真の時みたいなことが起きないよう、俺も頑張るって思ったよな……?
すると諸橋直人が優しい声で、
「それは当然ですよ、恥じることではないです。近くで願っていてほしいです」
と少し切なそうな瞳でそう言った。
「いや待って、待って……」
と俺は答えるが、手の震えが止まらない。
もしやあの激痛にビビっている……? また負けたらこうなるんじゃなんて思っている……? 俺が? この俺が……?
身体が完全に拒否反応を示している。
諸橋直人は無言で操作を始めた。画面を見るともう始まっているようだ。今回はタワーディフェンス風?
タワーディフェンスなら当然人数が多ければ多いほど有利だろう。リアルタイムでの連携というよりは、とにかく量を出すことが一番だから。
諸橋直人だってこの激痛を浴びたことがあるだろう、絶対あの雷龍の時に浴びたはず。
上空を飛ぶ龍を見ればあの雷龍よりも小さい、じゃあ弱い龍だから一人で大丈夫? 何で俺は逃げる気なんだよ!
いやいや小さい龍だから諸橋直人も耐えられるだろう……何考えてるんだ! 諸橋直人は勝つんだよ!
そもそも俺もやれば勝つ確率はぐっと上がるはず! タワーディフェンスとはそういうゲームだ!
すると諸橋直人がこう言った。
「大丈夫です。自分のスマホを持たず、こうやって僕の画面を眺めているだけなら激痛は走らないので、願っていてほしいです」
違う! そんなことを言わせる男なんて男じゃない!
画面を見ていれば分かる。劣勢だ。
ちょっとずつ判断をミスっているようだった。
あぁ、そこは鉄砲隊を出撃させたほうが良かったような、とか見ていて思ってしまう。
見ていて。
俺は一生運命に対して傍観者でいるつもりなのか。
違う! 俺が運命を変えるんだよ! 二度とあんなこと起こさないんだよ!
俺はスマホを操作して叫ぶ。
「俺も参戦する! この乱入を押せばいいんだな!」
諸橋直人のスマホの画面に俺のアイコンが現れた。
即座に行動開始。ゲーム画面は諸橋直人のヤツを見ていたので、もう全部分かる。
「押し返すぞ! この龍を!」
さすが二人いるとタワーディフェンスは一気に状況が裏返る。
「よし」
と諸橋直人が言ったところで勝利の文字が出現した。
俺と諸橋直人はハイタッチした。
まだ少し手が震えているが、ハイタッチが強過ぎたせいかもしれない。
諸橋直人は優しい笑顔で、
「清水くんとなら、どんな龍も倒せるかもです」
と言った面持ちが可愛過ぎて、何だか笑ってしまった。
諸橋直人は立ち上がって、
「じゃあ教室に戻りましょう」
と言ったので、俺も「おう!」と応じて、一緒に教室へ戻ることにした。
龍との闘いがどうなるかは分からないけども”直人”となら、どうにかなるかもな、って思った。
(了)



