その名は時間管理局


 ============== これは、勿論フィクションです。 =======
 俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋をしていたが、時間管理局に『異動』になった。俺の使命は、この未来世界(3026年)から、所謂タイムリープをして逃げた犯人を追って、『悪さ』をしていた場合、逮捕し、局に移送させることだった。殺しはしないが、痛め付けること位は許されている。
 今の俺は、『異次元のパトロール警官』。次元の『調整係』だ。

 午前9時。時間管理局。
 出勤するなり、ボスは言った。
 「五十嵐、お前は・・・大邸宅に住みたいか?」
 「いえ。かな子は不満なんですか?」
 「そんなことは無い。安全な時代で暮らしたい、と言う、かな子の願いを聞き入れて、お前や、かな子の時間軸より未来の、この時間軸に居を構えさせた。お前達の預貯金や住居票を移し替え、居住権を取ってからローンを組んだ。俺は病気になってから、この時間軸に住んで仕事していたから、保証人になれた。その代わり、「異動」と共に、お前自身も移動した。かな子は感謝している。義弟よ、これからもよろしくな。」
 「よろしくお願いいたします。で、今日の差異は?」
 「うむ。生じたのは、『代の国』。お前が魅力的な歯科衛生士に出逢った場所でもあり、敵のボスの一人に出逢った場所でもある。時間軸は、2026年。防衛隊の下士官の一人が、不倫の末、相手に別れ話を持ち出され、殺してしまった、という事件があった。ここまでがデータベースだ。年鑑が書き変わった。不倫相手は死ななかった。実はスパイだった。5年後に、隣国で死体で見つかった。用済みになったんだな。何で死ななかったんだろうな。」
 「防衛隊の下士官にスパイだと教えて奴がいた。」
 「ファイナルアンサー?」
 「ファイナルアンサー。」
 「お前は嫌だろうが、下士官は罪を犯す運命だ。まあ、不倫していたしなあ。」

 俺は、不満を抱えたまま、MRIに似た移送装置に寝転がった。
 コートがあった。そうか。11月だ。
 睡眠学習によると、身内のひいき目だろうか?実父は「普通の子でした」と話していた、とある。そうか。潜入捜査か。

 2025年11月16日。あるライブ会場。
 歌手をしていた交際相手は、白昼、陸上防衛隊三佐の大椿伊智郎に刺されて亡くなった。
 俺は、前日にタイムリープした。
 11月15日。大椿家。
 「信じなくてもいいよ。事件を起こしたく無かったら、家でじっとしていることだ。」
 俺は、その台詞の直後、シッパーを『保安檻』に送った。
 俺は、睡眠学習で、防衛隊の機密情報のことを知った。
 睡眠学習によると、事件は風化された。不倫女が流そうとしていた防衛隊の機密情報は漏れなかった。三佐の機転で。シッパーはそれを承知で、状況を反転させたかったのだ。

 3026年某月某日。午後5時。時間管理局。
 俺はタイムレコーダーシステムに体内時計をスキャンさせた。
 アラームが鳴った。
 「ご苦労様。アラームは鳴ったが、結果オーライだ。『代の国』では、痴話喧嘩の末の犯行になった。それでいいんだ。だから、彼は大将にまでなった。」

 午後7時。帰宅すると、かな子は、和服で、三つ指突いて出迎えた。
 俺は、『お姫様だっこ』して、ベッドにかな子を運んだ。
 かな子は、涙を流し、唇を噛んでいた。

 ―完―

 ※このエピソードは、実際の事件をモデルにしていますが、飽くまでもフィクションとして書いています。
 クライングフリーマン