その名は時間管理局


 ============== これは、勿論フィクションです。 =======
 俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋をしていたが、時間管理局に『異動』になった。俺の使命は、この未来世界(3026年)から、所謂タイムリープをして逃げた犯人を追って、『悪さ』をしていた場合、逮捕し、局に移送させることだった。殺しはしないが、痛め付けること位は許されている。
 今の俺は、『異次元のパトロール警官』。次元の『調整係』だ。

 午前9時。時間管理局。
 出勤するなり、ボスは言った。
 「五十嵐、お前は、絶壁をどう思う?」
 「小学校の時は、よくからかわ・・・。」
 「違う!そっちじゃない。断崖絶壁の絶壁。」
 「聞いただけで恐いですね。」「だよなー。で、絶壁の下の海から死体が出てきたら?」
 「自殺かな?」「と思うだろう?で、それが、刺殺されて班員が捕まった筈の死体だったら?死体って、自分で動く?」
 「無理ですね。あ。シッパーが何故か動かした。」
 「冴えてるねー、五十嵐くん。差異が生じたのは、『浸の国』。お前が怪しい宅配便を監視する少年と出逢った次元だ。時間軸は2024年。2007年に刺殺された少女の事件が別件から事件解決に向かった。データベースでは、そうなっている、ところが、2024年の事件解決が年鑑から消えた。別件の方で無期懲役にはなっているが、少女刺殺事件では、刺殺事件が無かったことになっている。そして、2022年に起こった大地震の復旧作業中、滑落した後から骨が出てきた。その少女の骨だ。」
 「ミステリーですね。」「違う。何者かが、少女を移動したんだ。刺殺の後は、不明。」

 俺は不審と不快感を持ったまま、MRIに似た移送装置に寝転がった。
 衣装があった。やはり、かな子が『内助の功』をしているのか。
 睡眠学習によると、別件ではともかく、この刺殺事件の関与については警察の強引な誘導があったのではないか?と世間を騒がせていた。万一そうだとすると、こっちの事案は『濡れ衣』か。いずれにせよ、シッパーが事件に関与している。

 2007年10月16日。『浸の国』。
 事件が起こった、とされる時間に行った。
 睡眠学習で得た、犯人だ。
 出来れば少女を救いたいが、そうも行かない。
 歴史が大きく変るかも知れないからだ。
 トラックでやってきた、ある男が犯人に声をかける。
 「大声を出すからつい・・・殺す積りじゃなかったんだ。」
 「知ってる。俺は、アンタの味方だ。俺が始末してやるよ。」
 「ホントに、アンタの味方かな?」
 俺は、振り向いた未来人の男を『保安檻』に送った。
 トラックを消し、犯人から、俺の記憶を消した。
 後味が悪いが仕方がない。
 俺は、時間警察。時間の調整係だ。

 3026年某月某日。午後5時。時間管理局。
 俺はタイムレコーダーシステムに体内時計をスキャンさせた。
 ボスがやってきた。
 「時間軸は戻った。犯人は、2024年11月に事件は解決した。『保安檻』からの報告では、シッパーは、犯人と縁もゆかりもない。依頼された訳でもない。ゲームをしたんだ、とさ。」

 午後7時。帰宅すると、かな子がいない。
 着替えして、カップ麺食べて、夕食の後は風呂を焚いた。
 「かな子がいないと、寂しいな。」
 「進。本気で言ってるのか?」「うん。」「じゃ、サービスしろ。」
 ドリンク剤とビタミン剤を差し出された。
 薬局に行ってたのか。

 明日も、睡眠不足で出社だな。
 また、電車の中で他の乗客に言われる。
 「いいなあ、そんなに愛してくれる奥さんで。」

 俺は、無言でいるしかない。

 ―完―

 ※『2007年の未解決事件として代表的なのは、10月16日に兵庫県加古川市で当時小学2年の女児が刺殺された「加古川小2女児殺害事件」です。発生から17年後の2024年11月に別件で服役中だった男が関与を認めて逮捕・起訴され、長年の未解決から大きく動きましたが、依然として詳細な解明が待たれる事件です。』
 『2007年の能登半島地震で先端が崩落した「ヤセの断崖」は、現在、安全上の観点から断崖の先端部分への立ち入りは制限されています。一方、周辺の展望台や「義経の舟隠し」は利用可能で、地震から1年半が経過した令和6年能登半島地震後も、地域の復旧・復興努力により、少しずつ以前の姿を取り戻しつつあります。』
 ※以上をネット検索、題材としました。私見ですが、前政権、前前政権が能登半島地震の復興を『真面目に』取り組まなかったことも『犯罪』です。