その名は時間管理局


 ============== これは、勿論フィクションです。 =======
 俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋をしていたが、時間管理局に『異動』になった。俺の使命は、この未来世界(3026年)から、所謂タイムリープをして逃げた犯人を追って、『悪さ』をしていた場合、逮捕し、局に移送させることだった。殺しはしないが、痛め付けること位は許されている。
 今の俺は、『異次元のパトロール警官』。次元の『調整係』だ。

 午前9時。時間管理局。
 出勤するなり、ボスは言った。
 「五十嵐、お前は・・・差異が生じたのは、『塞の国』。お前が『乙姫様』と出逢った次元だ。」
 「え?ボス、何か頁、跳んでません?」
 「あ。そか。お前は南京豆は好きか?」
 「好きな方です。」
 「1個100万円だ。」
 「冗談キツいっす。」
 「俺もそう思う。時間軸は1976年。時の総理が、旅客機に関する汚職でたい逮捕された。国際的な贈収賄事件、ラッキーダ事件だ。総理が関与したことで国中で激論が交わされた。国会でもだ。さっき言った南京豆は、賄賂に関する隠語だ。で、1976年7月27日に中田総理は逮捕された。それが、データベースの真実だ。ところが、その前日。『塞の国』の年鑑から、中田は消えた。と言うか、死体で発見され、事件は追えなくなった。仲間の政治家達は口を閉じ、迷宮入りになった。黒幕がいて、殺された、という噂が残った。」

 俺は、MRIに似た移送装置に寝転がった。ん?横にアロハシャツ置いてある。
 かな子、愛してるよ。
 睡眠学習によると、前代未聞の事件だった。
 国会証人喚問で、『記憶にございません』と、ふざけた事言った小野田健二氏の言葉は流行語にもなった。
 ロボットじゃあるまいし、「記憶にない」筈はない。「忘れました」ならまだ理解出来るが。これが、国中の激論の元になった訳か。
 悪人だろうと総理だろうと、無闇に殺していい訳はない。

 1976年7月26日。午後11時。中田家。
 いたいた。
 「今夜は蒸すねえ。明日は雨かな?誰に頼まれたの?シッパーさん。」
 振り向きざま、男は俺に拳銃で撃った。
 だが、弾は跳ばなかった。
 呼びかける前に、俺が抜いたのだ。
 男は、吹き矢を構えた。
 だが、矢は空中を跳んだだけだった。
 俺は、男を金縛りにしてから、『保安檻』に送った。

 猫が通りかかった。
 家人が雨戸を開け、猫が逃げるのを見届けて、雨戸を締めた。
 俺は、未来に帰った。

 3026年某月某日。午後5時。時間管理局。
 俺はタイムレコーダーシステムに体内時計をスキャンさせた。
 「ご苦労様。どこの次元でも、『汚職事件』は絶えないねえ。」

 午後7時。帰宅すると、かな子は「よそ行き」の格好をしている。
 「新しいファミレスの『お食事券』、貰ったの。行きましょう。」
 「念の為聞くけどさ。誰に貰った?」
 「お兄ちゃん。」

 やっぱし。

 ―完―

 ※1976年7月27日、田中角栄前首相が逮捕され、戦後最大の疑獄といわれるロッキード事件の捜査は、一気に核心へと上り詰めた。起訴事実は、首相就任からわずか一カ月余の1972(昭和47)年8月、丸紅の檜山廣元会長から全日空のトライスター購入に尽力するよう頼まれ、報酬として5億円を受け取ったというもの。前首相の逮捕という事態に政府自民党は強い衝撃を受け、野党側はロッキード事件の徹底究明を政府に迫った。