その名は時間管理局

 ============== これは、勿論フィクションです。 =======
 俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋をしていたが、時間管理局に『異動』になった。俺の使命は、この未来世界(3026年)から、所謂タイムリープをして逃げた犯人を追って、『悪さ』をしていた場合、逮捕し、局に移送させることだった。殺しはしないが、痛め付けること位は許されている。
 今の俺は、『異次元のパトロール警官』。次元の『調整係』だ。

 午前9時。時間管理局。
 出勤するなり、ボスは言った。
 「五十嵐、お前は・・・失態は好きじゃないよね。」
 「え?俺、何かやらかしました?行った先で、ホシは『保安檻』に送りましたよ。」
 「そう向きになるな、義理とは言え弟を信じない兄はいない。んん、差異の場所は、『平の国』。お前がデモ隊を『魔法』で消した次元だ。時間軸は、1990年。冤罪で捕まっていた青年が釈放された。その年の9月6日のことだ。ココまでがデータベース。だが、年鑑では、その青年が行方不明になっている。どこに行ったと思う?」
 「まさか。3026年の『平の国』?」「ご明察。政治家になろうとしているよ。」

 モルモットか、残酷だな、やはりシッパーは。当選したら、裏から『チュウチュウ』だな。

 俺はMRIに似た移送装置に寝転がった。
 睡眠学習によると、迷宮入りしそうだった。『女子中学生殺し』の犯人を知っている、と言う、別件取り調べ中の『ヤクザ』の言葉を鵜呑みにして誤認逮捕。裁判の末、やっと開放されたのが、その日だった。

 1990年9月6日。『平の国』。
 被告になっていた、前田賢氏が、マスコミ攻勢の後、やっと開放された午後9時。
 同級生宅に向かう途中、声をかけられた。
 「もう、こんな世の中、イヤだよね。未来に行って、やり直さないか?ねえ、僕と行こうよ。」
 移送装置で来ることは判っていたが、どういう手段で帰るか、どういう手段で未来へ送り込むか興味があったが、今は、そんな場合じゃない。
 「どうして、未来で成功出来る?ただの願望だろう?」
 「誰だ、お前は!」
 「君より未来から来た、未来人さ。」
 俺は、シッパーの手先を『保安檻』に送った。
 「ごめんな、前田君。彼の言う通りにすると、未来で失敗する。」
 「あなたは?」「未来の時間警察。忘れてくれ。」
 俺は、彼が有名なイラストレーターになったのを知っている。それが、本当の未来だ。」

 3026年某月某日。午後5時。時間管理局。
 俺はタイムレコーダーシステムに体内時計をスキャンさせた。
 「年鑑は戻ったよ。一部を除いて。」
 ボスは、イラストのコピーを見せた。
 『未来の時間警察官』と書いてある。肖像は、何となく俺に似ている。
 「大失態だな。ボーナスから引いておくよ。」
 「そんなあ。」

 午後7時。帰宅すると、カンバスと絵の具のセットがあった。
 「進が、絵が上手いなんて知らなかったわ。」

 「ごはん、食べてからでいいかな?」

 ーー完―

 ※参考までに。(福井女子中学生殺人事件=えん罪事件)
 警察の筋書きにあった犯行着衣は川から発見されておらず、暴力団員C絡みの証言はどれも曖昧。自白も物的証拠もなかったが、福井地検は、当時前川さんがシンナー依存症だったため、精神鑑定を行ったうえで責任能力ありと判断し、殺人罪で起訴する。
 ※1987年8月から福井地裁で始まった裁判で、前川被告は起訴事実を否認した。弁護側は同被告の主張どおり、見込み捜査による不当逮捕や証拠の欠如に言及した。
 ※対する検察側が唯一の物証としたのが、2本の毛髪である。現場から採取されていた毛髪99本のうち母娘とは明らかに異なる毛質で、検察側鑑定では「被告人のものと同一」とされた。が、DNA型鑑定のない当時、毛髪鑑定は血液型と性別、高齢者か若者かは大別できても、個人識別までは不可能というのが法医学上の常識だった。
 ※また、公判の時点で、当初、警察が逮捕の決め手としていた犯行車両の助手席ダッシュボード下から検出した血痕は、血液型は一致したものの、詳細な検査で被害者とは異なるものと判明していた。
 ※さらには、暴力団員Cの同棲相手Dさんが証言台に立ち、警察での事情聴取の際、裁判でも前川被告を犯人とするCの供述に沿って証言するよう誘導されていたことを告白する。
 ※1990年(平成2年)9月6日の判決公判で、同地裁は毛髪の証拠能力を認めず、Cの供述をはじめ証人6人の捜査段階から公判に至るまでの変遷ぶりから「返り血を浴びた前川を車に乗せた」とする各証言の信用性は低いと判断、前川被告に無罪を宣告。前川さんは3年半ぶりに釈放される。

 ※筆者は、「自白強要は無くなった」というのは、公式発表で、「鵜呑み」には出来ない、と思っています。『安倍元総理暗殺事件』は、異常な長い期間を経て裁判に至りました。拙作にも著わしていますが、真相は闇の中に葬り去られる可能性があるのでは、と懸念しています。
 クライングフリーマン