その名は時間管理局


 ============== これは、勿論フィクションです。 =======
 俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋をしていたが、時間管理局に『異動』になった。俺の使命は、この未来世界(3026年)から、所謂タイムリープをして逃げた犯人を追って、『悪さ』をしていた場合、逮捕し、局に移送させることだった。殺しはしないが、痛め付けること位は許されている。
 今の俺は、『異次元のパトロール警官』。次元の『調整係』だ。

 午前9時。時間管理局。
 出勤するなり、ボスは言った。
 「五十嵐、お前は・・・映画は好きだよね。何人もの俳優救っているし。あ、かな子のの次にね。」
 「ファイナルアンサー。」
 「うん。今回の差異は、『映画に』に関してだ。差異が生じた場所は、『才の国』。お前が寺の住職と敵に出くわした次元だ。時間軸は、1975年9月6日。話題になっていた映画『大列島』が封切られた。コレがデータベースの真実だ。ところが、『才の国』の年鑑が書き変わった。フイルムが行方不明になり、DVDでリメイク版が出るまで、日の目を見なかった作品になった、と。おかしいよね。」
 「未来人が、オリジナルを盗んだ以外に考えられませんね。」

 俺は、MRIに似た移送装置に寝転んだ。
 睡眠学習によると、原作は元より、主演俳優の人気もあって、かなり前評判があった。
 マニアの仕業と言うよりは、転売目的か。今で無くても手を出すマニアはいるかも知れない。
 いずれにしても、けしからん。

 1975年。『才の国』。
 当日までに、輸送時間や輸送コースを調べる必要があり、タイムリープを繰り返し、やっとフィルムの輸送コースと時間が判った。
 偽の運転免許証でレンタルした自動車で、配給会社当方のライトバンを尾行するトラックを見付けた。
 高速に入ると、予想通り、割り込みをかけて追い越した。
 俺は、ドライバーが降りる瞬間に『保安檻』に送った。
 そして、トラックを消した。

 ライトバンが動かないので、俺は自動車を降り、ドライバーに声をかけた。
 「どうしました?パンク?オイル漏れ?」
 「いや、トラックが割り込んで止まった気がしたんですが。」
 「トラック?お疲れですね。仕事終ったら、ビールでも飲んで、早めに寝ましょう。」
 「そうですね、ありがとう。」
 ドライバーは、眠気さましのガムを頬張り、スタートした。
 「お疲れ。」
 俺は、急いで、未来に帰った。

 3026年某月某日。時間管理局。
 俺はタイムレコーダーシステムに体内時計をスキャンさせた。
 アラームが鳴った。
 「何だ、5分じゃないか。オマケしてやるよ。」
 「お先でーす。」

 午後7時半。帰宅すると、かな子はリビングにシアターセットを用意していた。
 食事は、『ハンバーガーセット』らしい。
 「これ、買ったの?」「大丈夫。ローンだから。」
 俺は、無理矢理ハンバーガーを口に入れた。

 ―完―

 ※「動脈列島」
 ※本作が製作された1970年代は、国民の公害に対する意識が高まっており、1974年には映画の舞台の一つともなった名古屋市の新幹線沿線住民が、名古屋地方裁判所に騒音公害に対する訴え(名古屋新幹線訴訟)を起こしていた。また毎年の恒例行事同然になっていた国鉄の順法闘争やストライキ(スト権ストなど)で、国民の国鉄に対する反感もまた大きくなっていた。そうした時代背景を踏まえつつ『動脈列島』は製作された。
 ※当初、配給元の東宝では、「こういう映画をつくって真似をする者が出ては困る」という意見が出て、社内が真っ二つに割れた。馬淵威雄会長は映画化に賛成。清水雅社長は反対。3人の副社長は、賛成1人、反対1人、保留1人で、企画はいったん延期となった。その後、「転覆」や「千人以上が死ぬ」といった刺激的な表現を台本から削除し、制作に踏みきった。しかし、国鉄や警察は模倣犯を恐れ、撮影に協力しなかった。旧大映から東京映画撮影所に初めて乗り込んだ増村保造監督は、東宝系の撮影・美術・照明スタッフをよくまとめあげ重厚な大作に仕上げた。出演者は旧大映、東宝、東映の出身者が混在する。

 原作は清水一行の同名小説で、第28回日本推理作家協会賞を受賞している。レンタカーを用い電波で列車を停止させるシーンは、劇中では静岡県内の東名高速という設定だが、実際の撮影地点は岐阜県内の名神高速である。またレンタカー使用車両は原作では日産・ブルーバードだったが、劇中ではトヨタ・セリカに変更された。