臆病な僕は、逃げた……
そう、今は図書室に来てる。
もはや、当たり前の事みたいになってた美術準備室でのイケメンマンツーマン塾、しかも無料体験的な。
短期講習だと思えばいいんだよ。
期日が来たから終了した。ただそれだけの事。
桜橋先輩には、好きな人が居る。
余っても居ない時間を僕の低レベル脳の為に付き合わせ、先輩の恋路の邪魔をしてしまってるであろう事実。
優しい先輩に甘えすぎてる事を分かってるのに、自分から、講習会はもう終わりで大丈夫です…とは言えず。
結果…逃げて、ここに居る。
どうしてこんなややこしい事をするのか、逆に失礼な事をしてると分かっているのに。
なんか、こんなウジウジした性格だったっけ?結構あっさりとしていたはず。
答えも分かりきってて、発言すれば良いだけなのに出来ない。
ただの先輩と後輩で…友達になったばかり。
唯一の繋がりは、先輩が僕のたった1人の読者だということだけで、学年もクラスも違えば、今まで顔見知りですら無かった。
本来の立ち位置に戻るだけ。
頭では分かっているのに、口だけが痺れたように、言葉が出なくて。
静かな図書室に、僕の耳にも届く荒い足音が響いた。
僕は顔をそちらに向けると、険しい顔の先輩がこちらにやってくる。
数人いた生徒のざわめきが僕にも伝わった。
先輩は、椅子をガッと引いて、僕の左側に座る。
こういう時でも、僕の聞こえる側に座ってくれるところが一層、心に響く。
「どうして?今日は、ここなの?メールもしたのに」
スマホは、マナーモードで鞄の中に入れたままだった。
初めて向けられる先輩の険しい表情に、思わず俯いてしまう。
「あの…連絡しなくて、すいません」
「謝って欲しいんじゃないんだよ。何かあったのかと心配して…確かに約束してる訳じゃないけど…連絡は欲しかった。いや、取り乱してごめん」
先輩は、精一杯気持ちを鎮めようとしてくれてる。僕が、自分の気持ちを優先したせいなのに。
「ごめんなさい」
「で、なんで?成海の性格なら、絶対、連絡も無くなんて…ないでしょ?何か辛いことでもあった?女子に何か言われた?」
そうか、先輩は、自分に好意を向けてる女の子達が、僕に何かしたのかと思ってる。
「いえ、何も言われてないです」
「じゃなんで?」
ここまで来たら…正直に言うしかない
「あの…先輩……好きな人が居るんですよね?僕に時間を取られ、その方と過ごす時間を無くし、大切なその想いが伝わってないのでは…そう思うと、申し訳なくて」
言いながら、少し涙目になってしまうのを、奥歯にチカラを入れて止めた。
先輩が口を開きかけた時、チャイムが鳴った。
教室に戻らなくては…
「すいません、そういう事なので…僕は、もう、本当に大丈夫ですから。今まで、大変お世話になりました。失礼します」
僕は、急いで机に広げていた物を抱え込み、その場から立ち去った。
先輩の顔は見れなかったので、どんな表情をしていたのかは分からない…けど、僕の想像の中の先輩は、ホッとした顔をしていた。
これで、良かったんだ…
僕には有り余る幸福だった時間を、本来与えられるべき方へ、お返しするだけなんだから。
午後の授業が始まり、授業中もつい、考えてしまう。
あの時間が無くなったんだと、じわりじわり心に染みてくる。
寂しい…とても寂しい。
今までどうやって、昼休みを過ごしていたか、もう忘れてしまったみたいに。
情けない…こんなにも弱い自分が。
一度知ってしまった癒し、もう…代替えなんて効かない。
それでも、先輩の幸せを思うと。
これで良かったんだと納得するしかないし、僕に出来ることがあるとすれば、物語を進めて、お見せすることくらい。
そうか…
物語を書けば、先輩に会う口実が…
と思ってすぐに、それを消し去る。
僕は、そういうことの為に、物語を書いていたわけではない。
自身の一番の拠り所ですら、既に、先輩に繋げてしまう自分が怖くなった。
僕は僕で居なくてはいけないし、誰かに依存して生きたくない。
それは、幼い頃に母を亡くし、父が苦労して僕を育ててくれてるのが分かっているからこそ…
自分で立ち、しっかりとした仕事に就きたいけれど、どうしても片方の難聴は、否が応でも引っかかってくる気がしている。
夢と自分自身を比べて見つけたのが児童文学作家だ。
甘えてはいけないと思ってきたのに…
いつの間にか、先輩に甘えてしまう事が、日常の大きな部分を占めていたようだ。
頭では分かってる。
強く、逞しく、他人に迷惑をかけず…そういう生き方しか、自分には無いんだと。
それなのに、先輩との日々は、僕を弱くしてしまったかもしれない…
それから数日、僕は昼休みになると図書室へ向かい、桜橋先輩がそこへ来る事は、もう無かった。
感じた事の無い種類の寂しさが広がってくるのを見ないようにして、探らないようにして…
このままでは自分自身を嫌いになってしまう焦りを抱えつつ、なんとか筆が進み、物語が完成した。
僕の物語のオオカミは、努力の結果と友人のオコジョの助けもあり、誰からも信頼される存在になった。
納得のゆく結末、そして何より最後までキチンと書き終えれた事に、心の底からホッとした。
書き始めたものの、途中から全く進まず、諦めた作品は何個もある。
桜橋先輩のところへ、すぐにでも持って行こうかとも思ったけど、その勇気は出なかった。
完成した原稿は、僕の部屋の引き出しの中にあるままだ。
もしかしたら、見せることはもう無いかもしれない…
約束はしてないけど…物語が完結し、自分の中で一区切りついたので、久しぶりに、美術準備室に向かう。
先輩は居ないだろうと思ったし、なんなら、鍵が掛かってるだろう…開け方は知ってるけど、僕一人で開けるのは色んな意味で無理だ。
扉に手を掛けたまま、数分悩んだが…
グッと引いてみた。
そこには、桜橋先輩が居た。
外を眺めていた先輩は、扉の開く音に反応し、こちらを向いた。
静から動へ…一気に笑顔になる先輩を見つめた。
「来たね、待ってたよ」
「あの、えっ?なんで……約束してないですよね?」
先輩はこちらへと近づいて
「してないけど、してるつもりだった」
「配慮が足らず申し訳ございません」
「相変わらず、硬い(笑)」
先輩は、僕の手を引いて、丸椅子に座らせた。
「で?どう?寂しかった?」
直球の質問に、僕はコクリと頷いた。
「良かった、寂しくなかったって言われたら俺が泣くとこだったよ」
先輩はとても嬉しそうだけど、この話の流れからすると、僕が来るまで、毎日来てたのだと察する。
「あの…好きな人とは上手くいきましたか?」
「いや、全然。1ミリも進展して無いよ」
ふと、ここに毎日来てるのは、僕では無く、もしかしたら、先輩の好きな人を待ってるのでは無いかと…やっぱり、僕は、邪魔者であろうと思い至る。
「あ、では、僕は失礼します」
丸椅子から立ち上がる僕。
「ちょ!待っ、待って!なんで?なんでもう行こうとするの?」
慌てる先輩が、僕の手を掴む。
「いや……あの、先輩の想いを寄せてる方をお待ちなんでは無いかと。邪魔しては申し訳無いので…」
先輩は、少し真剣な顔になり、考えを巡らせたように口を開く
「好きな人を待ってるのは…合ってるよ…」
それを聞いて、酷くショックを受けている事、既に目尻に涙が溜まりかけてる事が分かり、僕は掴まれた手と反対の手に持っていた弁当袋をギュッと握った。
「では、やはり、失礼…」
「失礼しないで!えーっと…まだ、分かんないかな?」
「分からない?とは…一体どういう事でしょうか?」
僕の頭にはハテナマークが浮かんだまま。
ちょっと弁当袋を置いて…と言われて、素直に机に置いた。
丸椅子に座るように促される。
真正面に先輩が座る。
座ると目の高さが近くなる、改めて、先輩って脚が長いんだな…なんてぼんやり考えていると。
両手で両手を握られた。
子供に言い聞かせる時みたいだな…なんて思う。
「俺の好きな人は、今、目の前にいる。成海」
「えっ?あっ?僕も好きですよ、先輩の事。友達ですもんね」
「違う違う違う!俺の言ってる好きは、LOVEの方で、ジュテームで、サランヘヨ。つまり、愛してるの方!」
アイシテルの方…
え?ん?えっ???
「先輩…あの、僕、お母さんが男女どちらでも大丈夫な名前ってことで、成海って言いますけど、正真正銘オトコですよ?」
「お母さんが付けてくれたのか…じゃなくて!知ってるよ、男だって」
僕の事が好き?何がいいんだ?
僕なんかのどこが?
男だって分かってて?
「あー、だから…まだ、伝えるつもり無かったんだよな…真綿で包むように縛って、囲って、骨抜きにしてから…いよいよ告白っていうのが俺の計画だったのに」
「先輩、本気ですか?」
「本気…もう、バレたからには、容赦無しでいこうと思うから、覚悟してな」
「僕って、ペット的な存在なんだと思ってたんですけど…」
「いや、欲望丸出しだったのに…やっぱり分かって無かったのか。俺は、タチそうになるのを何度抑えた事か…」
タチソウ…
はい、理解しました。
えっ?ほんとに?僕に?
あからさまにポカーンとしてるのだろう。
出したけた涙も引っ込み。
ここ数日悩んでた事は、急転直下で解決したけど…新たな悩みが出来上がる。
好きって?何種類あるのかな?
僕も先輩の事は好きだと思うけど、それが先輩の言う気持ちと同じかは、分からない。
今更ながら、恋愛経験の無さが、悔やまれる。
「すいません、突然の事で…ちょっと頭の中か整理出来そうにありませんが、先輩は、本当に、僕を恋愛対象として…見ていらっしゃるという事でございますか?」
「ええ、そうでございます。移ったじゃんか(笑)」
桜橋先輩がフフフと笑うので、僕も思わず笑みを零した。
そう、今は図書室に来てる。
もはや、当たり前の事みたいになってた美術準備室でのイケメンマンツーマン塾、しかも無料体験的な。
短期講習だと思えばいいんだよ。
期日が来たから終了した。ただそれだけの事。
桜橋先輩には、好きな人が居る。
余っても居ない時間を僕の低レベル脳の為に付き合わせ、先輩の恋路の邪魔をしてしまってるであろう事実。
優しい先輩に甘えすぎてる事を分かってるのに、自分から、講習会はもう終わりで大丈夫です…とは言えず。
結果…逃げて、ここに居る。
どうしてこんなややこしい事をするのか、逆に失礼な事をしてると分かっているのに。
なんか、こんなウジウジした性格だったっけ?結構あっさりとしていたはず。
答えも分かりきってて、発言すれば良いだけなのに出来ない。
ただの先輩と後輩で…友達になったばかり。
唯一の繋がりは、先輩が僕のたった1人の読者だということだけで、学年もクラスも違えば、今まで顔見知りですら無かった。
本来の立ち位置に戻るだけ。
頭では分かっているのに、口だけが痺れたように、言葉が出なくて。
静かな図書室に、僕の耳にも届く荒い足音が響いた。
僕は顔をそちらに向けると、険しい顔の先輩がこちらにやってくる。
数人いた生徒のざわめきが僕にも伝わった。
先輩は、椅子をガッと引いて、僕の左側に座る。
こういう時でも、僕の聞こえる側に座ってくれるところが一層、心に響く。
「どうして?今日は、ここなの?メールもしたのに」
スマホは、マナーモードで鞄の中に入れたままだった。
初めて向けられる先輩の険しい表情に、思わず俯いてしまう。
「あの…連絡しなくて、すいません」
「謝って欲しいんじゃないんだよ。何かあったのかと心配して…確かに約束してる訳じゃないけど…連絡は欲しかった。いや、取り乱してごめん」
先輩は、精一杯気持ちを鎮めようとしてくれてる。僕が、自分の気持ちを優先したせいなのに。
「ごめんなさい」
「で、なんで?成海の性格なら、絶対、連絡も無くなんて…ないでしょ?何か辛いことでもあった?女子に何か言われた?」
そうか、先輩は、自分に好意を向けてる女の子達が、僕に何かしたのかと思ってる。
「いえ、何も言われてないです」
「じゃなんで?」
ここまで来たら…正直に言うしかない
「あの…先輩……好きな人が居るんですよね?僕に時間を取られ、その方と過ごす時間を無くし、大切なその想いが伝わってないのでは…そう思うと、申し訳なくて」
言いながら、少し涙目になってしまうのを、奥歯にチカラを入れて止めた。
先輩が口を開きかけた時、チャイムが鳴った。
教室に戻らなくては…
「すいません、そういう事なので…僕は、もう、本当に大丈夫ですから。今まで、大変お世話になりました。失礼します」
僕は、急いで机に広げていた物を抱え込み、その場から立ち去った。
先輩の顔は見れなかったので、どんな表情をしていたのかは分からない…けど、僕の想像の中の先輩は、ホッとした顔をしていた。
これで、良かったんだ…
僕には有り余る幸福だった時間を、本来与えられるべき方へ、お返しするだけなんだから。
午後の授業が始まり、授業中もつい、考えてしまう。
あの時間が無くなったんだと、じわりじわり心に染みてくる。
寂しい…とても寂しい。
今までどうやって、昼休みを過ごしていたか、もう忘れてしまったみたいに。
情けない…こんなにも弱い自分が。
一度知ってしまった癒し、もう…代替えなんて効かない。
それでも、先輩の幸せを思うと。
これで良かったんだと納得するしかないし、僕に出来ることがあるとすれば、物語を進めて、お見せすることくらい。
そうか…
物語を書けば、先輩に会う口実が…
と思ってすぐに、それを消し去る。
僕は、そういうことの為に、物語を書いていたわけではない。
自身の一番の拠り所ですら、既に、先輩に繋げてしまう自分が怖くなった。
僕は僕で居なくてはいけないし、誰かに依存して生きたくない。
それは、幼い頃に母を亡くし、父が苦労して僕を育ててくれてるのが分かっているからこそ…
自分で立ち、しっかりとした仕事に就きたいけれど、どうしても片方の難聴は、否が応でも引っかかってくる気がしている。
夢と自分自身を比べて見つけたのが児童文学作家だ。
甘えてはいけないと思ってきたのに…
いつの間にか、先輩に甘えてしまう事が、日常の大きな部分を占めていたようだ。
頭では分かってる。
強く、逞しく、他人に迷惑をかけず…そういう生き方しか、自分には無いんだと。
それなのに、先輩との日々は、僕を弱くしてしまったかもしれない…
それから数日、僕は昼休みになると図書室へ向かい、桜橋先輩がそこへ来る事は、もう無かった。
感じた事の無い種類の寂しさが広がってくるのを見ないようにして、探らないようにして…
このままでは自分自身を嫌いになってしまう焦りを抱えつつ、なんとか筆が進み、物語が完成した。
僕の物語のオオカミは、努力の結果と友人のオコジョの助けもあり、誰からも信頼される存在になった。
納得のゆく結末、そして何より最後までキチンと書き終えれた事に、心の底からホッとした。
書き始めたものの、途中から全く進まず、諦めた作品は何個もある。
桜橋先輩のところへ、すぐにでも持って行こうかとも思ったけど、その勇気は出なかった。
完成した原稿は、僕の部屋の引き出しの中にあるままだ。
もしかしたら、見せることはもう無いかもしれない…
約束はしてないけど…物語が完結し、自分の中で一区切りついたので、久しぶりに、美術準備室に向かう。
先輩は居ないだろうと思ったし、なんなら、鍵が掛かってるだろう…開け方は知ってるけど、僕一人で開けるのは色んな意味で無理だ。
扉に手を掛けたまま、数分悩んだが…
グッと引いてみた。
そこには、桜橋先輩が居た。
外を眺めていた先輩は、扉の開く音に反応し、こちらを向いた。
静から動へ…一気に笑顔になる先輩を見つめた。
「来たね、待ってたよ」
「あの、えっ?なんで……約束してないですよね?」
先輩はこちらへと近づいて
「してないけど、してるつもりだった」
「配慮が足らず申し訳ございません」
「相変わらず、硬い(笑)」
先輩は、僕の手を引いて、丸椅子に座らせた。
「で?どう?寂しかった?」
直球の質問に、僕はコクリと頷いた。
「良かった、寂しくなかったって言われたら俺が泣くとこだったよ」
先輩はとても嬉しそうだけど、この話の流れからすると、僕が来るまで、毎日来てたのだと察する。
「あの…好きな人とは上手くいきましたか?」
「いや、全然。1ミリも進展して無いよ」
ふと、ここに毎日来てるのは、僕では無く、もしかしたら、先輩の好きな人を待ってるのでは無いかと…やっぱり、僕は、邪魔者であろうと思い至る。
「あ、では、僕は失礼します」
丸椅子から立ち上がる僕。
「ちょ!待っ、待って!なんで?なんでもう行こうとするの?」
慌てる先輩が、僕の手を掴む。
「いや……あの、先輩の想いを寄せてる方をお待ちなんでは無いかと。邪魔しては申し訳無いので…」
先輩は、少し真剣な顔になり、考えを巡らせたように口を開く
「好きな人を待ってるのは…合ってるよ…」
それを聞いて、酷くショックを受けている事、既に目尻に涙が溜まりかけてる事が分かり、僕は掴まれた手と反対の手に持っていた弁当袋をギュッと握った。
「では、やはり、失礼…」
「失礼しないで!えーっと…まだ、分かんないかな?」
「分からない?とは…一体どういう事でしょうか?」
僕の頭にはハテナマークが浮かんだまま。
ちょっと弁当袋を置いて…と言われて、素直に机に置いた。
丸椅子に座るように促される。
真正面に先輩が座る。
座ると目の高さが近くなる、改めて、先輩って脚が長いんだな…なんてぼんやり考えていると。
両手で両手を握られた。
子供に言い聞かせる時みたいだな…なんて思う。
「俺の好きな人は、今、目の前にいる。成海」
「えっ?あっ?僕も好きですよ、先輩の事。友達ですもんね」
「違う違う違う!俺の言ってる好きは、LOVEの方で、ジュテームで、サランヘヨ。つまり、愛してるの方!」
アイシテルの方…
え?ん?えっ???
「先輩…あの、僕、お母さんが男女どちらでも大丈夫な名前ってことで、成海って言いますけど、正真正銘オトコですよ?」
「お母さんが付けてくれたのか…じゃなくて!知ってるよ、男だって」
僕の事が好き?何がいいんだ?
僕なんかのどこが?
男だって分かってて?
「あー、だから…まだ、伝えるつもり無かったんだよな…真綿で包むように縛って、囲って、骨抜きにしてから…いよいよ告白っていうのが俺の計画だったのに」
「先輩、本気ですか?」
「本気…もう、バレたからには、容赦無しでいこうと思うから、覚悟してな」
「僕って、ペット的な存在なんだと思ってたんですけど…」
「いや、欲望丸出しだったのに…やっぱり分かって無かったのか。俺は、タチそうになるのを何度抑えた事か…」
タチソウ…
はい、理解しました。
えっ?ほんとに?僕に?
あからさまにポカーンとしてるのだろう。
出したけた涙も引っ込み。
ここ数日悩んでた事は、急転直下で解決したけど…新たな悩みが出来上がる。
好きって?何種類あるのかな?
僕も先輩の事は好きだと思うけど、それが先輩の言う気持ちと同じかは、分からない。
今更ながら、恋愛経験の無さが、悔やまれる。
「すいません、突然の事で…ちょっと頭の中か整理出来そうにありませんが、先輩は、本当に、僕を恋愛対象として…見ていらっしゃるという事でございますか?」
「ええ、そうでございます。移ったじゃんか(笑)」
桜橋先輩がフフフと笑うので、僕も思わず笑みを零した。
