============== これは、勿論フィクションです。 =======
俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋をしていたが、時間管理局に『異動』になった。俺の使命は、この未来世界(3026年)から、所謂タイムリープをして逃げた犯人を追って、『悪さ』をしていた場合、逮捕し、局に移送させることだった。殺しはしないが、痛め付けること位は許されている。
今の俺は、『異次元のパトロール警官』。次元の『調整係』だ。
午前9時。時間管理局。
出勤するなり、ボスは言った。
「五十嵐、お前は、作家は嫌いじゃないよね?」
「はい。」質問がいつもと違う。まさか?
「今回も作家大先生の事案だ。場所は、『里の国』。お前が、『於呂姫』という老婆に出逢った次元だ。時間軸は、1975年。5月17日から19日にかけて、仲間とハンガーストライキを行った、大江戸健三という作家が話題になった。後年、世界的な大きな文学賞を受賞した作家だ。問題は、そのハンガーストライキだ。20日まで、どこかに幽閉されていて、開放された。幸い命には影響しなかったのものの、ハンガーストライキ事件は消えた。そして、後年の賞も受賞しなかった。興味深いだろ?」
「ええ、まあ。」
ボスは、気遣った積りか?まあいい。
俺は、MRIに似た移送装置に寝た。衣装は、ちゃんと用意してあるようだ。
睡眠学習によると、多くの作品を残した作家であり、仲間も大勢いたらしい。
1975年5月16日。午後10時。大江戸家。
ハンガーストライキに備えて会合をしていた江戸と仲間達は、眠りこけていた。
そして、やってきたトラックに乗せられる。
だが、ドライバーがエンジンをかけても、発車出来ない。
俺が、ブレーキオイルを抜いたからだ。
2人の未来人が出てきたところで、『保安檻』に送った。
そして、大先生達は、座敷に跳ばした。
トラックを消し、俺は未来へ帰った。
3026年某月某日。午後5時。時間管理局。
俺はタイムレコーダーシステムに体内時計をスキャンさせた。
ボスがやって来て、こう言った。
「歴史は戻った。『里の国』から礼を言ってきた。以上。」
何が以上だよ。
俺は通勤電車内で、思わず言ってしまった。
殆どの日に、同じ車両に乗ってくる、会社員が「お互い、辛いよねえ。」と言った。
以前、愚痴に付き合ったことがある。
俺は会社員じゃないが、まあ似たようなものだ。
午後7時。帰宅すると、かな子は「ハンガーストライキって、お腹減るよね。」と言った。
「うん。美容にも良く無いらしいよ。」と俺が言うと、かな子は背広を通したハンガーをじっと見ている。
「やっぱり、おかゆにするか。何かゆがいい?」
「えっと、卵かゆかな?」
「うん、そうする。」
何を悩んでいたんだろう?
―完―
※このエピソードの題材は、作家大江健三郎氏です。
※大江健三郎は、1967年、30代最初の長編として『万延元年のフットボール』を発表し、最年少(2019年時点で破られていない)で第3回谷崎潤一郎賞を受賞する。
1967年には長女の菜採子、1969年には次男の桜麻が生まれ、この頃から海外の作家との交流が盛んになる。1968年にオーストラリアのアデレード芸術祭に参加し、エンツェンスベルガー、ビュトールと面会する。1970年、1973年にはアジア・アフリカ作家会議に参加。1977年、ハワイ大学のセミナー「文学における東西文化の出会い」に参加してアレン・ギンズバーグ、ウォーレ・ショインカと対話する[30]。また1970年代には文芸誌『新潮』『海』においてアップダイク、ギュンター・グラス、バルガス・リョサと対談している。
※1975年3月13日、詩人の金芝河が反共法違反で再逮捕された。同年5月17日から19日にかけて、大江、小田実、井出孫六、青地晨、日高六郎、真継伸彦、高史明、鄭敬謨らは金の即時釈放を訴え、数寄屋橋公園で48時間ハンガー・ストライキを行った。この間、5月10日に大学時代の恩師の渡辺一夫が肺癌で死去。大きなショックを受ける。
※また、『燃えあがる緑の木』連載中の1994年、「詩的な想像力によって、現実と神話が密接に凝縮された想像の世界を作り出し、読者の心に揺さぶりをかけるように現代人の苦境を浮き彫りにしている」という理由でノーベル文学賞を受賞する。
(ウィキペデイアより)


