春 今日 恋シタ

期末考査のテスト期間が、やって来た。
高校入学して2度目の期末テスト。これが終われば気分は夏休みだ。
桜橋先輩が、勉強を教えてくれると言ってくれたけど、先輩も大学受験に向かう大切な3年生の期末考査なのに、僕なんかの勉強を見てもらってる場合では無く。
なんなら、佐久間先輩も友森先輩まで、勉強を見てくれると申し出てくれて…
僕は全力でお断りした。
意外と頑固だね…なんて言われながらも、そこだけは譲れなくて。

そもそも、コンスタントにマンツーマン個別指導をして頂いたおかけで、僕の学力は、かなり上昇しているはずで、テスト勉強は、自力でなんとかしたいところ。
聞かなくても分かるようになりたくて、ここは頑張るしかない。
せっかく教えて頂いた恩に報いたいのだ。

成海がつれないから寂しいって言う先輩から、毎晩決まった時間にビデオ通話が入る。
なんだかまるで恋人のようだけど、至って僕らはまだ、友達だ。
僕は15分だけって決めてて、タイムアウトの時間がくると強制終了する。
毎回、先輩からは、クレームをつけられるけど、そこは、僕も残念なんですけどね、勉強は大事ですよね?って言ったら、シュンとしながらも、通話を終了してくれる。
案外、分かりやすい人だ。
毎日のビデオ通話は、僕にとっても嬉しい時間となってる事は、伝わってるかどうか分からない。

自力の勉強をシャカリキになってやり、やっと終わったテスト期間の後…

テスト期間が終わり、部活が明日から再開するから、会えるのは今日しかないと切羽詰まったように言われた。
前回は先輩の家だったので、今日は、我が家に来てもらった。

玄関に上がる時、靴を当然のように揃えた先輩は、凄くちゃんとしてる人なんだと改めて思った。
その所作があまりに綺麗で、ぼんやりみてしまったくらいに。

僕の部屋に入った途端に抱きしめられた。

「マジで…成海不足で…死ぬかと思った」
「それはまた、大袈裟ですね…」
後ろから抱きしめられ、首元の匂いを嗅がれてる事実。
友達なのに…こんな事されて、それを拒否しない僕も僕なんだけど…
やっぱり、嫌な感じは無くて。
むしろ、ちょっと嬉しいなんて思ってて…

「前回は、成海の風邪ひきの時に入らせて貰ったから、心配の方が勝って、あんまり部屋の中は見てなかったけど…とにかく本が多くないか?」
天井まで壁一面の僕の本棚は、ギッシリと詰め込まれ、積読本は、勉強机の上に平積みされてある。

「ですよね、多いと思います。僕の趣味なんですよ、読書。あと、そうだ…えっと…これなんですけど…」
僕は、机の中から、書き終えて保管していた原稿用紙を取り出し、先輩に渡した。

「あ、え?続き書けたの?」
「はい、無事に最後まで書き終えました。ぜひとも、校正をお願い致します」

大事そうに受け取ると、目をキラキラさせながら、読んでくれる。
目の前で読まれるのは、非常に恥ずかしくて、身悶えしそうだったので、僕は、お茶を入れてきます…と退室した。

僕がお茶とお菓子を持って部屋に戻ると、まだ、真剣に原稿用紙に視線を落としている先輩がいた。

心無しか…目が赤い気がして…
泣いてる?
そんな訳は、ないか…気のせいかな。

先輩が読み終わるまで、僕は静かに待った。

原稿用紙をそっと撫でながら、先輩が僕の方を向いた。

「やっぱり、絶対、作家になるべきだ」
「いえ、あの。あ、ありがとうございます…どうでしたか?」

先輩は、まず初まり方を工夫した所を褒めてくれた。
途中、ここは、こうした方がもしかしたら、もっと面白くなるかもしれない…とか、あとは最後の言葉尻まで悩んだ所も見つけてくれ、僕の意図を汲み取ってくれた…
次々と編集者顔負けのアドバイスまで下さるので、メモします!って、途中でメモ帳を持ってきて、話を真剣に聞いた。
第三者の目線って大事なんだって事を実感する。僕が意図して使った言葉が、そのままに伝えられた場面や、逆に感覚的な取り方の違いが、凄く参考になった。

ひとしきり語った後で…
先輩は、ゆっくりと口を開いた。


「実は…成海の書いた文章を読むのは、初めてじゃないんだ……」
図書室で、読んだことを指してるんだと思ったら、そうではなかった。

「覚えてないかもしれないけど…」

先輩がポツポツと話してくれた内容はこうだった。

小学校3年の時、お父さんの度々の女遊びに、ごうを煮やしたお母さんが、突然、夜に出ていったらしく、子育ては、母親に任せっきりで子供との関わりの無かった先輩のお父さんが、オロオロして、その時、担当編集になったばかりの僕の父に助けを求めた。
父も孤独な子育てに悪戦苦闘中だった。
大先生が原因とはいえ、無下にも出来ず、かといって、夜の家に一人きりで留守番などさせれない僕を連れて、先輩のお宅に向かったらしい。

「その時、成海は…俺に、自作の絵本を読ませてくれたんだよ?」
落ち込んでるように見えた先輩を励ましたくて、読み聞かせをした、小学校1年生の僕。
最初は、歳下に慰められるなんて…と思ったが、真面目に読んでくれる僕を見て、なんだか気が紛れたんだって。
しかも、絵本の内容は、とても面白くて惹き込まれた。親同士の揉め事には、腹が立ったけど、突然連れてこられたのに、文句を言わない僕を見て、落ち着く事が出来たって。

数時間で戻ってきた先輩のお母さんと、バトンタッチするように僕と父は帰り、それからはそんな出来事は無かったけど、先輩の中では、その時の事が、ずっと忘れられなかったらしい。

「お父さんが呼んでたナルミって名前と見た目から、女の子だと思ってたしなぁ」
「そういえば…僕、小さい頃は、見た目では性別が分からないと言われてたって、父から聞きました」

「ペンネームと文章の雰囲気が変わってなくて…だから、図書室で見つけた時、運命の出会いだと思ったんだよ」

確かに、僕は、小学生の時に書き始めてからずっと、同じペンネームで物語を書いてる。

「じゃあ僕が男だと知って、ショックだったんじゃ…すいません」
「それが、そうでも無かったんだよな。成海が可愛いって事に代わりは無くて、初恋の時の気持ちが一気に舞い戻り、それが、どんどん膨らんでいった」

「ごめんなさい、僕、あんまり覚えてなくて…母が亡くなってからの数年の記憶は、曖昧なんです」
「思い出さなくて大丈夫。俺がはっきりと覚えてるし」
自信満々な先輩は、僕をマルっと肯定してくれる、いつもいつも。
注意はしても、根本の所は否定的な事を言われない。

「先輩…あの、これからも、読んで貰えますか?」
「もちろん!俺、将来の夢とか無かったけど…この頃、出版社の編集者の仕事…良いなってなってるんだよな…」
親父の担当さんがあまりに大変そうで、そんな仕事無いなって思ってたけど、成海のおかけで、なんか考え方が変わってきた!
そんなことを言ってくれる。

「僕、幸せです…本当に、初めて読んで貰ったのが先輩で、良かったです」
人に初めて読んで貰った文章を、こんなにも褒めて、アドバイスもしてくれて…

「クソ可愛いな…」
ヤバっ声に出てたか!なんて笑う先輩。

「そんな事思うの先輩だけですけどね…」
「成海の良さは、俺だけが知ってればいい」
どこまでも甘い言葉をあびせられる。

「好きだよ、成海」

こんなにも愛情を示してくれているのに、上手く答えられない自分が、ものすごく歯がゆい。
ちゃんと向き合いたいのに、どうしたらいいのか分からなくて…

「先輩、僕も…貴方に答えたい…のに」
「いいって、まだ」
僕をギュッと抱きしめて、頭をポンポンとしてくれる。
優しすぎると思う…
そして、愛想尽かされる事に、既に恐怖を、感じてる。
好きだからなのか、単純に、好意を向けてくれてる人を離したくないのか…

本当にハッキリさせたい。
僕は思い切って言ってみることにした。

「あの、1つお願いがあります!」
「ん〜、何ぃ?」
上から呑気な声が落ちてくる。

「濃いめのキスって…して貰えませんか?もし、大丈夫なら…僕も先輩が好きなんだと思えるかと…ここはもう、本能に聞くしか…」
抱きしめて、ポンポンしていた手が止まり、僕を少し離して、真正面から目を合わせると、両腕を掴まれた。

「待て待て!まって…それはダメ。てか、極端過ぎる」
先輩に拒絶されてしまった…

何故だかとても悲しくなる。
俯いてしまう僕は、なんて勝手なんだろうか。

「そんな顔するなよ…」
「すいません」

焦る事も無いし、強制するつもりも無いし、逆にこんなにも、待ててる俺を褒めてくれ…って、先輩は笑い飛ばしたけど…
やっぱり、僕は、どうしても確かめたくて…

桜橋先輩の薄くて綺麗な唇をジッと見つめる。
上に視線を向けると、整い過ぎた深い深い濃紺の瞳。
自ら、先輩の頬を掴むと、唇を奪った。
ふるふると身体が震えているのが分かる。
離れては、キスし、また離れては…唇を合わせた。とにかく必死で…
先輩は驚いた顔から、やんわりと目を閉じ、僕がする事を受け入れ、そのまま居てくれた。

確実にもっと凄いキスをした事があるんだよな…先輩とその相手を思い浮かべたら、猛烈な嫉妬心が現れた。
思ってたよりもダメだ…
たった今、キスしてるからこそ、妙にリアルに想像出来てしまう。
今、触れ合ってる唇が、僕ではない誰かと…なんて。
そうか、これが、嫉妬なのか…って。

僕だけにして欲しい…そう思いながら、懸命に、唇をくっつけては離した…
拙くて、色気の無いキスを、5回繰り返した頃、僕の中で何かハッキリと分かった気がした。


「どう?何か分かった?」
先輩は、優しい瞳で聞いてくれる。

「これからは、僕…とだけにしてくれますか?先輩の過去は消せないので、仕方ないですけど。こういうのするの…他の人とされるのは…凄く嫌だ、しないで欲しい……って思いました」
「嫉妬?」
「だと……思います。なんか、不意に他の人とキスする先輩を思い浮かべたら…凄い悲しくて」
「いいよ、約束する。成海だけが好きだし…これからもお前だけだから。でも、成海も俺だけにしてくれないと困る」
「僕はモテませんから」

「そんな事ないよ、気付かれてないだけで、成海には、凄く魅力があるから…約束して。あと…俺と恋人になってくれるよな?」
「恋人にして頂けるんですか?愛人とかではなく?」

「あのさぁ…さっき、自分だけって言っておいて、そのセリフはないだろ(笑)」
呆れたように笑われてしまった。

そりゃ、愛人なんて悲しいけど、先輩みたいな人を自分みたいなのが独り占め出来るとは、実際には思ってなくて。
嫉妬の炎に焼かれながらでも仕方ないかと思ってる。

「僕は一緒に居られるなら…二号さんでも…」
「何言ってんだ、ダメにきまってるだろ?親父みたいな事はしない。俺は成海のものだよ」
怒ったように言う先輩の言葉は、とてもハッキリと伝わり、聞き逃したなんて言わせないとばかりだった。

「あの、でも…僕、本当に…耳も片方ダメですし、特に取り柄もないですし…見た目とか平凡ですし…」
「だからナニ?俺が惚れたのは、間違いって言いたいのか?」

分からせるしか無いのか…って呟きが耳に届いた後、僕は押し倒されていた。
ちょうどいいとばかりに、ベットがあって。

「ものすごく触れたくて仕方ないのに大事にしたいから触れたくないって気持ちになる…そんな感情があるなんて、初めて知ったから」

先輩は、苦しそうな顔をすると、意を決したように1つだけ優しいキスを落として、すぐに解放された。


「ゆっくりでいいんだよ、これから時間はたっぷりある…あと、70年くらいは一緒にいるんだから…」
老後の事まで語り始めそうになる先輩に、吹き出してしまった。

「先輩って…意外と、一途なんですか?(笑)」
「正直、成海にだけだな…申し訳ないけど、今まで付き合った彼女らに一途だった事はない」

その言い切りっぷりに、過去はどれだけ遊んでたのか…含む言い方に、早くも嫉妬した。
元々穏やかな性格と言われ、そんなに気分が上下する事は無いと思っていたのに、荒ぶる自分が実は居て驚いた。


僕たちは、恋人となった。

お互いの気持ちを確かめ、告白されて、正式にお付き合いするって、こんな感じなのですね!なんて言ったら…
今まで先輩から告白した事は無いらしく、いつも、何となく身体の関係から始まって、いつの間にか終わってる…という爆弾発言を聞いた。
まさか、今でも続いてる彼女がいるのでは?と心配になったけど、僕と図書室で会ってから、一層冷ややかな気持ちでバッサリ切ったらしい。

なので数ヶ月は、夜伽的な事は行っておらん…と武将みたいな口調で言われた時は、吹き出した。
それはそれで多方面から、凄い恨みを買ってそうなんだけど…先輩は全く気に止めてなかった。
俺は顔だけだから、別に、そこまで執着されてないから大丈夫って、変な自信を持っている。


僕たちの関係は学校では秘密にしてる。
これは、僕がお願いした事で、恥ずかしいのが1番ではあるし、そんな、公表するのもおかしいと思うし、何より先輩のファンの子達からの攻撃が怖いのもあって。

秘密にするのもそれはそれで、耽美な感じが良いかもな…なんて、ニヤニヤする先輩を見て、なんか、逆に不味かったかも…なんて思ったけど。
見付からずにイチャイチャか…って言葉を僕の左耳が、しかと聴きとった!


あと、佐久間先輩と友森先輩だけには、知って貰ってる…
というか…バレたのだ。

先日、先輩の家でみんなで遊んだ時、あっという間にお菓子が無くなって先輩がキッチンに向かった。
僕も手伝いの為に付いていくと、ありがとうって、不意打ちのキスを受けて。
さらに、手伝うつもりで来てくれてた佐久間先輩に、ガッツリ見られてしまって…

「友森く〜ん!聞いて!聞いて!超大ニュースだよ〜!!!」
って、駆けていかれた。
バレて焦る僕と、いつも通りのクールな桜橋先輩。

「あいつらなら、まぁ大丈夫だ」
意外にもちゃんと信頼関係が結ばれていて、少しホッとした。
冷静沈着に見えて、どこか寂しさを抱えてる先輩のことを案じていたけど…
佐久間先輩と友森先輩の友愛の情みたいなものは、届いていたんだと思った。


「成海くん、イケメンに泣かされたら、いつでも相談にのるからね!よし、連絡先を交換しよう!」
「あっ!はいはい!俺も俺も!」
友森先輩と佐久間先輩は、僕が泣かされる前提なんだけど、あいにく、桜橋先輩は優し過ぎて…

「あの、連絡先の交換は全然大丈夫なんですが、泣かされる事は無さそうですよ…桜橋先輩は、僕を甘やかし過ぎてる位なので」
そう答えると、2人にはめちゃくちゃ驚ろかれた。

「いやウソだろ?アイツ…今まで、付き合った女の子は、完全放置するから、いつも泣いてたんだけど。もしかして成海には違うのか?」
佐久間先輩がボヤくと
「余計な事言うな…」
低い声で桜橋先輩が注意した。

「僕も、桜橋先輩本人から、過去については、そう聞いたんですけど、信じられなくて…糖分過多で溺れそうな程…甘い人だと思ってるんですけど…本当は違うんですか?」

へぇ〜ふーん、へぇ〜そうなんだぁ〜
なんて、2人にニヤニヤされる。

「成海、何回も言うけど、俺は…お前にだけ甘いの。他のやつは、どーでもいい」
「いや、あの…僕だけってのは、申し訳ないので、女の人は嫌ですけど、お友達も大切にしてくださいね」

「そうだよ!お友達も大切にしてくださいねっ!」
友森先輩がふざけて繰り返す。
「俺って、前にもお前らのイチャイチャに遭遇したよな…2回目があるというとこは、3回目もあるのか!!?次の目撃はもっと濃厚なヤツか〜くぅ〜参ったな〜」
佐久間先輩は、あらぬ未来を想像してか、盛大にニヤけている。
そういえば、その目撃の1度目は、美術準備室で、佐久間先輩が桜橋先輩を呼びに来た時だ。
結局、あの時の用事ってなんだったんだろうか…
なんて、考えていると、すぐに答えを貰えた。
「お前、あの時、卒業後の進路の用紙提出してなくて、担任が鬼のように探してて…焦ったんだぜ、俺は」
「あぁ、アレな…悪かったな。進路用紙は、この間出した」

「俺ら卒業したら、2歳差の成海くんは高校で、大学の俺らと離れるじゃん、大丈夫なん?桜橋。そんなに執着してるのに、嫉妬とかヤバそうなんだけど…まさか、閉じ込めたりとか!」

「俺の事、分かってねぇなぁ…甘いわ…既にもう、考えてあるから」
フッフッフなんて、低い声で笑う桜橋先輩。

「えっ?そうなんですか?」
どうやら、僕も知らない計画があるらしい。

「佐久間、俺の志望大学知ってるか?」
「あー、なんか国立の…あそこだろ。あ!!あ!お前、そういう事!」
「えっ?はい?どーいう事ですか?」

桜橋先輩は、僕の肩を抱き寄せると
「あのね、成海、俺の志望大学、お前の家の近所なの、たまたまよ!たま、たま!」

まぁ、成海の家の近所に一人暮らしでもいいし、なんなら、嫁に…いや婿か?貰う前提で、成海の家に同居のお願いしても…
なんて、呟くのを聞いて…
確かに、この方の情熱とこの美貌を持ってしたら、うちのお父さん、OK出してしまいそうだ…なんて思ってしまう。
しかも、お父さんの担当してる大先生の息子さんからのお願い…となる。
費用面も出してくださるだろうし…
なんとなく、既に未来が見えた気がする。
うちの父に、同性の恋人なんてダメだ!と反対される想像はつかない。
僕が幸せならいい…と言いそう。


「怖いわ!どんどん攻略されてるよ、成海くん!気を付けて!!」
友森先輩が哀れみの目を向けてくる。

「もう遅いですよ…だって、既に嬉しいなんて、思ってしまってるんですから…」
「あーーーーーー、成海くんが攻略された!!落ちたよ!もっと、足掻いてよ〜」
「マジでウルサイ!」

なんだか、この先輩達のやり取りは、本当に面白くて、僕はいつもクスクス笑ってしまう。

「仲良しですよね、そんな友達が居て、皆さんが羨ましいです」
急に止まってこちらを見る先輩達

「成海くん!僕ら、学年は違うけど、友達だよ!!」
「そーだ!何年かしたら、学年なんて不要になる年齢もくる!35歳と37歳なんて、変わらないだろ?」
「俺は…恋人だから、友達にはなれなくて…なんか悔しい。ごめんな…」

三者三様に嬉しい言葉をかけてくれる。

「僕は、お三人に出会えて、とても幸せです…今まで、身を引く事しかしなかったけど、勇気を出してアピールする事も大事だって知りました!」
「何?なに?どんなアピールをしたの?成海くん?」
耳ざとい友森先輩が突っ込んできて、真っ赤になる。
僕は、自分から桜橋先輩にキスをした事を思い出したのだ。

「察した!」
「うん、皆まで言うな!」
と、2人の先輩が、どんなところまで想像したのか分からない答えを返してくれる。

「羨ましいか?お前らも、成海みたいに可愛い恋人を作れ…ま、無理だろうけど」
ドヤ顔の桜橋先輩が降臨した。

佐久間先輩と友森先輩から、ものすごくブーブー言われてるのに、桜橋先輩は、とんでもなく麗しい笑顔を僕に向けてくれたので、そんな顔をさせてるのが僕だと思うと…不思議だった。

「でも…先輩のお母さんからは、反対されるかもしれないです。優秀な遺伝子を残さないのは罪って言われるのではないですか?」

「あの人はさ、男女の泥々には辟易としてるから、案外アッサリOKしそうだけどな…まぁ、そこは心配するな。絶縁を賭けてでも、成海の事は許させる。俺は成海に救って貰ったんだよ…本当にありがとう」

そこまで言い切って貰った上に、なんと御礼まで言われてしまって、僕は思いっきり照れるしかなかった。