その名は時間管理局


 ============== これは、勿論フィクションです。 =======
 俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋をしていたが、時間管理局に『異動』になった。俺の使命は、この未来世界(3026年)から、所謂タイムリープをして逃げた犯人を追って、『悪さ』をしていた場合、逮捕し、局に移送させることだった。殺しはしないが、痛め付けること位は許されている。
 今の俺は、『異次元のパトロール警官』。次元の『調整係』だ。

 午前9時。時間管理局。
 出勤するなり、ボスは言った。
 「五十嵐、お前は、野球好きだよね。」
 「あれ?いつもと聞き方が違うみたい。」
 「高校の時、野球部だったよね?シラベはついている。」
 「俺、何か悪いことしてたんっすか。」
 「学生みたいにむくれるなよ。差異は、『鯉の国』。で生じた。お前が、自転車を転倒させられた高齢者を救った次元だ。お前は優しい。」
 「ありがとうございます。」
 「で、時間軸は、2009年。2006年に続いて、海外から帰った有名な野球選手が、世界大会で、国のチームを優勝に導いた。ここまでは、データベースと一致している。ところが優勝した翌日、行く不明になって、海外の記録も『鯉の国』の記録も止まっている。それが、最近年鑑が書き変わった事項だ。その選手虹郎を救えるのは、誰だ?誰だ?誰だ?」
 「俺、でーすう。」

 回りくどいな。
 俺は、MRIに似た移送装置に横たわった。
 睡眠学習によると、彼が移籍した、海外の国では、野球を知らない人間でさえ知っている。有名人だった。彼は、世界大会の時、その国の代表としてではなく、『鯉の国』の代表としてプレイし、優勝に導いた。
 国からの名誉賞も辞退する程、謙虚な男だった。
 そんな、国の宝を葬るなんて・・・。

 2009年3月24日。『鯉の国』。国際空港。
 搭乗手続きを待っている虹郎に声をかける男がいた。
 男が懐から出した拳銃からは、国旗が出た。
 「ダメじゃないか、おいたしちゃ。済みません、弟は悪戯好きで。さ、帰ろう。」
 俺は、虹郎に頭を下げ、無理矢理トイレに連れて行き、途中で奴に言った。
 「未来で待っていてくれ。」そう言って、奴を『保安檻』に送った。
 それを偶然、虹郎が見た。
 「今のは何です?弟さんは?」
 俺は覚悟を決めて事情を言った。
 「時間警察です。あなたは、抹殺されるところだった。職務なので、貴方の記憶を一部消します。」
 「判りました。でも、記憶を消される前に、貴方の名前を教えて下さい。」
 「ニックネームですが、万華鏡。」
 「万華鏡。いい名前だ。忘れるのが勿体ない。折角、救って頂いた命、大切にします。そして、いつも前向きにプレイします。」
 「ありがとう。」

 3026年某月某日。午後5時。時間管理局。
 俺はタイムレコーダーシステムに体内時計をスキャンさせた。
 「大丈夫かな?」「ってことは、何かやらかしたのか?年鑑とデータベースは完全一致に戻ったぞ。」
 ボスの言葉に、「お義兄さん、好きです。」と俺は言った。
 「バカ。俺は、そっちの趣味はない。」

 午後7時過ぎ。帰宅すると、かな子は、キャッチャーの格好をしていた。
 「何、それ?」
 「キャッチャーは、『女房役』でしょ。」
 「女房役でなく、女房だよ。今日もご奉仕させて頂くよ。」
 「っしゃー!!」と、何故か、かな子はガッツポーズをした。

 嵌められたか?

 ―完―

 ※野球の国・地域別対抗戦、第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は2009年3月23日、当地で決勝を行い、日本が延長戦の末に韓国を5―3で退け、2006年の第1回大会に続く連覇を達成した。今大会5度目となったライバル対決を制し、対戦成績も3勝2敗と勝ち越した。
 ※中島裕之内野手(西武)の適時打などで優位に進めた日本は、9回2死からダルビッシュ有投手(日本ハム)が同点打を許したが、延長10回2死からイチロー外野手(マリナーズ)が決勝の2点適時打を放ち、粘る韓国を振り切った。
 ※大会の最優秀選手(MVP)には、3勝を挙げた松坂大輔投手(レッドソックス)が前回に続いて選ばれた。
 ※ 日本は昨年の北京五輪で3強のチームに一度も勝てず、4位と惨敗。今回は原辰徳監督の下、結束を強めて栄冠にたどり着き、再び日本野球の実力の高さを実証した。同五輪に続く優勝を目指した韓国は大会初制覇に届かなかった。