その名は時間管理局

 ============== これは、勿論フィクションです。 =======
 俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋をしていたが、時間管理局に『異動』になった。俺の使命は、この未来世界(3026年)から、所謂タイムリープをして逃げた犯人を追って、『悪さ』をしていた場合、逮捕し、局に移送させることだった。殺しはしないが、痛め付けること位は許されている。
 今の俺は、『異次元のパトロール警官』。次元の『調整係』だ。

 午前9時。時間管理局。
 出勤するなり、ボスは言った。
 「五十嵐、お前は、信心深い方か?」
 「はい。毎朝、カミさんを拝んで出勤しています。カミさんは女神様で観音様です、お義兄さん。」
 「こいつ、態度変えやがって。まあいい。今回の差異は、『辛の国』。お前が大臣を行方不明にさせてから復帰させた次元だ。この国には『大明神』と呼ばれる神社が幾つもあって、いずれも心霊スポットとかパワースポットと呼ばれている。ところで、3026年の年鑑に突如、2024年に、その大明神の1つ『何だか大明神』に死体が現れた、という事件が記述が出てきた。死体は裸のままだった、と。データベースには、そんな事件は存在していない。」
 「ひょっとしたら、未来から、死体がタイムリープした、いや、違うな。未来人が死体を過去に運んだ、とか?」
 ボスが首を傾げたので、MRIに似た移送装置に俺は向かった。

 睡眠学習によると、外国人による悪戯が多いので、その頃には、どの神社仏閣にも防犯カメラが設置され、セキュリティーが強化されていた。
 だが、死角は、どこにでもある。

 2024年。3月1日。『辛の国』。『何だか大明神』。
 3月と言えども、早朝は、まだ肌寒い。
 境内に人を、いや、死体を背負った男が現れた。
 「お前は騙されている、シッパーはどうした?お前は、この時代に置いてけぼり、だ。それこそホラーだな。」
 男は死体を下ろして呆然としている。
 「お前は運んだだけだ。情状酌量の余地はあるだろう。報告をしておいてやる。」
 男は、俺に拳銃を向けて撃った。
 「情状酌量の報告は要らないな。」俺はそう言うと、その男の拳銃を消し、男と死体を未来の『保安檻』に送った。
 まずい。人が来た。
 俺は、一旦、『姿』を消し、折りを見て未来に戻った。

 3026年。時間管理局。
 俺はタイムレコーダーシステムに体内時計をスキャンさせた。
 「シッパーは取り逃がしたが、3026年の『辛の国』の殺人事件は解決した。お礼の報告が来たよ。」
 「そうですか。良かった。」

 午後7時。帰宅する前に、家の近くを確認した。
 「進。セキュリティー会社、信用してないの?」
 「いや、お前が心配なだけだよ、女神様、観音様。」
 「怪しい。何かヘマした?」
 「したら、お義兄さんから連絡あるんだろ?」

 かな子は、よく判らないスキャナーで俺をスキャンした。
 「浮気はしてないみたいね。よし、豆まきしよう。」
 「おい、節分はまだ・・・。」
 「接吻はいいよね。」と言いながら、かな子は俺にキスした。
 近所の人達が見守る中で。

 「はい。」それしか言えなかった。

 ―完―