その名は時間管理局


 ============== これは、勿論フィクションです。 =======
 俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋をしていたが、時間管理局に『異動』になった。俺の使命は、この未来世界(3026年)から、所謂タイムリープをして逃げた犯人を追って、『悪さ』をしていた場合、逮捕し、局に移送させることだった。殺しはしないが、痛め付けること位は許されている。
 今の俺は、『異次元のパトロール警官』。次元の『調整係』だ。

 午前9時。時間管理局。
 出勤するなり、ボスは言った。
 「五十嵐、お前は・・・大道芸は好きか?」
 「好きですね。そうだなあ。ジャグリングなんか、何時間観ても飽きないくらい・・・まさか。」
 「そのまさか、だ。差異の場所は、『質の国』。お前が、病院のロビーで老夫婦と語らった次元だ。時間軸は、2022年。毎年開かれていた大道芸ワールドカップだったが、流行り病の為、2年間中止、晴れて開かれた大会だったが、プロデユーサーが問題を起こし、辞任した。ここまでが、データベースだ。そして、3026年の現在の、『質の国』。突如現れた天才プロデューサー。年鑑が書き変わった。」
 スクリーンに2人の人物が映っている。
 「左が2022年。右が3026年の現在。どんな、大道芸だ?」
 「シッパーが連れて来たんですね、クビになった彼を。」

 俺は、MRIに似た移送装置にね転がった。
 睡眠学習によると、敏腕プロデューサー奥田だったが、差別発言をしてしまい、社会から抹殺されていた。
 彼のファンと言うより、何か魂胆があって浚って来たに違い無い。

 2022年。『質の国』。
 俺が、あの老夫婦に出逢った時より、少し前か。この後、無茶苦茶な世の中になるのか。
 同年10月7日。ある居酒屋。
 「俺に協力すれば、資金は出すよ。」
 「気をつけよう、暗い夜道と甘い言葉。」
 俺はトイレの前で待ち伏せし、シッパーを『保安檻』に送った。
 多分、奥田は、酔った後忘れるだろう。

 3026年某月某日。時間管理局。
 俺はタイムレコーダーシステムに体内時計をスキャンさせた。
 「戻ったよ、ご苦労様。」

 午後7時。帰宅すると、かな子が一輪車に乗っている。
 「器用だね。流石だ。」
 「胎教にもいいんだって。」
 「そうなの・・・胎教???」

 ―完―

 ※2022年7月、規模を縮小した上で3年ぶりに大会の開催が発表。通常は前年大会終了直後の1年前から開催準備をスタートするが、4か月の短い期間で出場者・ボランティア募集から開催までのスケジュールを決めなければいけなかった。
 ※プロデューサーにはSPAC(静岡県舞台芸術センター)に所属し、静岡を中心に活動する舞台俳優の奥野晃士あきひとが就任した。その際に新型コロナウイルス感染予防対策として出場者を日本国内在住のアーティストのみに限定する方針を示していたが、奥野が同年9月のボランティアリーダー講習会向けに作成・配布した資料と講習会の発言の中に外国人差別や外国批判とも取れる表現があったことが10月6日に判明し問題となった。
 ※これを受けて、大道芸ワールドカップ実行委員会は10月7日午後に記者会見を開き、発言内容を謝罪した上で同日付で奥野を解任、委員長の杉山茂之は引責辞任した。2022年大会については猪股宏光副委員長が委員長代理を務めることとし、プロデューサーは空席とした。
 ※奥野が所属するSPACの芸術総監督である宮城聰は10月6日深夜に「奥野晃士氏の大道芸ワールドカップ講演資料について」と題した動画をYouTubeで公開し、個人の立場からその姿勢を批判した。その後、奥野からSPACに対して「現在予定されているSPACの事業への出演・参加をすべて辞退する」との申し出を受け、SPACは出演予定の舞台から奥野の降板を決定した。